ナタリー15周年記念インタビュー 第2回 [バックナンバー]

憧れの藤井隆とついに対面!西山宏太朗の愛が弾け出し、タカシも思わず「最高!」

15年前ではこんな対談、実現しなかったかも? 時代が劇的に変化する今、西山宏太朗がマルチに活躍する藤井隆に創作の極意を聞く

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藤井隆から西山宏太朗へ「最高」

西山 ああもう、この機会にいろいろ聞きたいことがあるんですけど……。

藤井 いやあもう、どうぞどうぞ。

西山 あの僕、「ニッポン!いじるZ」が好きで……(※2011年から2013年にかけてTBSで放送されたバラエティ番組。藤井隆のほか、東野幸治田中みな実らが出演していた)。あともう1つ好きな番組で、「おしえて!美bien!!!」というのがあって……(※2015年から2017年にかけてTOKYO MXで放送。働く女性の美と健康の悩みや疑問を解決するバラエティ番組)。

藤井 (笑)。最高。

──「最高」いただきました。

藤井 最高。

西山 「おしえて!美bien!!!」は、最初観たときにすごい番組が始まったなと思って。

藤井 自分でも思いましたよ。

西山 伺いたかったのが、藤井さんがバラエティ番組に出られているときの、あの笑いの方向性は台本とかでは書けないボケというか、“作り”だなというふうに感じていて。どういう台本なんだろうとずっと思っていたんですよね。

藤井 僕は若いときから本当に周りの人に恵まれていて。会社の人に「自分の意見があるならばちゃんと言いなさい」と教わってきたんです。MCのお仕事をさせてもらうようになったときも、もともとは人の話を聞くってことがそんなに得意じゃなかったと思うんですけど、「こういうふうに興味を持つんだよ」とか「こうすれば話が弾むんじゃない」とか、基本的なことをたくさん教えていただいたんです。でもあるときからやっぱりポンって放り出される時期があって。

西山 へええ。

藤井 そうしていくうちに自分の意見を言うようになっていって。最初は台本というよりも構成台本みたいな、入り口は「どうもこんにちは」みたいな感じで、こういうコーナーがあって、最後はこう終わるみたいな、ラフデッサンみたいなものを作家さんに共有して。そうしたら作家さんが面白いところを広げてくださったり、まるで僕の言葉のように修正していただいたりしたんですね。そうやって勉強させてもらったので、本当にありがたかった。だから台本自体はもちろんあるけど、最近なんかは本当に粗いです。入り口も出口も。でもこういう物(CDジャケットなどのアートワーク)とかは最初にデッサンしますね。それでロケハンにも自分で行って。映像で見えちゃったものはもうしょうがない。「こういうのを撮りたいです」とか「こういうのじゃなきゃ嫌です」となったら、もう事細かに書いていきます。

左から藤井隆、西山宏太朗。

藤井さんの影響で一輪車を作りました

西山 なるほど……。

藤井 西山さん、作詞とかはされるんですか?

西山 やったこともあります。

藤井 そうやって自分で何か考えたりするのは好きですか?

西山 けっこう好きかもしれないです。何かを作ってみたり、絵を描いてみたりだとか。でも今は思うままにというより、「生み出そう!」という気持ちが大きいかもしれません。

藤井 そうなんや。

西山 劇団ユニット(大井町クリームソーダ)をやっていて、そのグッズのデザインを自分で描いたりすることもあるんですけど。そういうときは「降りてきた」みたいな感覚になることはありますね。

藤井 楽しいよね。2002年かな、初めてコンサートツアーをやることが決まって、スタッフさんに「グッズは何がいい?」と聞かれたんです。たぶんスタッフさんも僕が「Tシャツがいいです!」とかって言うと思ってらっしゃったらしくて。そしたら……これもボケてるつもりまったくないんだけど、僕は「ガスグリルを作りたい」と言ったんですよ。

西山 (笑)。

藤井 「こういうカラーリングで」「ここに強火のボタンがあって」とか全部描いてね。「これで!」と提出したらスタッフさんも「ええ……?」ってガッカリなさって。でもそのレコード会社さんが優しくて、1台作ってくれたんです(笑)。

西山 すごい!(拍手)

藤井 それをね、ツアーでずっと持ち歩いて。だから本当に恵まれてるんです。

西山 マシューのときも自転車を作られてましたよね?

