のっちはゲームがしたい! 第12回 [バックナンバー]

「モンスターハンター」のボイス収録に挑戦!あの肉焼きの声も「上手に録れました~」

辻本良三プロデューサーはモンハンの何を変え、何を変えないのか

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私は「ライズ」のことを「令和のモンハン」って言ってるんです

のっち まだ体験版しかプレイできてないんですけど(※取材は「モンスターハンターライズ:サンブレイク」発売前の2022年6月に実施)、「サンブレイク」面白かったです! メル・ゼナがカッコよかった!

辻本良三 ありがとうございます。のっちさんはいつからモンハンをやっているんですか?

左から辻本良三さん、のっちさん。

のっち 初めて知ったのはテレビCMだったと思います。いろんな芸能人が出てきて「前作のプレイ時間:何百時間」って表示されるやつ。「この忙しそうな人たちがそんなにハマるゲームがあるのか」と思いました。それからゲーム好きな友達が「一緒にやろうよ」って誘ってくれて「ダブルクロス」を初めて買ったんですけど、私、人と一緒にやるゲームがあまり得意じゃなくて……(笑)。1回だけカラオケに集まってみんなでやったんですけど、あとはずっと1人でプレイしてましたね。ほかに「ワールド」もちょっとやったんですが、一番やりこんだのはスマホアプリの「エクスプロア」(※2020年11月にサービス終了)です。

辻本 なんと! ありがとうございます! 「エクスプロア」のスタッフが喜びます(笑)。

のっち それまでモンハンに触れたことがない初心者にとって、モンスターの動きが覚えられなくて「当てようと剣を振ったところにもうモンスターがいない」というのはストレスだったんですけど、アプリはボタンを押したら全部の攻撃が当たるんですよ。あとは、課金すればするほどいい素材が多くもらえるというシステムが本当に気持ちよくて(笑)、かなりハマってハチャメチャに課金してました。

辻本 サービス再開せなあかんな(笑)。

のっち 「ライズ」を作ることになったとき、まずどんなゲームにすることを目指したんですか?

辻本 ひさびさに携帯機で遊べるモンハンなので、手軽に遊んでもらえるような設計をテーマにしました。「寝る前に、ベッドに入って15分で1クエストだけやろう」みたいな気軽さやスポーティな部分を重視して。

のっち 「いろんな面で遊びやすくなったな」と思ったんですよ。個人的に苦手だった機能が全部なくなって、ガルクのおかげでフィールド移動も速くなって。あとこれは「ワールド」からですけど、ペイントボールもなくなりましたよね。あれも苦手で、いつも当たらない当たらないって言ってるうちにやられちゃってました。モンスターが最初からフィールドマップに表示されるのも「ライズ」からですよね? 「ワールド」にもモンスターの痕跡の匂いを覚えるというのがありましたけど。

辻本 最初からモンスターの位置がこれだけはっきり見えるのは「ライズ」からです。あれはクエスト開始時にハンターが飛ばす、フクズクという鳥が教えてくれてるんですよ。

のっち 確かに最初に飛ばしていますね! あの子が全部見てくれてるんだ。私は「ライズ」を人にオススメするときに「令和のモンハン」って言ってるんです。「今はもう“令和のモンハン”になってるから! やってみて!」って。

のっちさん

辻本 令和のモンハン(笑)。そうですね。プレイヤーが肉を焼くこともあんまりなくなってきましたし。

のっち あ、確かに。なくなりましたね。

辻本 そこらへんも「モンスターハンター」というものを全体的に見直した結果ですね。

のっち それって毎回やってるんですか?

辻本 毎回やります。開発期間が長いタイトルは見直す期間もあるので、「ライズ」ではひさしぶりの携帯機で遊べるモンハンですし、特にやりましたね。作ってる途中でゲーム自体の仕様をガラッと変えちゃうときもあるので。

のっち ドンガラガッシャンと。それってめちゃくちゃ大変な話ですよね?

辻本 大変ですね。そのときはみんなに「1回休んでゆっくりしてから考えようか」と声をかけます(笑)。

辻本良三さん

のっち でも、あんまり変えすぎても“モンハンらしさ”がなくなってしまいそうだし、そこの葛藤はありそうですよね。

辻本 「残さないといけない遊び」はなんとなく自分たちの中にあって、それ以外の要素から「今の人たちにとって本当に必要なのか」を見直してるんです。プレイヤーの方に「これモンスターハンターじゃないよね」と思われるのは絶対ダメなので、それだけは気にしてます。

