ミュージカル「RENT」開幕、約2年前の悔しさ胸に“No Day But Today”の思いで臨む

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ミュージカル「RENT」が、昨日3月8日に東京・シアタークリエで開幕。7日に囲み取材が行われた。

ミュージカル「RENT」囲み取材より。

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ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」はジョナサン・ラーソンが脚本・作詞・音楽を手がけ、1996年にアメリカ・ニューヨークで初演された作品。プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を元に、舞台を20世紀末のニューヨークに置き換えた本作では、貧困やエイズ、ドラッグ、同性愛といったテーマを交え、当時の若者たちの生き様や世相が描かれる。シアタークリエでは2008年の初演以来、上演が繰り返されてきた。7度目となる今回は、新型コロナウイルスの影響で一部公演中止となった2020年公演以来の上演となる。

花村想太

平間壮一

囲み取材にはマーク・コーエン役の花村想太平間壮一、ロジャー・デイヴィス役の古屋敬多Lead)と甲斐翔真、ミミ・マルケス役の遥海八木アリサが登壇。まず全員が各自演じる役の見どころについて語った。花村は「映像作家志望のマークは、実はいろいろと大変な人生を歩んでいますが、ほかの登場人物と比べるとすごく平凡に見える青年です。皆さんに一番共感していただける人物だと思うので、等身大の自分で演じられたら」、平間は「見どころっていう見どころは正直あまりないのがマークの良いところじゃないかな(笑)」と率直に述べ、「『数ある舞台作品の中でも難しい主役だ』と演出助手の方とも話していたんですが、いかに普通でいられるかを意識しています」と説明する。

古屋敬多

甲斐翔真

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

古屋は「ロジャーは恋人の死をきっかけに自分の殻に閉じこもっていますが、ミミや仲間たちによってまた前に踏み出す。愛情深い性格なのかな」と話す。一方、甲斐は日本版リステージを手がけるアンディ・セニョールJr.とのエピソードを披露。「ロジャーは僕のミュージカル人生で初めて勝ち取った役で、2020年は体当たりで演じたんですが、今回同じ役をもう1度演じるのを難しく思っていて。アンディに相談すると、『その悩んでいる感じをそのまま使えば良いじゃん』と言われ(笑)、ハッとしました。さらにアンディから『ロジャーはこの作品の“悪役”だ』とも言われ、また新たな視点を得ました。ロジャーはみんなの働きかけによって変化していくので、自分に正直に役を生きられたら」と語った。

遥海

八木アリサ

遥海は「ミミがまだ19歳だということは忘れてはいけないと思っています。当時のニューヨークを生き抜くため、犠牲にしてきたものも多いはず。厳しい環境に立ち向かう姿は、希望にあふれていてすごく魅力的」、八木は「ミミは喜怒哀楽の激しいパワフルな女の子ですが、ロジャーとのもどかしい恋愛模様が見どころ」と紹介した。

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

続いて、2020年公演から続投する花村、甲斐、遥海、平間、八木が、前回と比較しパワーアップした部分や変化したポイントを尋ねられると、前回公演でミュージカル初出演を果たした花村は「(当時は)がむしゃらに駆け抜けましたが、今回は自分がマークとしてどう居るべきかに重点を置いて稽古に臨めたので、よりナチュラルかつ落ち着いたマークになっているはず」、甲斐は「『Seasons Of Love』が2年前よりもすごく心に響きます。この2年間いろいろなことがあり、より一層1日1日、1分1秒を大切に感じるというか。自分も少し大人になったかな(笑)」と微笑んだ。

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

遥海は「前回は本当に必死でした。今回は自分の武器は何なのか、そして新しく入った古屋さんがロジャーになるためミミには何ができるだろうということまで客観的に考えられ、一皮剥けた」と明かし、「公演中止で悔しかったですが、今年参加していないメンバーの思いも背負い、まさに“No Day But Today”という気持ちで1公演ずつ突き進みたい」と決意を表した。

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

平間と八木は大きな変化として、今年はアンディ、振付補のマーカス・ポール・ジェームズ、衣裳のアンジェラ・ウェントの3人が来日できたことを挙げた。「『RENT』の素敵なところは、カンパニーでいろいろなことを乗り越えて作り上げる空気感」と話す平間は、「稽古中の出来事やみんなに生まれた感情を、アンディやマーカスたちが1つにまとめてくれました」と作品の出来への期待を口にする。また2020年の『RENT』が初舞台、今作が2度目の舞台出演となる八木は、「私は、リモート形式ではない舞台稽古や生の指導が初めてで、生だとつかめる空気がこんなにも違うんだなと驚きました」と振り返った。

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)

一方、今回「RENT」に初参加する古屋は、「オーディションには絶対落ちたと思っていたので、出演が決定した時点でまずかなり舞い上がりました(笑)。稽古が始まって実感が湧くにつれ、『この作品はリアルを求められる作品なんだな、少しでも芝居臭さやうそ臭さが出るとすごく浮いてしまう』と感じました。ただ、そういう役をずっとやりたかったので、僕としては本当に念願がかなった」と言葉に力を込める。「(続投する)みんながすでにリアルに(キャラクターを)体現していたので、僕はそこにスッと入るだけでした。経験者には本当に助けられていますね。迷惑もかけたと思いますが、本番では自分こそが“Mr. RENT”だという心意気でがんばります(笑)」と意気込んだ。

ミュージカル「RENT」囲み取材より。

最後に花村が「僕たちから生きていくパワーを感じていただき、明日からの糧にしてもらえればうれしいです」、平間が「ここ(囲み取材)にいない人も含めて役者全員が、『そこまで共有する必要ある?(笑)』というくらい、互いに自分の生き様をさらけ出して作品を作ってきました。観客の皆さんにもそれらを全部話せたら良いんですけど、そうもいかないので(笑)。作品を通してにじみ出るその人自身の人生観や人物像を楽しみながら観ていただきたいです」と観客にメッセージを送り、囲み取材を締めくくった。

上演時間は休憩を含む約2時間45分。公演は4月2日まで。

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ミュージカル「RENT」

2023年3月8日(水)~4月2日(日)
東京都 シアタークリエ

脚本・作詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
演出:マイケル・グライフ
日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
振付補:マーカス・ポール・ジェームズ
衣裳:アンジェラ・ウェント

キャスト

マーク・コーエン:花村想太平間壮一
ロジャー・デイヴィス:古屋敬多Lead)、甲斐翔真
ミミ・マルケス:遥海八木アリサ
トム・コリンズ:加藤潤一、SUNHEE
エンジェル・デュモット・シュナール:百名ヒロキ、RIOSKE
モーリーン・ジョンソン:佐竹莉奈、鈴木瑛美子
ジョアンヌ・ジェファーソン:塚本直
ベンジャミン・“ベニー”・コフィン3世:吉田広大

チャンヘ、長谷川開、小熊綸、ロビンソン春輝、吉田華奈、Zinee

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LIM編集部 @lesmisquarti30

【会見レポート】ミュージカル「RENT」開幕、約2年前の悔しさ胸に“No Day But Today”の思いで臨む(舞台写真あり) https://t.co/r991knfa4B

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