東京演劇道場「ワーク・イン・プログレス / Dojo WIP」が本日11月22日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕した。
東京演劇道場「ワーク・イン・プログレス / Dojo WIP」より、藤井千帆 / 鈴木麻美企画「淋しいおさかな」の様子。(撮影:金子愛帆)
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東京演劇道場は、東京芸術劇場芸術監督の野田秀樹が、さまざまな演劇人と出会うべく立ち上げた団体。今回上演される「ワーク・イン・プログレス / Dojo WIP」は、東京演劇道場メンバーが企画立案・実行運営する形のワークインプログレス公演で、8つの企画がショーケース形式で披露される。初日に際し、各企画者からコメントが届いた。
ウクライナの民族舞踊を元にした「додзьо」(オープニングver)を手がけた手代木花野は「毎日、楽しいです。初日が明けることもワクワクしています。“演劇ができる環境”と、“演劇を一緒にする仲間”が道場にはあること、WIPをきっかけに何かが生まれそうなこと、いいですねぇ。お客様にもこの“過程”という瞬間を楽しんで頂けたら嬉しいです」とコメント。
別役実「淋しいおさかな」を演劇として立ち上げる藤井千帆と鈴木麻美は「東京演劇道場で別役実の童話を劇にするという試みは、極めて楽しいものでした。劇を作る行為の可笑しみをみんなの身体を通して体感する贅沢な時間となりました。 別役実が『演劇は長く効く薬である』と仰っていたように、もっと時間をかけて私たちの身体にも効いてくるのかなと思います」と述べる。
野田の作品や言葉をもとに紡がれた高畑裕太と大野明香音による「忘郷少女」について、高畑は「『野田秀樹さんの言葉を喋りたい。』という大野明香音さんの小さな想いから始まった企画でした。物語の種となったのも、野田さんの作品からお借りした一節の言葉です。誰かの『想い』と『言葉』をお預かりして創作できたことが、私にとっては何より尊い時間でした。短い時間ですが、懐かしい故郷への『想い』と誰かといつの日か交わした『言葉』を思い起こせる様な作品になればと思います」と作品への思いを語る。
絲山秋子の小説「御社のチャラ男」を編集・再構成した上村聡は「小説を演劇にできないか試みてみました。この試みがお客様にどう届くのか。こわいけれど、たのしみでもあります。わたしたちはこうやって演劇を作っています。WIP。ちょっと長いですが、休み休み観ていただけましたら幸いです」と観客にメッセージを送る。
ウィリアム・シェイクスピアの「夏の夜の夢」の作品世界を“ジブリッシュ(デタラメ語)”でつづった「恋人たち」「職人たち」について、扇田拓也は「『夏の夜の夢』を知らなくても、ぜひとも想像を膨らませて、ジブリッシュの世界を楽しんでいただけたら幸いです」と話す。
「石の夢 -Reves d'objets-」のタイトルでパフォーマンスを繰り広げる黒瀧保士は「初日を迎えられましたこと、感謝の気持ちしかございません。気を抜くことなく懸命に取り組んでまいります」と真摯に語る。
石村みか、小幡貴史と共に「 」を手がけたサヘル・ローズは「8作品が毎日産声をあげて生まれてくる。表現に正解はない。来てくださるアナタが感じ考えてもらう。それが演劇の本質。真実の中にも嘘があるように嘘の中にも真実があります。そこへ立ち向かう作品に、会いにきてくださいね」と表現者としての思いを明かす。
そして多田淳之介原案「再生」を演出する李そじんは「11人でつくってきた『再生』をお披露目できること、嬉しく思います。まだまだ、過程。でも、これが今の私達の現在地であると、誇りを持って、お届けします。どうぞ、俳優9人の煌めきを存分にお楽しみください」と自信を見せた。
なお「御社のチャラ男」は上演エピソードと出演者が毎公演変わり、ジブリッシュ「恋人たち」は22・23、26日、「職人たち」は24・25日に上演される。劇場内での上演時間は約2時間40分、公演は11月26日まで。
東京演劇道場「ワーク・イン・プログレス / Dojo WIP」
2023年11月22日(水)~26日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト
参加メンバー:安東信助、石村みか、石山蓮華、大重わたる、大野明香音、緒形敦、小幡貴史、葛たか喜代、上村聡、川原田樹、河村るいす、北浦愛、木山廉彬、黒瀧保士、児玉智洋、小日向春平、西原やすあき、佐々木富貴子、サヘル・ローズ、代田正彦、末冨真由、鈴木麻美、扇田拓也、高畑裕太、田島冴香、田尻祥子、谷村実紀、長南洸生、手代木花野、中澤聖子、中島多羅、八条院蔵人、花島令、平野鈴、深井順子、藤井咲有里、藤井颯太郎、藤井千帆、益山寛司、間瀬奈都美、松永治樹、瑞生桜子、村田天翔、茂手木桜子、ユーリック永扇、吉岡花絵、李そじん、六川裕史
(1)手代木花野企画 開場前パフォーマンス「додзьо」
演出・振付:手代木花野
出演:葛たか喜代、佐々木富貴子、末冨真由(22~24日)、鈴木麻美、田尻祥子、長南洸生、手代木花野、花島令、藤井千帆、間瀬奈都美、村田天翔、吉岡花絵(25・26日)、六川裕史
(2)サヘル・ローズ / 石村みか / 小幡貴史企画「 」
参加:石村みか、石山蓮華(声の出演)、小幡貴史、葛たか喜代(22・23、25・26日)、サヘル・ローズ(24~26日)、田島冴香、中澤聖子(23、26日)、中島多羅、瑞生桜子(声の出演)、茂手木桜子、ユーリック永扇
(3)高畑裕太 / 大野明香音企画「忘郷少女」
作・演出:高畑裕太
出演:大野明香音、松永治樹
(4)上村聡企画「御社のチャラ男」
上演台本・演出:上村聡
出演:大重わたる、小幡貴史、葛たか喜代、上村聡、北浦愛、代田正彦、末冨真由、扇田拓也、谷村実紀、手代木花野、中島多羅、花島令、六川裕史
※毎回上演エピソードと出演者が異なる。
(5)黒瀧保士企画「石の夢 -Reves d'objets-」
作・演出・出演:黒瀧保士
※「石の夢 -Reves d'objets-」の1つ目のeはアクサン付きが正式表記。
(6)李そじん企画「再生」
演出:李そじん、藤井颯太郎
出演:安東信助、大野明香音、川原田樹、木山廉彬、平野鈴、益山寛司、間瀬奈都美、瑞生桜子、茂手木桜子
(7)藤井千帆 / 鈴木麻美企画「淋しいおさかな」
演出:藤井千帆
演出補:鈴木麻美
出演:大重わたる、緒形敦、河村るいす、児玉智洋、西原やすあき、鈴木麻美、長南洸生、藤井千帆、ユーリック永扇
(8)扇田拓也企画「ジブリッシュ『恋人たち』『職人たち』」
演出:扇田拓也
「恋人たち」(22・23、26日)
出演:小日向春平、扇田拓也、田尻祥子、中島多羅、八条院蔵人、藤井咲有里
「職人たち」(24・25日)
出演:河村るいす、小日向春平、田尻祥子、八条院蔵人、深井順子、藤井咲有里、茂手木桜子
※吉岡花絵の「吉」は土に口が正式表記。
藤井千帆 Chiho Fujii @fujiichiho
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