のっち 私が驚いたのは、モンスターが弱ってきて捕獲できるようになったら「今なら捕まえられますよ」と表示されるようになったことで。それまではプレイヤー同士で「もういけるかな?」って会話しながら、結局捕獲できなかった、みたいなところにもモンハンっぽさを感じてたから、あれってすごく大きい変更だなと思って。基本的に1人で遊んでる私にとって、あの機能は助かるんですよ(笑)。

辻本 そうですね。今回はそこよりも、立体的なアクションをもっと楽しんでもらうのがテーマなので。ペイントボールをなくしてモンスターがどこにいるか最初からわかるようにしたのも同じで、モンスターを探すことに集中してもらうより、そこまでのルートをどう進むのかに集中してほしかったんです。一直線に向かってもいいですし、環境生物を取得しながら向かってもらってもいいですし。

のっち 確かに、寄り道すればするほど強くなるし。移動するだけで楽しいです。

辻本 そこにストレスをかけたくなかったというのもあって、翔蟲を使っての移動やアクションを導入したんです。

のっち ビューンって上に飛んでいったり、動きが気持ちよくて。まあ、うまく使えたらですけど(笑)。遊びやすすぎて、翔蟲のないモンハンはもうできないんじゃないかってくらいです。

私の課金もその一部になってるんですね……

のっち 今回の「サンブレイク」もそうですけど、モンハンって「モンスターハンター4」のあとに「4G」、「クロス」のあとに「ダブルクロス」、「ワールド」のあとに「ワールド:アイスボーン」みたいに、あとで新しくアップグレード版を出すじゃないですか。それってどの段階で決まってるんですか?

辻本 その時々によって違いますが、「ライズ」の場合、決まったのは開発が後半になってからですね。だから「ライズ」を作りつつアップデートの作業に入ってました。最初から決めているということはないです。

のっち それってどうしてですか?

辻本 アップデート版は、元となる“無印”のゲームをより深く遊んでもらうことがテーマの1つです。そのため評判だったり、どこを深掘りするといいのかなど、ある程度プレイヤーの意見も聞きながら作らなければいけないからです。とはいえカプコンはモンハンしか作っていないわけじゃないから、ほかのゲームの制作にも人を入れないといけないので、アップデートの実施もそんなに急には決められなくて。

のっち あらかじめ人員を確保しないといけないから、ある程度は先に決めておくってことですね。

辻本 そうなんです。「サンブレイク」も社内だけで多いときは250人くらい関わっていたので。

のっち ええっ! それ以外に外部の人もいるってことですよね? 社内だけで250人のプロジェクトってすごい!

辻本 だからエンディングのスタッフロールが長いんですよ。僕の名前がいくら待っても全然出てこなくて(笑)。

のっち ははは(笑)。それって、何をしてる人が多いからなんですか?

のっちさん

辻本 サウンドはBGMとSEで違うし、キャラクターもデザインする人、モデルを作る人、動かす人がそれぞれ別だし、プログラムもプレイヤー担当、モンスター担当、ステージ担当とそれぞれ分かれてるので、たくさんの人数になってしまうんですよ。

のっち それらを会社内でやってるんですね。ほかのタイトルを作っている人も合わせると、どれくらいの人数になるんですか?

辻本 この東京の開発は300人くらいで、大阪は開発だけで2000人くらいいるのかな? 本社ビルのほかに研究開発ビルが2棟あって、そこが全部埋まってるくらいですね。

のっち ええっ! すごい……私の「エクスプロア」の課金もそのビルの一部になってるんですね……。

辻本 ありがとうございます! みんなの給料になっております(笑)。

部位破壊はあんまり痛そうじゃないところですることが多いんです

のっち 「ライズ」は和風の世界観でしたけど、「サンブレイク」で洋風に変えたのはどうしてなんですか?

辻本 拡張コンテンツとはいっても、やっぱり新作が発売されたくらいの感覚で遊んでほしいので。あと、プレイしていて「これは『サンブレイク』だな」とわかりやすい雰囲気にしたかったんです。和のテーマを引き継ぐと、どっちなのかわからなくなるかもと思って、ガラッと変えちゃおうと。ただ残すべきところは引き継ぎたいので、日本の妖怪をモチーフにモンスターを作っていた「ライズ」に対して、「サンブレイク」では中心となる3体のモンスターを西洋の怪物をモチーフにしました。吸血鬼とか狼男とか。

のっち ああ、なるほど! 言われてみると「ライズ」のモンスターは妖怪モチーフですね! アケノシルムは唐傘おばけ?

辻本 そうですね。あと、ヨツミワドウは河童、とか。

のっち 「ライズ」は和風というテーマがあるのでモチーフを考えやすかったのかなと思うんですけど、ほかのタイトルでは何をイメージしてモンスターを作ってるんですか?

