ヴェネツィア金獅子賞「あのこと」監督らが来日「観客が経験できるような作品に」

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フランス映画「あのこと」の公開記念来日舞台挨拶が本日12月2日に東京のBunkamura ル・シネマで行われ、キャストのアナマリア・ヴァルトロメイと監督のオードレイ・ディヴァンが登壇した。

「あのこと」公開記念来日舞台挨拶の様子。左からオードレイ・ディヴァン、アナマリア・ヴァルトロメイ。

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「あのこと」ポスタービジュアル

本作は、作家のアニー・エルノーが自身の体験をもとに執筆した「事件」をもとにした物語。舞台となるのは、中絶が違法だった1960年代のフランスだ。劇中では、大切な試験を前に望まぬ妊娠が発覚した主人公・アンヌが、自らが願う未来をつかむためにたった1人で闘う12週間が映し出される。アンヌ役のヴァルトロメイは「日本の観客に映画がどのように受け止められたか興味津々です」と述べ、ディヴァンは「この映画とともにいろんな国を回ったんですが、長い旅の最後が日本です。お会いできてうれしいです」と笑顔を見せた。

アナマリア・ヴァルトロメイ

初めて脚本を読んだ際のことを振り返りヴァルトロメイは「中絶に対して自分が大変無知であったと感じました。そして原作小説を読んで、怒りを感じたんです。主人公の立場に立って、彼女が経験しなければならない理不尽なことを身をもって感じました」と言い、「主人公を守りたい、助けたいという気持ちになったんです」と述懐。司会から「撮影中、精神的に大変ではなかったですか?」という質問が飛ぶと、ヴァルトロメイは「つらそうに見えると思いますが、あくまでも映画です。温かいチームに囲まれて、スタッフは私のことを尊重してくれました。そして監督は味方でありパートナーでした。本当に自由にアンヌを演じることができました」と答えた。

オードレイ・ディヴァン

脚本も手がけたディヴァンは「原作では作家が過去を振り返る形になっていますが、私は過去のことではなく、今起きていることとして描こうと思いました」と言及し、「アナマリアと一緒に人物を構築し、彼女が生きる瞬間瞬間を追うような形、時間の流れを見せることにこだわりました。観客が経験、実感できるような作品にしたかったんです」と言葉に力を込める。また撮影中のエピソードを問われると「あるシーンの撮影中に泣いていたら『監督うるさい!』『主演女優の声が聞こえない』と言われました」と明かし、会場に笑いを起こした。

「あのこと」公開記念来日舞台挨拶の様子。

最後にヴァルトロメイは「映画は答えを出すものではなく、質問を投げかけるものだと思います。この映画がどのような質問を投げかけるのか興味津々です。多くの観客に観ていただきたいです」と思いを口にする。ディヴァンは「原作者のアニー・エルノーが歩んできた道、その道に対して興味がありました。自由への獲得への道です。どのように自由を獲得していくか、ぜひ皆さんとともに考えたいです」と話し、イベントの幕を引いた。

第78回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得した「あのこと」は公開中。

※「あのこと」はR15+指定作品

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(c) 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILM

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FRENCH BLOOM NET @cyberbloom

ヴェネツィア金獅子賞「あのこと」監督らが来日「観客が経験できるような作品に」(ナタリー)
「アナマリアと一緒に人物を構築し、彼女が生きる瞬間瞬間を追うような形、時間の流れを見せることにこだわりました。観客が経験、実感できるような作品にしたかったんです」
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