「散歩する侵略者」黒沢清が釜山映画祭に登壇、「質問のレベルが高い」と感心

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10月18日、第22回釜山国際映画祭にて「散歩する侵略者」が上映され、監督の黒沢清が舞台挨拶に登壇した。

黒沢清

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「散歩する侵略者」ビジュアル

本作は、前川知大率いる劇団イキウメの同名演劇を映画化したもの。数日間の行方不明の後、別人のようになって帰ってきた夫・加瀬真治と、彼の変化に戸惑う妻・鳴海を軸に、宇宙人たちの地球侵略を描く。鳴海を長澤まさみ、真治を松田龍平が演じたほか、高杉真宙と恒松祐里扮する若き侵略者たちと行動をともにするジャーナリスト・桜井に長谷川博己がキャスティングされた。

「散歩する侵略者」

舞台挨拶では質疑応答を実施。黒沢は原作について「テーマ自体は宇宙人の侵略という、大変お金がかかる題材です。ただこの作品では、軍隊、政治家、科学者は一切出てこない。基本的には夫婦の愛の物語が中心になっていて、そのうえで世界がだんだんと変貌していくさまを描いています。そこが魅力的だと思いました」と語る。そして「ハリウッドのようにお金がなくても、特別な技術を使わなくても、日常を描くだけで非常に大きなテーマにチャレンジできる。なんと言ってもそれが原作のアイデアの素晴らしいところで、すぐに映画化したいと思いました」と続けた。

「散歩する侵略者」

宇宙人たちが地球人の“概念”を奪うという本作の設定について、観客から「概念を奪われた状態はどのように表現しようと考えたのか」と問われた黒沢は「どこまで描写してどのようにドラマとして表現するか、かなり悩みました。概念がなくなってしまうということがどういう状態なのかいろいろと想像したのですが、リアルに思い描くことは難しかったです」と苦労を明かす。

黒沢清(中央)

質疑応答では、本作における日本ならではの描写についての質問も。黒沢は「僕が努力しなくても、俳優の演技や街の風景から日本的な何かが映ります。それ以上、日本的な何かを映画に込めようとは思っていません。僕は世界中のどこでも通用する『映画』であろう、『映画』にしようと思って作っただけです」と真摯に答えた。

黒沢清

会場ではまだ質問を希望する多くの手が挙がっていたが、時間切れに。黒沢は「釜山映画祭ではいつも驚き、感激します。質問のレベルがものすごく高く、本当に映画をしっかりと観ていただいていることが伝わってくるのが本当にうれしいです。もっともっと質問にお答えしたかったのですが、すみません。来年も来たいと思っています。また皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。ありがとうございました」と挨拶し、サインや写真を求めるファン1人ひとりに丁寧に応えた。

「散歩する侵略者」は全国で上映中。

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(c)2017『散歩する侵略者』製作委員会

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tAk @mifu75

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