今の世界を映し出す「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」開幕、窪田正孝ら思いを込めて

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「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」が、5月6日に東京・THEATER MILANO-Zaで開幕した。

THEATER MILANO-Zaこけら落とし公演 COCOON PRODUCTION 2023「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」より。(撮影:細野晋司)

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THEATER MILANO-Zaこけら落とし公演 COCOON PRODUCTION 2023「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」より。(撮影:細野晋司)

THEATER MILANO-Zaこけら落とし公演 COCOON PRODUCTION 2023「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」より。(撮影:細野晋司)

THEATER MILANO-Zaのこけら落とし公演となる「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」は、「エヴァンゲリオン」シリーズ発の新たなエンタテインメント作品。原案・構成・演出・振付をシディ・ラルビ・シェルカウイが手がけ、窪田正孝が渡守ソウシ役で主演を担う。このほか、ソウシの元恋人で特務機関の女性・霧生イオリ役の石橋静河、特務機関メンシュの最高司令官・叶サネユキ役の田中哲司、そして板垣瑞生永田崇人坂ノ上茜村田寛奈宮下今日子らが出演している。

開幕に際し、ラルビは「『エヴァンゲリオン』を舞台化するというのは、まさに道徳観や価値観と向き合い『なにが正しくて大切なのか』を問いかけることだと考えています。今回の舞台化では、原作のアニメーション作品と同様にエヴァンゲリオンにパイロットたちが搭乗して使徒と戦いますが、私たちの物語は別の道へ向かって行きます。アニメと同じものを映し出すわけではありません。これは、今の世界を映し出す鏡なのです」と述べ、「伝えたいのは『今、我々がどう生きているか』ということ。ご覧になったあとは、ぜひ皆さんで語り合っていただけたらと思います」と期待を込めた。

窪田は「今の大人たちは子供たちへバトンを渡すことができるのか。『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』はとても現代的なテーマが込められた作品だと解釈しています。渡守の生き方は自分の心を代弁してくれている気がして、舞台はそれをストレートに表現できる場所でもありました。デジタルが加速してすべてが映像やインターネットに代わっていく時代だけど、あえてそこに抗い、今『エヴァ』を演劇でやる意味はあると、僕は思っています」と語り、「先入観を捨て、目の前で起きることを自然な感覚で捉えていただけたら幸いです」と観客へ呼びかける。

石橋は「この作品ではヒエラルキーの頂点には叶が、その下にイオリ、そして子供たちがいる。そんな男性社会の中で、人には制御しきれないエネルギーを使う弊害が描かれるなど、とても今にリンクした作品になっています」、田中は「叶が手をのばすもの、僕はそこに原発をイメージします。今はしのげていても明確な未来は見えない。暮らしは豊かになったけど、電力が供給され続けなければその豊かさは維持できない。もうあとには引けない、だから科学者として突き進むしかない。叶の姿には、今の世界が如実に反映されていると感じています」とコメントした。

上演時間は休憩含む約2時間35分。東京公演は5月28日まで行われ、そのあと6月3・4日に長野・まつもと市民芸術館、10日から19日まで大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。

シディ・ラルビ・シェルカウイ コメント

「エヴァンゲリオン」を舞台化するというのは、まさに道徳観や価値観と向き合い「なにが正しくて大切なのか」を問いかけることだと考えています。今回の舞台化では、「エヴァンゲリオン」という神話を使いながら、同時に新たな物語を立ち上げます。原作のアニメーション作品と同様にエヴァンゲリオンにパイロットたちが搭乗して使徒と戦いますが、私たちの物語は別の道へ向かって行きます。原作の原理や本質を反映していますが、私たち独自のやり方でそれを表現しています。ただアニメと同じものを映し出すわけではありません。これは、今の世界を映し出す鏡なのです。ですから「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」は、ある意味で「エヴァンゲリオン」とは違うことを目指しています。そこで伝えたいのは「今、我々がどう生きているか」ということ。ご覧になったあとは、ぜひ皆さんで語り合っていただけたらと思います。この作品を見てどのように感じたか、そして自分の仕事や人生についてどう考えるか。そんな会話が生まれるのを楽しみにしています。

窪田正孝 コメント

今の大人たちは子供たちへバトンを渡すことができるのか。「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」はとても現代的なテーマが込められた作品だと僕自身解釈しています。渡守の生き方は自分の心を代弁してくれている気がして、舞台はそれをストレートに表現できる場所でもありました。デジタルが加速してすべてが映像やインターネットに代わっていく時代だけど、あえてそこに抗い、今「エヴァ」を演劇でやる意味はあると、僕は思っています。正直、情報に埋め尽くされすぎて心に余白のある人が以前より少なくなった気がしています。

だからこそこの作品に僕は余白を作りたいし、観てくださる方の、なにかきっかけになればと思っています。先入観を捨て、目の前で起きることを自然な感覚で捉えていただけたら幸いです。

石橋静河 コメント

ラルビさんといつかお仕事がしたいと思っていたのが10年くらい前のこと。ダンスを志す者としていつかご一緒したいと思っていましたが、踊りを離れてお芝居の世界に入って。思っていた通りにではないけれど、確実に夢が叶ったことに不思議な感覚を覚えます。

この作品ではヒエラルキーの頂点には叶が、その下にイオリ、そして子供たちがいる。そんな男性社会の中で、人には制御しきれないエネルギーを使う弊害が描かれるなど、とても今にリンクした作品になっています。だからこそ表面的な設定や世界観だけでなく、この作品の真髄をご覧になる方々へ伝えたいと思っています。

田中哲司 コメント

今回の話を聞いたとき、よく「エヴァンゲリオン」の舞台化を決意されたなと思いました。でも2018年に「プルートゥ PLUTO」を観て、作品をまとめ上げる力量に感嘆したので、ラルビさんの演出ならば、そこに身を委ねてみたいと思いました。実際に稽古が始まってみて感じるのは、この作品の根底にあるのは人間の力であり、そこに「エヴァンゲリオン」を演劇にする意味が詰まっているということです。

叶が手をのばすもの、僕はそこに原発をイメージします。今はしのげていても明確な未来は見えない。暮らしは豊かになったけど、電力が供給され続けなければその豊かさは維持できない。もうあとには引けない、だから科学者として突き進むしかない。叶の姿には、今の世界が如実に反映されていると感じています。

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THEATER MILANO-Zaこけら落とし公演 COCOON PRODUCTION 2023「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」

2023年5月6日(土)~28日(日)
東京都 THEATER MILANO-Za

2023年6月3日(土)・4日(日)
長野県 まつもと市民芸術館

2023年6月10日(土)~19日(月)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

原案・構成・演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
舞台版構成台本:ノゾエ征爾
上演脚本:渡部亮平
出演:窪田正孝石橋静河板垣瑞生永田崇人坂ノ上茜村田寛奈宮下今日子田中哲司 / 大植真太郎大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、森井淳、笹本龍史、渡邉尚、高澤礁太、権田菜々子
歌唱:山脇千栄(東京・長野公演)、阿部好江(大阪公演)
スウィング:伊藤わこ、大知

※村上虹郎に代わり、板垣瑞生が出演します。

読者の反応

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みさき @msk7ll

窪田正孝じゃなかったら低評価一択やな…
アンサンブルがひどい https://t.co/4kcfNNTPrD

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