京都観世会の「面白能楽館」に半能「鞍馬天狗 白頭」など、5年ぶりの装束付体験も

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京都観世会 自主公演「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」が、7月27日に京都・京都観世会館で開催される。それに先駆け、昨日5月8日に記者会見が行われた。

「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」記者会見より。

「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」記者会見より。

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2006年にスタートした「面白能楽館」は、難しいと思われがちな能楽を、“面白く”鑑賞するための企画。17回目となる今回は、“能楽アナトミア=能楽の解剖”をテーマに、観客がロビーにある無料・有料の体験コーナーと展示コーナーで、能楽の動き、言葉、装束、能面を体験でき、さらに能を鑑賞する。また、今回はコロナによって中断していた装束付体験を5年ぶりに実施。公演では“天狗”が題材となる半能「鞍馬天狗 白頭」、能「善界」一部上演、能「大会」が披露される。

「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」記者会見より。

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会見には、観世流シテ方の片山九郎右衛門、浦田保浩、橋本光史、田茂井廣道が登壇した。片山は「能楽堂の“敷居の高さ”をどうにかできないかと、そういうものを取り払うような意味で何かできないか」という思いで始めた「面白能楽館」が20年近く続いていることに「感慨深いものがございます」とコメント。「私たちが目指すのは、“古典”というものを身近なものとしていただこうということです。変わらず、能に親しみを持ってもらいたい」と述べた。

「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」記者会見より、早替えの様子。

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浦田は「能楽アナトミア」というテーマについて、「能の中にある、赤い頭(かしら)、黒い頭、白い頭、この3つの色組みの分け方の違いをお見せして、天狗ものの面白さを鑑賞していただきます」と語り、体験ブースや今年新たに始まる折り紙体験のほか、能面を実際につけた感覚を楽しめる能面パネルについて触れ、「夏休み中の7月に設定しているのは、既存のファンの方だけでなく、子どもさんにも気軽にお越しいただけるようにとの思いから。一人でも多くの方に、皆さんに楽しんでいただけるように努めます」と意気込んだ。

「面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~」記者会見より。

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田茂井は、「大会」の中に出てくるお釈迦様に化けた天狗が説法をする場面での、お経を広げて急いで巻き上げる所作を披露。これは、観客が実際に体験できる体験の1つで、「『経巻』では、するするすると広げる。これは簡単。巻くのがなかなか難しい。左手の指を上手に使ってうまく巻かないかないとズレていきます」と説明した。さらに、「大会」のクライマックス部分で2つの面を重ねて付けてお釈迦様に扮した天狗が早替えをする様子を実演した。

また、本公演で“天狗”をテーマに取り上げた経緯について、橋本は「夏休みということで、お子様にも興味をもってもらえるようなものをと、目線を少しお子様のほうに向けました。また、アニメ『鬼滅の刃』の新シリーズにヒントを得て、お稽古を目的にしたお能がないかなということになり、牛若丸のお稽古のシーンである能『鞍馬天狗』が良いのではないかと。天狗とは鬼の仲間であると昔から言われていますし、能『鞍馬天狗』は鞍馬山の天狗が主人公、能『大会』は愛宕山の天狗が主人公で、京都というのも一つの隠れたテーマになると思っています」と語った。

来年で20年を迎える「面白能楽館」について、片山が「能は特に、他の芸能の中でも、一番プロとアマチュアの境目が非常に曖昧な芸能だと思います。知らず知らずに自分もやり、見もする、ということが能の特長なんだろうなという思いに至ってます。能というものを仕事に目指したい人が出てくれるような状況になれば、観てくれる人もたくさん増えてくれるわけで、こういう状況を維持したいなと思って、『面白能楽館』をやり続けております」と力強く語った。体験コーナーでの装束付体験は要事前申込、折り紙体験は当日会場で申込となる。いずれも先着順。詳細は公式サイトで確認を。

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面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~

2024年7月27日(土)
京都府 京都観世会館

出演

半能「鞍馬天狗 白頭」

大天狗:味方團
牛若丸:味方遥

能「大会」

天狗:吉浪壽晃
僧正:宝生欣哉
帝釈天:浦部幸裕

※大学生・高校生、中学生以下料金あり。

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柏木ゆげひ(朝原広基) @kashiwagiyugehi

京都観世会の「面白能楽館」に半能「鞍馬天狗 白頭」など、5年ぶりの装束付体験も(ステージナタリー5/9) https://t.co/efu7vCo6P0 「京都観世会 自主公演『面白能楽館 能楽アナトミア ~天狗の山編~』が、7月27日に京都・京都観世会館で開催される。それに先駆け、昨日5月8日に記者会見が行われた」

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