ドゥクフレが“日本のミステリアスさ”も盛り込んだ「新作短編集」を語る

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6月29日に開幕するフィリップ・ドゥクフレ / カンパニーDCA「新作短編集(2017)-Nouvelles Pieces Courtes」に向けて、主宰のフィリップ・ドゥクフレが来日し、本日6月22日に都内で会見を行った。

フィリップ・ドゥクフレ

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フィリップ・ドゥクフレ / カンパニーDCA「新作短編集(2017)-Nouvelles Pieces Courtes」ビジュアル(Photo:Charles Freger)

本作は、昨年2017年にフランスのラ・クールシヴ(仏ラ・ロシェル国立劇場)にて初演された同カンパニーの新作。ドゥクフレは「本作は5、6の小品からなっています」と切り出し、「1つ目は音楽とダンスに関する章で、踊り、歌い、アクロバットしながら楽器も演奏する、ということに挑戦しています。2つ目は数年前に亡くなった両親へのオマージュ作品。私の父は深い知識人で非常にミステリアスなところがあり、“穴のような人”だと思っていたので(笑)、舞台にも穴が現れます。3つ目はヴィヴァルディの曲に合わせた一連の踊りが続く章。チラシで使われている衣装は、その章のものですね」と一気に語り、笑顔を見せる。

フィリップ・ドゥクフレ

さらに「4つ目は私たちが“進化”と呼んでいる章で、ライブ映像と生身のダンサーが舞台に同居します。音楽ではすでに何年も前からありますが、自分が演奏した音を録音し、その録音した音声にすぐ生演奏を重ねて“重奏”する、あれが映像でもできないかと何年も前から思っていて。それがようやく実現し、自分のクローンと踊るようなことができるようになりました(笑)。そして空中演技のシーンです」と説明を続ける。

そして「最後は旅をテーマにした、日本へのオマージュとなる章。日本は大好きで、とてもミステリアスな国です。2年前にカンパニーで来日した際に、ダンサーたちから日本に関する何かを持ち帰ってもらったんですが、今回はそれを元に作品を作りました。私が表参道でたまたま買ったボサノバのCDや、(2016年から17年にかけて上演されたドゥクフレ演出・振付の)『わたしは真悟』でご一緒したトクマルシューゴさんの曲も使っています」と見どころを語り、「なるべく舞台の上で生のものをと思っていますので、ライブの映像を使いますし、音楽も最大限ライブ、もちろんダンサーもライブです(笑)。生きたものをできるだけお見せしたい」と意気込みを述べた。

フィリップ・ドゥクフレ

日本に対して感じるミステリアスさについて、ドゥクフレは「例えば日本の人は感じたことがあっても必ずしもオープンにそれを表現しないし、日本文化には厳密な決まりごとがたくさんある」と言い、作品では「言葉やコミュニケーションに関すること、狭い空間にたくさんの人がいること、日本のテレビの不条理さ」などについても触れると話す。さらに「歌舞伎へのオマージュにもなっています」と、坂東玉三郎の舞台で観た、マジックのような扇子使いをドゥクフレの解釈により表現することを明かした。

また今回はドゥクフレ自身もさまざまなシーンに出演する予定で、「両親へのオマージュとなる章ではソロを踊りますし、日本に関する章では、日本スペシャルとして、玉三郎さんにならい、私も女性の役を演じます」とコメントした。

フィリップ・ドゥクフレ

さまざまな“映像マジック”が魅力のドゥクフレ作品だが、テクノロジーを作品に持ち込む上で気をつけているのは「ちゃんと見ること」。「映像が実際の人間の体より目立ってはいけないので、とにかくちゃんとよく見て、バランスを考えます。今は機械の性能が良くなっているので、映像は抑え気味に調整することが多いですね」と言い、「自分にとって絶対に重要だと思われるのはライブ映像を使うこと。事前に撮影したものを舞台に投影すると、より複雑な状況を作ることができますが、観客にはたくさんの情報を一度に取り込んで理解することを強いるようになってしまうので、私はシンプルに、ライブ映像を使うことが1つのキーだと思っています」と真摯に語った。

公演は6月29日から7月1日まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、7月7・8日に福岡・北九州芸術劇場 中劇場、7月14・15日に滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホールにて。

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フィリップ・ドゥクフレ / カンパニーDCA「新作短編集(2017)-Nouvelles Pieces Courtes」

2018年6月29日(金)~7月1日(日)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

2018年7月7日(土)・8日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場

2018年7月14日(土)・15日(日)
滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール

演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ
振付アシスタント・コレオグラファー:アレクサンドラ・ノーデ
出演:カンパニーDCA

※Nouvelles Pieces Courtesの最初のeはアクサングラーブ付きが正式表記。

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