辻本 いろいろとあるんですが、「作品のテーマ」「ゲームのどの段階に出てくるのか」「どのステージに出てくるのか」「どんな生態を持ってるのか」とかですかね。

のっち あー、ステージかー!

辻本 モンスターは架空の生物なんで、考えるのにものすごく時間がかかるんですよ。だからモンスターを作っているメンバーは、いろんな生物のデザインや動きなどについてすごく研究しています。あとゲームなので、もちろん強いモンスターだけではなく、そんなに強くないモンスターとかも考えないといけないので。

のっち そのへんにいる、攻撃してこないちっちゃいやつとか?

辻本 そういうのもだし、序盤で最初に出会うモンスターもそうだし。ある意味、全モンスターが強そうでカッコいいのはダメなんです。「これはどのレベルで出てくるモンスターなのか」というのを考えるのは、けっこう気を遣う作業なんですよね。

辻本良三さん

のっち そのバランスは確かに難しそうですね。めっちゃくちゃかわいいモンスターを考えちゃって「かわいそうだから斬れないよ……」みたいなこともありそう(笑)。

辻本 一応、そこらへんは制作サイドも気にしていて、部位破壊はあんまり痛そうじゃないところですることが多いんです。爪とか角とか。

のっち あっ! 確かにそうだ! 尻尾の先を切り落とされても、そんなにグロさはないかも。

辻本 意外とそこらへんのことも考えてるんです。

今めちゃくちゃ誘ってるんですよ

辻本 のっちさんは基本的に1人で遊んでいるとのことですが、「サンブレイク」ではNPC(ノンプレイヤーキャラクター)をパートナーにできる「盟勇クエスト」というシングルプレイ専用クエストがあるんですよ。

のっち えっ! 村の人とかと一緒にクエストに行けるんですか? 例えば誰ですか? お団子屋さんも連れていけるんですか!?

辻本 お団子屋さんは連れていけないですが、けっこういろんなキャラクターと遊べますよ。しかも連れて行くキャラが、クエスト中にけっこうしゃべるんですよ。同行するキャラクターが決まっている「盟勇同行クエスト」と、パートナーを自由に2人チョイスできる「重要調査クエスト」の2種類あるんですけど、連れていく2人の組み合わせによっては、掛け合いがあったりもして。

のっち うわっ、それ楽しい! しょっちゅう村の人たちと世間話をしてる私向けですね(笑)。

辻本 1人でプレイしている人も、にぎやかに遊んでもらえると思います。

のっち 「モンハンは人とやるもんだ」っていう認識があったから、1人でやるのってどうなんだろうと思ってたけど、1人でもずっと楽しかったですね。

のっちさん

辻本 そういう人にもちゃんと楽しんでもらいたいという思いがあったんです。昔は人数にかかわらず難易度固定だったので、1人でプレイするとすごく難しかったんですが、今は集会所も参加人数に応じて難易度が変わるようにしてありますし。まあ、それでもマルチでやったほうがクリアしやすいとは思いますけど。ちなみにPerfumeのメンバー同士で一緒にやったりしないんですか?

のっち ゆかちゃん(かしゆか)はモンハンが好きで、昔「モンハンラジオ」(モンスターハンターシリーズの公式Webラジオ)にもお邪魔したことがあるんですけど。

辻本 そうですよね。

のっち でも2人のハマってやってる時期が違うから、一緒にやったことは1回もなくて。だから今めちゃくちゃ誘ってるんですよ。「令和のモンハンだよ!」って(笑)。ゆかちゃんが使うのは太刀だったかな? なんか「尻尾を切る係なんだからちゃんと尻尾に当てて」って怒られるんだって言ってましたね(笑)。

辻本 のっちさんはどの武器を使うんですか?

のっち 私は基本的に双剣しか使ってないんです。「双剣が強い」って書いてあるのを何かで見たのかな? あとは実況してた人が双剣を使ってたとか、そんなきっかけだと思います。

辻本 女性は特に双剣を使ってる方が多いんですよ。手数も多いので気持ちいいですよね。

のっち あと、大きい武器だとモンスターの前で「よいしょ」って溜めてから攻撃するじゃないですか。モンスターの動きを見極めるのがまだ苦手だからうまく当たらないし、双剣でチョチョチョンってやってるほうが向いてるかなって(笑)。

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モンスターハンターライズ:サンブレイク公式 @MH_Rise_JP

ゲームが大好きなPerfumeの のっちさん が、ゲームに関わるさまざまな人々に会いに行くこの連載。

今回は『モンスターハンター:サンブレイク』特集!🎉
辻本Pとの対談を始め、ゲームキャラのボイス収録に挑戦していただきました!

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