津田大介があいちトリエンナーレ芸術監督就任「観て判断して」

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「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督就任会見が、本日8月1日に愛知・愛知県庁本庁舎にて行われた。

津田大介

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「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督に就任したのは、ジャーナリスト / メディア・アクティビストの津田大介。委嘱状の交付を済ませ会見に臨んだ津田は、「異例の人選に驚かれた方も多いと思いますが……」と挨拶。ITジャーナリスト、ラジオパーソナリティー、メディアプロデューサーなど、自身が歩んできたこれまでのキャリアを紹介し、「デジタル技術が芸術に与える影響を考えていたら、文化庁から審議会専門委員の要請をもらい、そこで発言をしているうちに、インターネットユーザー協会(MIAU)を立ち上げることに。数珠つなぎに役割や仕事が増えていきました」と今日に至った経緯を語る。また自身が手がけてきた「SHARE FUKUSHIMA」「いわき万本桜」などアートとジャーナリストの中間に位置する作品を紹介し、「こういった経験を芸術監督に生かせれば」と意気込みを述べた。

津田大介

記者から、芸術の専門家ではない津田が芸術監督に就くことについての効果を尋ねられると、「難しい質問ですね……」としばし考え、「それは、何故引き受けたかにもつながるのですが」と続ける。「2016年は自分にとってショックな年でした。イギリスでブレグジットが起きて、トランプ大統領が誕生。人々がある種の本音を言い始め、そのせいで社会が動揺する、世界史に残るような年でした。その延長で今、2017年がある。僕は芸術の専門家ではないですが、時代に今何が起きているかを取材する普段の仕事と併行することで、アーティストとキュレーターを結び、『普通の芸術祭とちがったよね』という印象が残せたら」と構想を語る。

津田大介

また、インターネットでの「専門家でないのに務まるのか」という反応については「全部見てます(笑)」と言い、「でもまあ、やってみてですね。開催まで2年あるので、自分なりに全力を尽くします。どんなものになるか、僕もまだ想像もつかないけど、期待してくださってる人も、ボロクソに叩いてる人も、観て判断してもらいたいですね」と来場者に呼びかける。さらに「オリンピックの前年ということもあるので、その点で何かできることもないのかキュレーターチームと相談していきたい。また、東京での露出があまりないので広報部長という側面も担えたら」と付け加える。

テーマについては、“グローバリズムとナショナリズム”“エリート主義と反知性主義”“普遍主義と相対主義“”理想主義と現実主義”“高齢者と若者”“都市と地方”と、増え続ける対立軸についての問題意識と、一方で、その対立構造から抜け落ちている中間層の存在を挙げ、「物を結んで開く。対立構造を解体して中間にあるものを結んでいきたい。それができるのが芸術という表現なんじゃないかと思っています」と言い、10月に詳細を発表することを明かした。また、本芸術祭の特色である「パフォーミングアーツ分野」については、「舞台芸術も一緒になっているところがこの芸術祭の大きなコンセプトでもあるので、その大枠は変わらないと思います。ただそれが、全体のテーマとどのようなシナジーを見せるか。あいちトリエンナーレは次が4回目となるので、今までやってきたことだけではなく、何か違った新味を出したい」と目を輝かせた。

「あいちトリエンナーレ」は、愛知県で3年に1度開催される現代アートの祭典。国際展や映像プログラムなどの現代美術と合わせて、ダンスや演劇、オペラなどの舞台芸術もラインナップされる。前回は去年2016年に開催。ダイジェスト動画が、現在YouTubeにて公開中だ。

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河村書店 @consaba

津田大介あいちトリエンナーレ芸術監督「芸術の専門家ではないですが、時代に今何が起きているかを取材する普段の仕事と併行することで、アーティストとキュレーターを結び、『普通の芸術祭とちがったよね』という印象が残せたら」 https://t.co/lcQpoiOx0Z #nicohou

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