「KYOTO EXPERIMENT 2023」今年のテーマは“まぜまぜ”

3

39

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 7 9
  • 23 シェア

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」の記者会見が本日7月20日に京都・ロームシアター京都にて行われ、ディレクターの川崎陽子、塚原悠也、ジュリエット・礼子・ナップ、また参加アーティストが登壇した。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」記者会見より。

大きなサイズで見る(全3件)

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」は2010年にスタートした国際芸術祭。14回目となる今回のテーマは“まぜまぜ”で、ナップは「国内外でさまざまな分断や二項対立的な嗜好が顕著になってきた現在において、変化や交わることを積極的に取り入れ、可変性や流動性、複数性を思考の軸の一つとしていくことを提案するキーワードです」と説明した。なお今年の「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」では“自分たちが立脚する「地域」について自覚的に捉え、フィールドワークを通して探求するプログラム”「Kansai Studies」、“世界各地から先鋭的なアーティストを迎え、今注目すべき舞台芸術作品を上演するプログラム”「Shows(上演プログラム)」、“実験的な舞台芸術作品と社会を対話やワークショップを通してつなぎ、新たな思考や対話、フレッシュな問題提起など、未来への視点を獲得していくプログラム”「Super Knowledge for the Future[SKF](エクスチェンジプログラム)」の3本柱を軸に、さまざまな企画が展開される。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」メインビジュアル(c)Aiko-Koike-scaled

「Kansai Studies」には今村達紀、谷竜一、野咲タラ、迎英里子、山田淳也がリサーチメンバーとして参加。普段は、世の中に存在する不可視の現象をモチーフにした作品作りに取り組んでいるという迎は「今回は琵琶湖の干拓地や神戸のポートアイランドなど、関西の水場を埋めた地区をリサーチします。普段は大きな作品を作ることもありますが、些細なものを継続的に作ることを今回はしたいと思っています」と語る。

芸術文化観光専門職大学に在学中で演劇活動を行っている山田は「お墓をリサーチし始めたらお墓にまつわるいろいろなエピソードが見えてきて、今はそのエピソードの正解を探すというより、さまざまな仮説を立てながら次につながるようなリサーチを続けています」と話した。

「Shows(上演プログラム)」にはイ・ラン、チェルフィッチュ、ウィチャヤ・アータマート、アリス・リポル、バック・トゥ・バック・シアター、山内祥太&マキ・ウエダ、中間アヤカ、ルース・チャイルズ&ルシンダ・チャイルズ、デイナ・ミシェル、マリアーノ・ペンソッティ、サムソン・ヤンという11組のアーティストが参加する。

韓国のアーティスト、イ・ランは「KYOTO EXPERIMENT 2021 AUTUMN」開催時に行われたプログラム「Moshimoshi City」を踏まえ、東九条エリアを舞台にしたオーディオパフォーマンスを展開。「この作品では、地球以外のどこか別の場所から来た人が東九条に降り立ったという設定で、見慣れない場所で見慣れない“人間”を一から十まで見直すことに取り組みます。人間は弱いが故に知らないものを怖がり嫌悪し攻撃しますが、“人間ではない存在”として人間や人間社会を捉え直すことで、見知らぬ人たちとも共に生きていく気付きになれば」と話した。

日本語を母語としない俳優との新作を披露する岡田は、8月の東京公演に向けて東京で稽古中のためオンラインで参加。「当初は(日本語を母語としない俳優と創作するという)コンセプトそのものの意義や重要性をうたっていましたが、クリエーションが進むにつれて、この試みが持つ魅惑的な演劇の可能性が見えてきて、そのことに自分でもエキサイトしながらクリエーションを進めています」と語った。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」ロゴ

初の演劇作品に取り組む美術家の山内は、今回は匂いをテーマにした作品に取り組む。「自分は鼻が利くほうで、普通に生活していても匂いに敏感です。現在はアロマやいい匂いが求められますが、臭さや匂いは人間につきまとう重要な問題。そういうものを再発見し、みんなで確認・共有したいと思います」と話す。山田とクリエーションを共にするのは嗅覚アーティストのウエダ。ウエダは「嗅覚アートは時間軸と空間軸が発生する体験で、美術というよりパフォーミングアーツやミュージックに近いかなと思っています」とクリエーションに意欲を見せた。

