「ブギウギ」音楽で伝える笠置シヅ子のエネルギー、趣里は「人生は楽しい！」

連続テレビ小説「ブギウギ」の完成試写会と会見が本日9月8日に東京・NHK放送センターで行われ、キャストの趣里、柳葉敏郎、澤井梨丘、脚本を手がける足立紳、音楽の服部隆之が登壇した。

朝ドラ109作目となる本作は「東京ブギウギ」で知られる歌手の笠置シヅ子をモデルにした物語。大阪の小さな銭湯の看板娘・花田鈴子（福来スズ子）がやがて“ブギの女王”と呼ばれ、大スターへの階段を駆け上がるさまを描く。この日の試写会では第1週「ワテ、歌うで！」がマスコミ向けに上映された。趣里は「どうでした？」と投げかけつつ「第1週には鈴子の原点が詰まっていて、テンポもよくて早く2週目が観たい。すごく素敵で、まさしく“ブギウギ”というタイトルがぴったりな1週目になっていると思います」と感想を話す。

「百円の恋」やドラマ「拾われた男」の脚本で知られ、自身も「喜劇 愛妻物語」などを監督している足立。「ほとんどテレビドラマを書いたことがないので、いきなり朝ドラのお話をいただいてびっくりました。普段から自分の作品は恥ずかしくてなかなか観れないんですが、最初に観てもらった息子と娘が『朝ドラっぽくなってたよ』と言ってくれて安心しました」と振り返る。そして第1週の感想を「趣里さんの歌でワクワクして始まり。（鈴子の少女時代を演じる）澤井さんの素晴らしい魅力がそのまま映っていて感動しました。両親を演じた柳葉さんと水川（あさみ）さんの愛情もあふれるように映っていて感激してます」と話した。

さらに足立は、笠置をモデルにした物語を書くうえで意識している点を「人生において厳しい局面が多い。大切な人をどんどん失ってしまう。でも自伝や評伝を読むと、根底にユーモアというのか、ある種の明るさが流れていて。それが笠置シヅ子さんの歌う表情とリンクする。そういうエネルギーや力が描けるといいなと思いました」と説明。趣里も「笠置さんの舞台からは、ものすごくエネルギーをもらえる。でも、それに相反する出来事が数々ある。それでも前を向いて明るく生きていく姿は、今の時代にとっても、自分にとっても必要だなと感じています。人生は楽しい！ それを音楽を通して教えてくれる気がしていて。皆様とも音楽を通じてつながっていけることを撮影を通して感じています」と述べた。

300人を超えるオーディションから抜擢された澤井は、本作でドラマ初出演。現在12歳で大阪出身の澤井はちょうど修学旅行に行っている間に鈴子役が決まったそうで、出演の喜びを「その帰りにお姉ちゃんとお母さんが『おめでとー』ってサプライズで教えてくれて。私も泣いて、お母さんも泣いて、お姉ちゃんも泣いて。家に帰ったらお父さんも泣いて。家族みんなで泣いて大変でした」と明かし、笑いを誘った。趣里は澤井の撮影を見学したことを振り返り「本当にお歌も上手で、素晴らしい声。私もレッスンをがんばろうと力をもらっていました」と語った。

本作への主演が決まり「まずは歌をがんばらないといけない」と覚悟したという趣里。撮影の前から始まった練習については「日々ボイトレの先生と二人三脚。普段の呼吸や発声の仕方から始めて。劇中で歌う曲もたくさんある。その都度細かくレッスンをしています。どんどん歌うことが楽しくなってきました。ダンスも先生とステージの振りを覚えて、今は撮影の合間にお稽古しています」と話す。

趣里はEGO-WRAPPIN'の中納良恵、シンガーのさかいゆうとともに主題歌「ハッピー☆ブギ」の歌唱にも参加。「決まったときは『えー！』と半信半疑でした。中納さんとさかいさんの歌声を聴いて、服部先生のディレクションで、とっても楽しくレコーディングできました。それが音楽に乗って皆さんに届けばうれしい。あとにも先にもないこと。すごく貴重な経験でした」と吐露すると、柳葉は「だって紅白狙ってるんだろ？」と冗談交じりに暴露。趣里は「なんで！ これ（記事に）書かれちゃうから！ いや、それは大変なことです」と驚きながら、話題を変えようと「撮影、がんばります」と宣言した。

服部はもともと主題歌に趣里が参加する予定はなかったことに触れつつ「本当に勘がよくて、レッスンしていく中でどんどん歌がうまくなる。『東京ブギウギ』をはじめ劇中歌を録っていくうちに、女優から歌手になり、福来スズ子として成長していく。ひょっとして趣里さんに歌ってもらうと素晴らしいのでは？と感じて」と参加の経緯を説明。その歌声を「福来スズ子としてのボーカルは、個性的でパワフル。1人の歌手として戦力になる存在で、歌っていただいてよかった」とたたえた。なお「ハッピー☆ブギ」が流れるオープニング映像は、チェコでアニメーションを学んだ牧野惇が手がけ、スズ子のパペットが歌って踊るアニメーションとなっている。

「ブギウギ」は10月2日にNHKで放送開始。