藤井 マシューが言っていましたが、あれは小道具ですよ?(笑) 美術さんが作ってくださって。

西山 僕、マシューに影響されて一輪車を作ったことがあるんです。

藤井 あはははは!(笑) かわいいじゃない。

西山 1台限定で作って。それを抽選でプレゼントするっていうのをやったことがありました。自分もちびっ子たちの夢を一輪車に乗せたいみたいなのがあって。

藤井 すごいじゃないですか。素敵、素敵。

西山 そういうところでもインスパイアじゃないですけど、影響を受けています。

西山宏太朗

──過去の雑誌でも「人を笑わせるのが好きだから、藤井さんのようにトーク力を身に付けたい」と語っていたことがありましたよね。

西山 僕の中では、とにかく「面白い=藤井さん」だったんです。

藤井 えええ? 面白かったらうれしいし、ありがたいなと思う。だけど「変わってる」とか「変だね」とかのほうが言われるから……だから「Interesting!」みたいな感じ? 「興味深いね!」みたいなことはよく言われる(笑)。それと「面白いね!」「Funny!」みたいなのって、ちょっと違くない? だからそうやって素直に笑ってくださっているならば、すごくうれしいですよ。

西山 腹がよじ切れるくらい笑いますよ。

藤井 あのね、本当にいまだに忘れられないんですけど、マネージャーさんでね、全然笑ってくれへん方がいて(笑)。2年間一緒だったんですけど、ホンマに僕は笑ってるところを見たことがなくて。「誰が好きなんですか?」と聞いたら、もうまったく違う芸風の人で。そりゃ笑わへんわみたいな。だからなんかその人との2年間がすごいね、いまだにね……。

西山 (笑)。

藤井 トラウマじゃないよ? 1mmも笑ってくれへんマネージャーだったから、その人を思い出すと「ああ、はしゃいだだけやった」「いかんいかん、浮かれてた」と冷静になれるというか。冷や水こそかけられへんけど、なんか「全然面白くなかったです、今日も」みたいな感じだったんですよ(笑)。

西山 あはは。

藤井 でも彼、僕の担当が終わってから大阪に転勤したんですけど、僕が「Coffee Bar Cowboy」のツアーで大阪に行ったときに楽屋に来てくれたことがあって。「えー! 観に来てくれたーん?」とか浮かれて話を聞いたら、「西寺郷太(NONA REEVES)さんが好きだから」と返されて。「ほら! やっぱり俺ちゃうかったやん!」みたいな気持ちになった(笑)。

声優業界にも変化があった15年

──ナタリーが生まれた2007年の2月、西山さんは中学校の卒業を控えて高校生になる頃だったと思うんですけど、そのときにはもう声優としてのお芝居を学べる高校への入学を決めているんですよね。

藤井 何がきっかけですか?

西山 その頃、声変わりをするかしないかぐらいでずっと声が高かったんですけど、「その声を使って声優になれるんじゃない?」と友人に勧められて。先生にも「こんなことを学べる高校があるよ」と教えてもらって、「じゃあもう行っちゃおう」と思って決めました。

藤井 へええ。小さい頃からアニメを観て育ったんですか?

西山 そうですね……でも、ジブリ作品や「ポケモン」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」みたいなメジャーどころを観ていたぐらいで。

藤井 王道だったんだ。

西山 どちらかというと朗読とか、そういったことのほうに興味がありました。

藤井 それは今も変わらず? ナレーションとか?

西山 そうですね。今もやりたいなという気持ちはずっとありますね。

藤井 そうなんや。

西山 だけど高校に入ったらがっつり声変わりをして、「高い声どこ行った?」「武器なくなっちゃったじゃん!」みたいな感じになって(笑)。でも、お芝居のことを勉強していくうちに、「やっぱりめっちゃ楽しいな」と思うようになって、改めて声優を目指すことにしたんです。

藤井 15年前だと、声優業界はどんな時代だったんですか?

西山 「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」のような深夜アニメが流行っていた頃ですね。世の中にはいわゆる“アキバ系”みたいな言葉が出てきて、秋葉原がすごく盛り上がっていた時期だったと思います。

──「萌え」という言葉をよく聞くようになった頃ですよね。この15年は声優さんの在り方が変化してきた時代でもあったのかと思います。当時の深夜アニメブームからつながって来て、今は本当にいろんなメディアで声優さんがご活躍されていますし。

藤井 確かに。

西山 アニメの本数も年々増えていった時期だったと思います。近年だとゲームができるアプリが流行ったり、ドラマCDがたくさん出たり、声優が活躍できる場所も多くなって、声優自体の数も増えていっているんですよ。

藤井 Twitterで拝見したんですけど、画面の上に絵があって、下に西山さんがいて。「お前なんとかだな」とかって言って……あれはゲームですか?

