宝塚月組「エリザベート」に小池修一郎が期待「珠城はエネルギッシュな“死”」

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8月から11月にかけて兵庫と東京で上演される宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」の制作発表会が、本日5月8日に東京・帝国ホテルで行われた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」制作発表会より、珠城りょう演じるトート。

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宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」制作発表会より、愛希れいか演じるエリザベート。

「エリザベート」は、ミヒャエル・クンツェが脚本・歌詞、シルヴェスター・リーヴァイが音楽を手がけたウィーン発の人気ミュージカル。19世紀後半のオーストリアを舞台に、自由な生き方を求めた皇后エリザベートと、彼女を愛する黄泉の帝王トートの物語が描かれる。日本では1996年に宝塚歌劇団小池修一郎の潤色・演出により初演を行ってから、これまでに1000回以上の上演を重ねてきた。今回は2016年の宙組公演以来、10回目の公演となる。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」制作発表会より、珠城りょう演じるトート。

制作発表会はまず、出演者によるパフォーマンスでスタート。初めに白いドレスでエリザベートに扮した愛希れいかが登場し、「私だけに」を力強く歌唱して記者たちからの大きな拍手を浴びる。続いてトートを演じる珠城りょうが姿を現すと、ロングヘアを振り乱しながら「最後のダンス」を熱くパワフルに歌い踊り、会場を盛り上げた。

小池修一郎

続く会見には珠城と愛希に加えて演出の小池、宝塚歌劇団の小川友次理事長、本公演の特別協賛・三井住友カードの久保健代表取締役社長が登壇した。小池は本作について「常にその時代のスターたちが歴史を紡ぎ、リレーのようにつないできた」と紹介し、「キャストたちは過去の出演者をなぞるのではなく、彼女たちが苦労したであろう道のりを自分も歩みます。その上に自分なりの役の像を築いていくことで、新鮮味が生まれると思う」と期待を語る。さらに月組を「今すごく面白くて、ユニークな組」と紹介し、「固まっていないところが魅力だと思うので、それが『エリザベート』という定番の作品でどう変化するか、みんなが役にどう命を吹き込むか楽しみにしています」とコメントした。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」制作発表会より、ドレスのボリュームでなかなか着席できない愛希れいか(左)と、心配してのぞき込む小池修一郎(右から2番目)。

また小池は珠城と愛希の役どころにも言及。「珠城のトート像は健康的」と笑い交じりに話しつつ、「“死”とは本人が死んでるわけではなく、死のエネルギーを表現するもの。世界を滅ぼすほどのエネルギッシュな“死”を、見事に演じ切ってくれると思う」と厚い信頼を寄せた。さらに愛希のエリザベート役を「集大成になる」と断言。役作りについては「宝塚のエリザベート像には、初代の花總まりさんが築いた、はかなげな美貌の皇后というあり方と、大鳥れいさんや瀬奈じゅんさんのような力強い女性を描くものがあると思います。愛希れいかは今回、その両方の接点を表現できるのではと大変楽しみです」と期待を込めた。

珠城りょう

珠城はトート役での出演が決定した際に驚いたと明かしつつ、「実はわたくし、“死”を演じるのは2回目でして……前回は『ロミオとジュリエット』の“死”役でした。そのときも今回と同じく、演出は小池先生。先生には自分にとって節目、挑戦となるような役を与えていただいてきました。自分にないものに挑めることは、役者冥利に尽きます」と意気込む。珠城は本作が愛希の退団公演となることにも言及し、「彼女とは学年が1つ違いということもあって、いい意味で遠慮せず、お互い全身全霊で心をぶつけ合ってきた。彼女と物語を作るのは今回が最後ですが、出会いがあれば別れもあるのが宝塚。一瞬一瞬を全力で生徒自身が務め、お客様と共に過ごしていくからこそ、より美しくその瞬間が輝くのだと思っています。最高の作品をお届けできるように、葛藤しつつも前を向いて努力してまいりたいと思います」と力強く語った。

久保健代表取締役社長にダンスを絶賛され、照れ笑いを浮かべる愛希れいか。

愛希は「この作品に出演できること、エリザベート役を演じられることを幸せに思いますのと同時に、とても身の引き締まる思いです」と心境を明かす。続けて「今まで見守ってくださったすべての皆様に感謝を込めて、私にしかできないエリザベートを精一杯務めたい」と抱負を語り、小池に視線を送りながら「とてもご縁のある小池先生。私は先生に育てていただきました。たくさんの挑戦をさせていただきましたし、公演のたびに充実感を得ることができました」と感慨深げに振り返った。さらに愛希は、記者から作中の楽しみなナンバーを質問されると「パパみたいに」を挙げる。楽曲の一部を歌い、「この曲が登場する場面が好きなので、歌えることがうれしい。エリザベートの“根本”を表している曲だと思う」と笑顔を見せた。

左から愛希れいか、珠城りょう。

また互いの魅力を尋ねられると、珠城は「下級生の頃から切磋琢磨してきましたし、愛希はかなり早くにトップ娘役に就任したので、近くでずっと見守ってきました。彼女の妥協しない精神は常々感じていましたし、努力の人だからこそ大輪の花を咲かせられるようになったのだと思います。舞台へのストイックさは、学年が1つ上の私から見ても尊敬します」と真摯なまなざしで答える。一方の愛希は、「以前同じ質問をされたときに『包容力』とお答えした気がしますが、宝塚音楽学校のときからそこはまったく変わっていません」と微笑みながらコメント。続けて「組子の皆さんといつも楽しそうにしていて、柔らかいお人柄が珠城さんの魅力だと思います」と述べ、珠城に笑顔を送った。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」の上演は、8月24日から10月1日まで兵庫・宝塚大劇場、10月19日から11月18日まで東京・東京宝塚劇場にて。チケットの一般販売は、宝塚大劇場公演が7月21日、東京宝塚劇場公演が9月16日にスタートする。

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宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」

2018年8月24日(金)~10月1日(月)
兵庫県 宝塚大劇場

2018年10月19日(金)~11月18日(日)
東京都 東京宝塚劇場

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
潤色・演出:小池修一郎

キャスト

トート:珠城りょう
エリザベート:愛希れいか
フランツ・ヨーゼフ:美弥るりか
ルイジ・ルキーニ:月城かなと
ルドルフ:暁千星風間柚乃

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