「ゴジラvsコング」場面写真
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「ゴジラxコング 新たなる帝国」をもっと楽しむ!ゴジラ×コング×ナタリー 第1回 [バックナンバー]

祝・10周年!「ゴジラxコング 新たなる帝国」へと連なる「モンスター・ヴァース」4作を振り返る

日米スターが激突!新作ではその先へ

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「モンスター・ヴァース」シリーズ第5作となる映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」が、4月26日に封切られる。2024年は「ゴジラ」シリーズの70周年であると同時に、この「モンスター・ヴァース」シリーズの10周年でもある。

改めて説明すると、「モンスター・ヴァース」シリーズとは2014年に公開された「GODZILLA ゴジラ」から始まる作品の総称。ハリウッド版「ゴジラ」シリーズと、「キング・コング(1933年)」のリブートである「キングコング:髑髏島の巨神」の壮大な世界観がクロスオーバーし、2021年公開の「ゴジラvsコング」では日米の巨大モンスター同士の激突が描かれた。

このコラムでは「モンスター・ヴァース」の過去4作品について、ゴジラファンとして知られるミュージシャンのタカハシヒョウリオワリカラ、科楽特奏隊)が紹介。「ゴジラxコング 新たなる帝国」の視聴前に読んで歴史を知ることで、最新作がより一層楽しめること請け合いだ。

/ タカハシヒョウリ

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GODZILLA ゴジラ

映画作品情報

日本での「ゴジラ」シリーズが途切れてから10年、ゴジラ60周年を迎えた2014年にレジェンダリー・ピクチャーズの製作でゴジラをリブートした新たな作品が公開された。

「GODZILLA ゴジラ」の冒頭シーンは最高だ。古代から伝わる神話や伝説の怪物のカットバックに、資料映像のような巨大生物・ゴジラの記録が混ざるオープニングは、数ある怪獣映画でも屈指のカッコ良さだと思う。従来のシリーズでは、ビキニ環礁の水爆実験の影響でゴジラが生まれたというのが定石だったが、「モンスター・ヴァース」では米ソによる水爆実験はゴジラへの攻撃だった……という衝撃のレトリックが展開され、「核の十字架から解き放たれた生態系の頂点を極める古代生物」という独自路線で新たな「ゴジラ」シリーズの始まりを告げた。

怪獣映画では、視聴者が初めて怪獣の全貌を目の当たりにするシーンがとにかく重要だが、その点でも 「GODZILLA ゴジラ」は100点をつけたい。物語の前半はゴジラの存在を匂わせつつも、ムートー(MUTO)と呼ばれるもう1体の怪獣の方にドラマを集中させているのも巧みな造りで、次第に怪獣たちの脅威が明らかになっていく流れは、「ガメラ 大怪獣空中決戦」にも通ずる怪獣映画王道の味わいだ。物語も中盤に差し掛かり、ムートーがハワイの空港を襲撃するシーンで、それを迎え討つべく「あのお方」がついに出現する。ムートーの攻撃で連鎖的に大炎上する空港をカメラがPANしていくと、突如地響きを上げてケタ違いに巨大な生物の脚が現れる。それまで悲鳴をあげていた人々も、あまりの巨大さにシン……と沈みかえるのが最高にクールだ。外敵の登場にムートーが威嚇の咆哮をあげると、切り返しのカットで脚から次第にゴジラの全貌が映り、大咆哮。東京国際フォーラムで開催されたジャパンプレミアでは、大歓声が巻き起こった。今作が怪獣映画の要点を押さえつつ、ハリウッドらしい味付けもまぶした「レジェンダリー産怪獣映画」の一つの雛形を示したことで、「モンスター・ヴァース」シリーズは軌道に乗って走り出した。

映画「GODZILLA ゴジラ」予告3

キングコング:髑髏島の巨神

映画作品情報

「モンスター・ヴァース」の第2作は、ゴジラと並ぶもう1体の主人公・コングの物語。時代は遡って1973年、絶海の孤島・髑髏島に踏み入った調査団が巨大生物が支配する未知の生態系に遭遇する。70年代ロックが鳴り響く中、「キングコング」シリーズはもちろん、「地獄の黙示録」「ジュラシック・パーク」「食人族」のようなジャングル映画を全部ぶち込んだ「ジャングル鍋」を召し上がれ。序盤で、暴風雨を抜け島へ突入したヘリ部隊がコングの熱烈な「大歓迎」を受けるシーンはとにかくアメイジング! 圧倒的暴力の嵐に呆然としてしまう。島にはコングの他にも、竹のような脚で獲物を串刺しにするバンブー・スパイダーや、コングの両親すら餌食にした悪魔のような巨大爬虫類スカル・クローラーなどなど愉快な仲間たちがいっぱい。そんなスリリングな髑髏島ライフの中で最もイカれてるのは、コングに真っ向勝負を挑む狂気に取り憑かれた軍人(サミュエル・L・ジャクソン)なのだから驚きだ。ちなみに主演の2人は、ロキ様としてお馴染みのトム・ヒドルストンと、今作出演後にキャプテン・マーベル役に抜擢されたブリー・ラーソン。マーベル俳優が妙に多いので、MCUファンには入りやすいかもしれない。個人的に今作のVFXは、リアリティとケレン味のバランスが絶妙。特にコングのビジュアルは最高で、夕日の中に立つコング、炎の中に立つコング、見惚れるほどの良い男っぷりだ。絶対的強者の破壊神・ゴジラに対し、弱い者を守る守護神としてのコングの魅力的なキャラクターもしっかり確立されている。そしてポストクレジットシーンでは、次作の怪獣たちの登場がサプライズ予告された。劇場で見た時、マジで生きてて良かったと思った、そんな衝撃の予告でした。

