「風の谷のナウシカ」クシャナ役・尾上菊之助「中村米吉のナウシカはとてもかわいい」

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「七月大歌舞伎」第3部「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」に出演する尾上菊之助中村米吉の取材会が、昨日5月24日に東京都内で行われた。

左から中村米吉、尾上菊之助。

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歌舞伎座「七月大歌舞伎」第3部「風の谷のナウシカ」特別チラシビジュアル

「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」は、宮崎駿のマンガ「風の谷のナウシカ」(徳間書店)を原作とした歌舞伎。「風の谷のナウシカ」は、2019年に東京・新橋演舞場で新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」として初めて歌舞伎化され、今回は2019年上演版の昼の部で展開された、原作マンガの前半部分をもとに、皇女クシャナに焦点を当てた物語が描かれる。

初演版でナウシカ役を演じた菊之助は、今回クシャナを勤める。菊之助は本作について「2幕構成を予定しています。『白き魔女の戦記』ということで、クシャナの生い立ちも含めた心情を深く描ければ」と構想に触れる。また、菊之助がクシャナ役を演じることは、スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサーからの提案でもあったことを明かしつつ、「再演でキャストを変更することにより、作品がより深まっていくことを狙いました」と述べる。

尾上菊之助

中村米吉

ナウシカ役に抜擢された米吉は、初演版ではケチャ役を演じた。菊之助は、米吉のキャスティング理由を「米吉さんのケチャが素晴らしかった。役作りも事細かく、情熱を持って芝居に向き合う姿が印象的でした。彼には(ナウシカのように)清らかで、きらめくものを感じています」と話す。米吉は菊之助の言葉に恐縮しながら、オファーを受けたときの心境を「青天の霹靂で、ただただ思いもよらぬことでした。すぐにお兄さん(菊之助)に『本当によろしいんですか?』とお電話しました」と振り返る。

記者から、ナウシカをどのように演じていきたいか問われた米吉は「初演でお兄さんがなさったナウシカ像は、“歌舞伎のナウシカ”として目指すべきところです。加えて、僕らしさをどのように取り入れていくかも考えなくてはいけない。ナウシカとクシャナだと、ナウシカのほうが幼い印象があります。僕自身がまだまだ未熟なので、そういった等身大の部分も、芝居に生かしていければ」と意気込みを述べた。菊之助は「米吉さんが、役を通して成長していきたいと考えているように、僕もクシャナを通して成長していきたいと思っています。俳優は一生修行ですから。米吉さんと切磋琢磨していきます」と米吉とほほ笑み合った。

左から中村米吉、尾上菊之助。

初演版は、ビジュアルの再現度の高さでも話題になった。菊之助は「原作の意図を大事にしつつ、歌舞伎のテイストも加えて融合させるのが、新作歌舞伎の意義」と述べ、「私のクシャナは、前回素敵にクシャナを演じてくださった(中村)七之助さんの要素に、少し和のテイストを加える予定です。私ならではのクシャナを立ち上げるため、各所と相談している最中です。ナウシカは初演を受け継ぎつつ、ビジュアルを少し変える予定。これはハードルを上げてしまうことになるかもしれませんが、メイクテストで拝見した米吉さんのナウシカがとてもかわいくて(笑)。皆様には大いに期待していただきたいですね」と自信たっぷりに語る。

左から中村米吉、尾上菊之助。

「七月大歌舞伎」チラシ

米吉は菊之助の言葉に「まだテスト段階なのですが」と照れ笑いし、「前回より、ビジュアルを原作に近づけていくことになるかと思うのですが、お化粧の加減が難しくて。メイクが現代的すぎても、歌舞伎の舞台には乗らないですし……その兼ね合いが難しい」と語る。これに菊之助は「米吉さんは、ご自分でナウシカのメイクをされて、『今日のお化粧はこんな感じです』と私の携帯に写真を送ってくれるんです(笑)。試行錯誤してくれているのが非常にうれしい」というエピソードを披露。米吉は「現在迷子中です(笑)。どうにかゴールにたどり着きたい」と言葉に力を込めた。