西山 ああ、あれはLINEマンガというサービスの企画で、動くマンガに声を当てて、そのアフレコの様子を映像で見せようっていう動画なんです。

藤井 なるほど! LINEマンガの宣伝ってことなのね。なるほど、なるほど。あれ、ずっと西山さんのほう見ちゃうじゃん!って思ってた。

西山 (笑)。でもそういうのって昔は……。

藤井 あんまりなかったでしょう。声優さんが顔を出して、みたいなことって。

西山 そうですね。15年前となると、声優さんがテレビに出るとしても、どちらかというとバラエティ番組で「あのキャラクターの声優の顔が見てみたい」というふうに特集されて出る、みたいなことが多かったと思います。こうやって藤井さんと対談させていただいているのも、15年前じゃ実現しなかったんじゃないかなと思いますね。当時と今では業界自体が変化しているというか。

藤井 でも西山さんの今の年齢じゃないとこの状況とマッチしなかったから、生まれたときから運が強いんだと思いますよ。それに声優さんの数が増えた中でも、こうやって人気を博するのはすごいことだから。

西山 いえいえ……。

身の振り方を考えなさいと言われた15年だった気がします

──藤井さんは2007年を振り返って、印象に残っていることはありますか?

藤井 2007年はね、Perfumeさんですね。当時、ロサンゼルスかどこかに仕事で行くことがあったんですよ。それで飛行機に乗る前にたまたま「ポリリズム」(参照:[Perfume] CMソング「ポリリズム」発売日決定)の映像を観て。「誰これ、すっごい気になる!」と思いながら飛行機に乗ったんですけど、メイクさんと「知ってる?」なんて話をずっとしていたんですよね。当時はまだWi-Fiとか、そういうのも今ほど発達していなかったから。検索するのも「通信するのがもったいない!」みたいな感じで。「早く日本に帰って知りたい!」と思ったのをすごく覚えてますねえ。あと安室奈美恵さんを聴いてた時期ですね。

──藤井さんはこの15年の間にSLENDERIE RECORDを設立されるなど、音楽活動も精力的にされていたように思います。

藤井 そうですね。なんか……15年かあ。でも一番大きなのは舞台の仕事だったと思います。それまではテレビにも出させていただいて、音楽もそうですけど、自分の知らないところで周りが進めてくださっていたお仕事を担当させてもらうことが多くて。でも「これからは自分の責任だよ」と、腹を括らないといけないと感じた時期だったと思います。舞台の仕事をさせていただくと、ものすごく楽しいんですけど、苦しいこともあるし、楽しいけど何かができないとか。そういうことを感じたんですね。それまではね、わりとなんでもかんでも「わーい!」って手に入れてたんですけど、そろそろちゃんと選びなさいと言われた気がしたんです。それは体力的にもそうだし、なんでもかんでもはできないってことがわかってきて。そんなに図々しく欲張れるのは若いときじゃないと、とか、あとは選ばれし人じゃないとできないから。そろそろちゃんと身の振り方を考えなさいって言われた15年だったような気がします。でも今日は本当に楽しかったです。

藤井隆

西山 いえいえ、こちらこそ。

──西山さんのファンや西山さんを知るアニメファンの間でも、西山さんと藤井さんが似ていると言われているのをよく見かけるんですけど。

西山 おこがましいです、そんな。

──それは私もお二人を見ていてすごく感じるんです。なんでしょう、お話しているときの雰囲気とか所作とか、ステージ上での振る舞いとか。何か近しいものがあるように感じていて。

藤井 そうなんですね、それはありがたいです。

──今日こうやって対面を果たしたことですし、今後も何かお二人が一緒になる企画が見られたらうれしいなと、いちファンとして思っています。

藤井 がんばります。

西山 いやいや、恐れ多いです、本当に。

──きっとお話したいことはまだまだたくさんあると思うんですが、西山さん、もし最後に「これだけは」みたいなことがあれば……。

西山 ええ、いいですか?

藤井 全然なんでも!