映画「キングコング:髑髏島の巨神」特別予告編

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

映画作品情報

怪獣界の王は、ゴジラとコングだけではない。もう1体の帝王、キングギドラの降臨である。「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」では、キングギドラ、ラドン、モスラという東宝スター怪獣が一挙に登場し、邦ゴジラシリーズを彩った伊福部昭氏による音楽も盛り込まれ、シリーズの中でも特に日本の怪獣映画へのオマージュ色が強い、要素盛り盛りの1作となった。各地に眠るタイタン(怪獣)たちが目覚め、真の怪獣王の座を懸けてぶつかり合う。「番長は俺だ!」大怪獣喧嘩祭りの開幕だ、ワッショイ。怪獣たちの激突シーンはド迫力で、足元で為すすべもなく戦いに巻き込まれる人間たちを執拗に描写することで、怪獣の脅威を存分に感じられる。怪獣映画でも特に被害規模がデカい作品じゃないだろうか。エンドタイトルには、ブルー・オイスター・カルトによる1977年の楽曲「Godzilla」のカバーが使用され、クレジットの最後には元祖ゴジラ俳優・中島春雄氏とプロデューサー・坂野義光氏への哀悼が捧げられるという、最後までシリーズへの愛に満ちた作品である。

坂野義光氏は、1971年に監督した「ゴジラ対ヘドラ」作中でゴジラを飛行させたことが不評を買って映画業界を去り、テレビドキュメンタリーなどで活躍してきた人物である。そんな坂野氏が長年温めてきたゴジラ映画の企画が、レジェンダリーのゴジラシリーズへと繋がっていき、「GODZILLA ゴジラ」ではエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされるまでに至った。その数奇な人生は、坂野氏の著作「ゴジラを飛ばした男 85歳の映像クリエイター 坂野義光」に詳しい。

映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」【予告3(日本語吹替ver.)】

ゴジラvsコング

映画作品情報

おそらく「モンスター・ヴァース」は、このマッチメイクを実現することを一つの目標にして進んできたはずだ。そして、ついにその日がやって来た。日本を代表する怪獣王・ゴジラと、アメリカが産んだ怪獣キャラクターの元祖・コングのタイマン勝負である。1962年の東宝映画「キングコング対ゴジラ」以来、約60年ぶりに実現する奇跡のカードだ。そんなファンの期待に応え、今作ではゴジラとコングのバトルをこれでもか! これでもか!というくらい見せてくれる。出し惜しみなしだ。もうこれだけで万事OKだ。ゴジラが熱線で地球に開けた穴を通して地下世界のコングと対面する「地球の裏側の皆さんこんにちは」みたいな展開も良いじゃないか。地下世界に暮らしていたコングの一族と、地上を縄張りとするゴジラは古来より永遠のライバルであり、終わることのない永遠のバトルを繰り返してきた。身長100メートルまで成長し、ゴジラの背ビレを加工した専用武器のアックスを装備したコングが、ゴジラとの決戦に挑む。今作ではさらに、人気怪獣であるメカゴジラも登場。こいつがべらぼうに強い。強敵を前にしたゴジラとコングの選択は……?

今作が、「モンスター・ヴァース」が想定していた1つの到達点であることは間違いないだろう。第1部完!! では、ここからの「モンスター・ヴァース」はどこへ向かうのか。今作と同じくアダム・ウィンガード氏が監督を務める「ゴジラxコング 新たなる帝国」で、その新章が示されるのが楽しみだ。

映画「ゴジラvsコング」吹替版 予告編

映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」

映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」ポスタービジュアル

映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」ポスタービジュアル

4月26日に公開される、ゴジラ70周年と「モンスター・ヴァース」シリーズ10周年を記念した作品。ゴジラとコングが共闘し、新たな脅威と対峙するさまが描かれる。「ゴジラvsコング」のアダム・ウィンガードが監督を務め、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーヴンスらが出演した。

タカハシヒョウリ プロフィール

ミュージシャン・作家。4人組ロックバンド・オワリカラのボーカル・ギター、ソロ、楽曲提供、プロデュースなど様々なスタイルで活動する。また、様々なカルチャーへの深い偏愛と造詣から、コラム執筆、番組出演など多数。自身の「特撮愛」が高じて、特撮音楽をバンドサウンドで表現する「科楽特奏隊」を仲間たちと結成。ミュージックビデオではウルトラセブンと共演し、テレビ東京の「おはスタ」にも出演した。2024年の寄稿書籍に「ガメラ監督日記 完全版」(小学館クリエイティブ)、「ガンヘッドコンプリーション」(ホビージャパン)がある。

タカハシヒョウリ 公式サイト
タカハシヒョウリ/高橋表裏 (@TakahashiHyouri) | X

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