記者から、飛行装置・メーヴェでの宙乗りはあるかと質問が寄せられると、菊之助は「(米吉に)ぜひ宙乗りでメーヴェに乗っていただきたい」と瞳を輝かせる。米吉は「もし宙乗りをするなら、人生で初めての経験になります。(メーヴェで空を飛んでいくナウシカのシーンは)マンガでもアニメでも印象的ですし、お客様に喜んでいただけるよう、素敵に空を飛ぶナウシカを体現できれば」と真摯に述べた。

「七月大歌舞伎」は、7月4日から29日まで東京・歌舞伎座にて。

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「七月大歌舞伎」

2022年7月4日(月)~29日(金)
東京都 歌舞伎座

第1部

「三代猿之助四十八撰の内 通し狂言『當世流小栗判官』市川猿之助 市川笑也 天馬にて宙乗り相勤め申し候」

原作:近松門左衛門、文耕堂・竹田出雲、勝諺蔵
脚本:奈河彰輔
補綴・演出:石川耕士
演出:市川猿翁

出演
小栗判官 / 浪七:市川猿之助
照手姫:市川笑也
矢橋の橋蔵 / 横山太郎:坂東巳之助
万屋娘お駒 / 岡村采女之助:尾上右近
横山三郎:市川男寅
遊行上人弟子一真:寺嶋眞秀
横山次郎:市川青虎
横山太郎女房浅香:中村梅花
旅女房およし:市川寿猿
後家お槙:市川笑三郎
横山大膳:市川猿弥
鬼瓦の胴八:市川男女蔵
浪七女房お藤 / 上杉安房守:市川門之助
遊行上人:中村歌六

第2部

一、「夏祭浪花鑑 住吉鳥居前 三婦内 長町裏」

作:並木千柳、三好松洛

出演
団七九郎兵衛:市川海老蔵
一寸徳兵衛:市川右團次
お梶:中村児太郎
琴浦:中村莟玉
伜市松:堀越勸玄
玉島磯之丞:大谷廣松
下剃三吉:市川九團次
三河屋義平次:片岡市蔵
おつぎ:市川齊入
堤藤内:市村家橘
お辰:中村雀右衛門
釣舟三婦:市川左團次

二、「新歌舞伎十八番の内 雪月花三景 仲国」

出演
仲国:市川海老蔵
女蝶の精:市川ぼたん
男蝶の精:堀越勸玄
虫の精:市村竹松
同:大谷廣松
同:中村男寅
同:中村莟玉
同:市川九團次
小督局:中村児太郎
仲章:中村種之助
八条女院:中村福助

第3部

「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」

原作:宮崎駿(徳間書店)
脚本:丹羽圭子、戸部和久 
演出:G2、尾上菊之助
演出・振付:尾上菊之丞
協力:スタジオジブリ

出演
クシャナ:尾上菊之助
ナウシカ:中村米吉
アスベル / 口上:尾上右近
ケチャ:中村莟玉
幼い王蟲の精:尾上丑之助
クロトワ:中村吉之丞
ミト:市村橘太郎
ジル:河原崎権十郎
城ババ:市村萬次郎
チャルカ:中村錦之助
ユパ:坂東彌十郎
マニ族僧正:中村又五郎

※初出時、情報に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

※2022年7月19日追記:新型コロナウイルスの影響で、7月18日の第1部「當世流小栗判官」、19日の全プログラムが中止になりました。

※2022年7月22日追記:新型コロナウイルスの影響で、7月19日以降の全公演が中止になりました。

読者の反応

南天(出浦党 アンナチュラルなパセリ) @nantengoh

「風の谷のナウシカ」クシャナ役・尾上菊之助「中村米吉のナウシカはとてもかわいい」(会見レポート) - ステージナタリー

ラー!ラー!ラー!
姫ねえさまのメイクテスト、かわいいらしいですよ 見ない理由がないですね✨
あと早くお衣装が見たいです! https://t.co/3E9ig9dhNn

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