世界最大級の自主映画コンペティション、PFFアワード2023の入選作品が決定

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1977年にスタートした世界最大級の自主映画コンペティション・PFFアワード2023の入選作品が決定。応募数557本から約4カ月に及ぶ審査を経て選ばれた全22本が発表された。

「PFFアワード2023」入選作品

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PFFアワードは“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに開催される第45回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション部門。これまでに黒沢清、佐藤信介、李相日、荻上直子、石井裕也、岨手由貴子といった180名を超えるプロの映画監督を送り出してきた。

入選作品、監督の一覧は下記にまとめて掲載している。監督の平均年齢は26.1歳で、最年少は20歳、最年長は35歳に。中国出身者が3名選出されたほか、武蔵野美術大学の造形構想学部映像学科から3名選ばれている。

映画祭では9つのプログラムを構成し、東京会場で2回、京都会場で1回ずつスクリーンで上映。DOKUSO映画館、U-NEXTでのオンライン配信も予定している。グランプリはじめ各賞は9月22日に行われる表彰式にて最終審査員によって発表される。

セレクションメンバー15名との討議を経て22作品を決定したディレクターの荒木啓子は、今回の発表にあたって「本年のセレクションを振り返ると『似ている』という印象が立ち昇りました。物語、演出、撮影、リズム、とても似ている。それはなぜ…と考えていると『ジャンル映画の消滅』が、長い年月に渡り、じわじわと効いてきた結果なのかも、と思い当たりました。海外の映画祭 ―カンヌ含む― がいつも探しているジャンル映画。しかしみつからない日本のジャンル映画…映画の豊潤さを構成するワンピースであるジャンル映画の欠落が及ぼすものを考えています。それは、本年の招待作品企画に反映されることとなるでしょう」とコメントしている。

第45回ぴあフィルムフェスティバルは9月9日から23日にかけて東京・国立映画アーカイブ、10月14日から22日にかけて京都・京都文化博物館で開催。

PFFアワード2023 入選作品(50音順)

「移動する記憶装置展」71分 監督:たかはしそうた(31歳 / 神奈川県出身 / 東京藝術大学 大学院映像研究科映画専攻)
「うらぼんえ」28分 監督:寺西涼(27歳 / 神奈川県出身 / フリーター)
「完璧な若い女性」65分 監督:渡邉龍平(22歳 / 東京都出身 / 武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科)
「こころざしと東京の街」10分 監督:鈴木凜太郎(21歳 / 東京都出身 / 東京工芸大学 芸術学部)
「サッドカラー」24分 監督:高橋栄一(33歳 / 岐阜県出身 / フリーランス)
「じゃ、また。」52分 監督:石川泰地(27歳 / 東京都出身 / フリーター)
「Sewing Love」8分 監督:許願(27歳 / 中国出身 / 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科)
「ただいまはいまだ」28分 監督:劉舸(28歳 / 中国出身 / 会社員)
「ちょっと吐くね」20分 監督:大野世愛(22歳 / 北海道出身 / 会社員)
「逃避」57分 監督:山口真凜(22歳 / 栃木県出身 / フリーランス)
「鳥籠」66分 監督:立花遼(21歳 / 大阪府出身 / 京都芸術大学 芸術学部)
「肉にまつわる日常の話」4分 監督:石川真衣(22歳 / 愛知県出身 / 名古屋学芸大学 メディア造形学部)
「ParkingArea」9分 監督:増山透(29歳 / 茨城県出身 / 武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科 助教)
「ハーフタイム」30分 監督:張曜元(33歳 / 中国出身 / 東京藝術大学 大学院映像研究科 博士課程)
「不在の出来事」11分 監督:川口淳也(29歳 / 三重県出身 / フリーランス)
「Flip-Up Tonic」26分 監督:和久井亮(22歳 / 東京都出身 / 東京大学 教養学部)
「ふれる」56分 監督:高田恭輔(21歳 / 茨城県出身 / 日本大学 芸術学部)
「ホモ・アミークス」42分 監督:馬渕ありさ(27歳 / 東京都出身 / 自営業)
「また来週」36分 監督:ハインズ麻里子(21歳 / 東京都出身 / 早稲田大学 文化構想学部)
「USE BY YOUTH」51分 監督:高木万瑠(20歳 / 東京都出身 / 武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科)
「リテイク」110分 監督:中野晃太(35歳 / 神奈川県出身 / NPO職員)
「リバーシブル/リバーシブル」77分 監督:石田忍道(34歳 / 愛知県出身 / 映像作家・障害福祉従事者)

※年齢、職業(学校名)は応募時のもの
※高橋栄一、高田恭輔の高は、はしごだかが正式表記

荒木啓子 コメント

ご応募ありがとうございました。
「PFFアワード2023」入選作品が決定致しました。近年では最多の22作品の入選となりました。4分の短編から、110分の長編まで、長さもバラバラですが、内容も多彩。セレクション・メンバー15名との長い討議ののちに決定した22作品は、いずれも弱点がありますが、そこを補う魅力を持つ原石です。
9月9日からの「第45回ぴあフィルムフェスティバル」では、9つのプログラムを構成し、2回ずつの上映を行います。

「PFFアワード」は、「自主映画」のためにありますので、どんなことを映画で試みてもOKです。魂を奪われるような体験をした映画をまるごと真似しても大丈夫です。真似しても真似しても別物になってしまうのが、創作のスタートラインです。真似することで身につく技術も重要です。どんどん真似して欲しい。そして、テーマもサブジェクトも完全に自由です。規制はありません。自主映画は商品ではない、個人の創作ですから、ただただ創作に没頭し、すごい映画世界をみせて欲しいと願っています。

本年のセレクションを振り返ると「似ている」という印象が立ち昇りました。物語、演出、撮影、リズム、とても似ている。それはなぜ…と考えていると「ジャンル映画の消滅」が、長い年月に渡り、じわじわと効いてきた結果なのかも、と思い当たりました。海外の映画祭 ―カンヌ含む― がいつも探しているジャンル映画。しかしみつからない日本のジャンル映画…映画の豊潤さを構成するワンピースであるジャンル映画の欠落が及ぼすものを考えています。それは、本年の招待作品企画に反映されることとなるでしょう。

改めまして、557作品の応募に御礼申し上げます。
ここに応募されていない作品も想像すると、いまも毎日数本、数十本の自主映画がどこかで生まれているのだと、そのことを感じるだけで、心が躍ります。映画という手間暇かかる創作に挑戦する皆様に、深い敬意を表し、本年「第45回ぴあフィルムフェスティバル」を創って参ります。

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