西山 藤井さんって僕の中ではミステリアスな方で。

藤井 え、こんなにしゃべって? まだミステリアス?

──(笑)。

西山 なかなかご本人のプライベートなお話は聞けないなと思っていて。

藤井 うんうん、なるほど?

西山 あの、コンビニで何買うか……とかって……。

(現場の一同爆笑)

藤井 すごくいい質問ですよ! あのね、ファミリーマートの大学芋って食べたことありますか?冷凍の。もう、ビックリするくらいおいしいですよ。

西山 へええ! もう今日買って帰ります!

藤井 冷凍なんですよ。解凍して食べてくださいって書いてるんですけど。全然解凍せんと、そのまま食べるんですよ。ただ歯が持ってかれるから、詰め物とかされてたら気を付けてほしいんですけど。あれはすごくおいしかった。

西山 いやあ……そうなんだ。よかった。聞けて。

藤井 何買いますか?

西山 僕は……焼き鳥がすごい好きで。ファミリーマートの焼き鳥がすごい好きで、よく食べます。

藤井 ああ、おいしいの?

西山 すごく大ぶりで満足感があってオススメですね。……もし、よければ(笑)。

藤井 へえ、買ってみます。……うそうそ、食べたことある(笑)。もちろん。なんかコンビニ行ってませんみたいな雰囲気出したでしょ、今(笑)。全然行ってるよ。

左から藤井隆、西山宏太朗。この日の取材では、3月10日に50歳の誕生日を迎えた藤井にサプライズでケーキがプレゼントされた。

藤井隆(フジイタカシ)

1972年3月10日生まれ。1992年に吉本新喜劇オーディションを経て、お笑い芸人として吉本興業に所属。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、同年「NHK紅白歌合戦」に初出場した。松本隆プロデュースの1stアルバム「ロミオ道行」、本間昭光プロデュースの2ndアルバム「オール バイ マイセルフ」などで高い評価を得ながらも、2007年8月発売のシングル「真夏の夜の夢」以降はアーティストとしての活動を休止。2013年6月にシングル「She is my new town / I just want to hold you」で6年ぶりにアーティスト活動を再開し、2014年9月には自身主宰レーベル「SLENDERIE RECORD」を設立した。以降は2015年6月に「Coffee Bar Cowboy」、2017年9月に「light showers」といったアルバムをコンスタントにリリースするなど積極的な音楽活動を展開。自身の作品以外にも、早見優、レイザーラモンRG、椿鬼奴、鈴木京香、伊礼彼方の音楽作品をプロデュースしSLENDERIE RECORDからリリースした。2020年10月にはレーベルのオムニバスアルバム「SLENDERIE ideal」を発表。藤井は本作で参加アーティストの楽曲セレクト、トラックメイカーのチョイスからアートワークまでをプロデュースした。2022年3月に作詞作曲に堀込泰行を迎えた新曲「ヘッドフォン・ガール -翼が無くても-」を発表。秋には約5年ぶりとなるフルアルバムのリリースも予定している。また5月には藤井がプロデュースを手がける後藤輝基のカバーアルバム「マカロワ」がリリースされる。
藤井隆公式サイト
SLENDERIE RECORD(スレンダリーレコード)
藤井隆 (@left_fujii) | Twitter
SLENDERIE RECORD【公式】 (@slenderiereco) | Twitter

西山宏太朗(ニシヤマコウタロウ)

10月11日生まれ、神奈川県出身。81プロデュース所属の声優。主な出演作は「あんさんぶるスターズ!」(深海奏汰役)、「学園ベビーシッターズ」(鹿島竜一役)、「メジャーセカンド」(佐藤光役)、「アイドリッシュセブン Third BEAT!」(棗巳波役)、「RE-MAIN」(岡栄太郎役)など。2018年には「第12回声優アワード」にて新人男優賞を受賞。2020年10月にはミニアルバム「CITY」をリリースし、ソロアーティストとしても音楽活動を行っている。2022年5月6日には、2021年10月10日に開催されたバースデーイベントの模様を収めた「西山宏太朗 お誕生日会 『夜が明けたら ねぇ 30歳なの?ラスト20's 今夜最後の魔法を。』Event Blu-ray」がリリースされる。
西山宏太朗|株式会社81プロデュース
西山宏太朗 Official Website
西山宏太朗 (@Koutarotaro) | Twitter

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