今回、語り継がれるダンスにまつわる“伝説”と、都市伝説のあり方を重ねた新作に挑む中間は「“伝説がどのようにして生まれるのか”という構造を知っていそうな人にインタビューすることから作品を作っていきます。6日間の上演で1つのパフォーマンスになるような作品を考えています」と話した。

そのほか、ウィチャヤ・アータマート、デイナ・ミシェル、サムソン・ヤンらがビデオメッセージを寄せた。なお「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」では、ほかにフェスティバルの交流拠点およびインフォメーションセンターとなるミーティングポイントやフリンジ「More Experiments」などさまざまな企画を実施。また寄付支援制度「KEXサポーター」を8月21日まで受付中であると発表した。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」は9月30日から10月22日まで、ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTOほかで開催される。

この記事の画像(全3件)

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2023」

2023年9月30日(土)~10月22日(日)
京都府 ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTO ほか

【Kansai Studies】

リサーチメンバー:今村達紀、谷竜一、野咲タラ、迎英里子、山田淳也

【Shows(上演プログラム)】

イ・ラン「Moshimoshi City:1から不思議を生きてみる | 뚜벅뚜벅 , 1 도 모르는 신기속으로」

2023年9月30日(土)~10月22日(日)※フェスティバル会期中の金・土・日曜、祝日のみ。
京都府 東九条エリア各所

ウィチャヤ・アータマート / For What Theatre「ジャグル&ハイド(演出家を探すなんだかわからない7つのモノたち)」

2023年9月30日(土)・10月1日(日)
京都府 京都芸術センター 講堂

チェルフィッチュ「宇宙船 イン・ビトゥイーン号の窓」

2023年9月30日(土)~10月3日(火)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

アリス・リポル / Cia.REC「Lavagem(洗浄)」

2023年10月6日(金)・7日(土)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

バック・トゥ・バック・シアター「影の獲物になる狩人」

2023年10月7日(土)・8日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

山内祥太&マキ・ウエダ「汗と油のチーズのように酸っぱいジュース」

2023年10月7日(土)~9日(月・祝)
京都府 THEATRE E9 KYOTO

中間アヤカ「踊場伝説」

2023年10月9日(月・祝)~15日(日)
京都府 出町柳駅周辺

ルース・チャイルズ&ルシンダ・チャイルズ「ルシンダ・チャイルズ 1970年代 初期作品集:Calico Mingling, Katema, Reclining Rondo, Particular Reel」

2023年10月13日(金)~15日(日)
京都府 京都市京セラ美術館 中央ホール

ディナ・ミシェル「MIKE」

2023年10月20日(金)~22日(日)
京都府 京都芸術センター 講堂

マリアーノ・ペンソッティ / Grupo Marea「LOS ANOS(歳月)」

2023年10月21日(土)・22日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座

サムソン・ヤン「The World Falls Apart Into Facts」

2023年9月30日(土)~10月22日(日)
京都府 京都芸術センター ギャラリー北・南

【Super Knowledge for the Future[SKF](エクスチェンジプログラム)】

  • プレイベント ウィチャヤ・アータマート「父の歌(5月の3日間)」上映会&トーク
  • 「伝承でたどる妖怪まちあるき 平安神宮~真如堂~相国寺」
  • アリス・リポル 特別トーク
  • バック・トゥ・バック・シアター ワークショップ
  • インキュベーション キョウト「シアター?ライブラリー?」
  • シアター?ライブラリー?関連企画(1)「アインデンティティの『まぜまぜ』は可能か?」
  • シアター?ライブラリー?関連企画(2)「言葉の混交の果てに──『クレオール主義』30年」
  • ルース・チャイルズ ワークショップ
  • 「芸術文化とファンドレイジング-観客・サポーターとの未知の関係性!?」
  • 「メディアとしての染織-歴史・テクノロジー・アート」
  • 「KEXラジオ」
  • 「批評プロジェクト2023」

読者の反応

  • 3

tomoki homma @tmkhnm1986

【会見レポ】
「KYOTO EXPERIMENT 2023」今年のテーマは“まぜまぜ”
https://t.co/UrDzmF9sGC
「今回は琵琶湖の干拓地や神戸のポートアイランドなど、関西の水場を埋めた地区をリサーチします。」
京都の巨椋池は?
毎回水に着目だし、正直リサーチ不足というかネタ切れというかマンネリが否めないなぁ

コメントを読む(3件)

おすすめの特集・インタビュー

関連記事

もっと見る閉じる

チェルフィッチュのほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 チェルフィッチュ / 中間アヤカ の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします