結成15周年のシド、8年越し横浜アリーナ公演でファンと見つめた“未来”

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シドが3月10日に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ「SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~」を開催した。

シド「SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~」の様子。

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2018年にバンド結成15周年を迎えたシドは、この1年間ライブハウスツアーやアジアツアーを行い、精力的にファンと会う機会を設けてきた。そんなシドがアニバーサリーイヤーの締めくくりとして実施した横浜アリーナ公演。2011年3月に開催予定だった横浜アリーナ公演が東日本大地震の影響で中止になったシドにとって、8年越しの念願のステージとなった。

明希(B)

この日のライブは飛空艇が15年の時空を旅するというコンセプトのもと、バックスクリーンの映像と共に進行した。オープニングで飛空艇は雷雨の中を進み、2018年から2011年へと辿り着く。観客の視線がスクリーンに注がれる中で飛空艇の扉が開き、まるでその扉の向こうから現れたかのようにシドの4人がステージに登場した。シドが本公演の1曲目に選んだのは、2011年のツアーで1曲目に演奏していた「NO LDK」。8年越しの空間を噛みしめるように、4人は力を込めて演奏を繰り広げた。スクリーンに「SID 15th Anniversary GRAND FINAL」の文字が輝くと、会場の照明が明るく点灯し、「ANNIVERSARY」の演奏が華やかにスタート。レーザーライトがダイナミックに会場を飛び交った「V.I.P」ではマオ(Vo)がステージを降りて客席へ。マオはファン1人ひとりの顔を見ながら楽しげに場内を回り、美しいロングトーンを響かせた。

Shinji(G)

その後は「cosmetic」「KILL TIME」とジャジーな楽曲が続き、優雅な空間が生み出される。艶やかな歌声と洗練されたアンサンブルに、オーディエンスは体を揺らしながら酔いしれていた。MCではまず明希(B)が「今日は15周年の大打ち上げ。最後まで俺たちと音楽の旅を楽しみましょう!」と挨拶。ラーメン好きのShinji(G)は「昔ながらのラーメンは細くて長い麺が多かったんですけど、最近は太くて長い麺もたくさんあるんです! そんなバンドになりたいなと思っています」とバンドを麺に例えて熱い思いを語り、ゆうや(Dr)は「(横浜アリーナは)シドに似合ってますか? 僕もとっても似合っていると思います!」と感慨深げにほほ笑んだ。マオは「本当に今日を楽しみにしてきました。そしてすでに今、すごく楽しいです!」と生き生きと述べ、続くメジャーデビュー曲「モノクロのキス」を凛とした眼差しで歌い上げる。舞台がオレンジの照明に染まった「嘘」では、情緒的なサウンドによって横浜アリーナにノスタルジックな空気が満ちていった。

ゆうや(Dr)

ライブ中盤には冬の歌が並び、スクリーン上で飛空艇が雪山を進んでいく。白いスモークが漂うステージで「ホソイコエ」を丁寧に奏でたシドは、続いて「2℃目の彼女」をさわやかにパフォーマンス。雪の結晶が降り注ぐ映像をバックに「スノウ」を披露し、まるで雪景色の中で演奏しているような空間を生み出した。そして飛空艇が進む景色は、雪降る冬から花びらが舞う春の季節へと移り変わっていく。シドはピンク色の照明に彩られながら、春の物語を描いた「ハナビラ」で柔らかな音色を響かせた。ここで飛空艇のマップに突如エラーが生じ、スクリーンの映像が途絶える。代わって画面に浮かび上がったのは「ARE YOU READY?」の文字。「横浜ー! 一緒に盛り上がっていけるか!」とマオが観客を力いっぱい煽ったと同時に、シドは勢いよく「dummy」を放った。4人の熱を帯びたプレイにつられるように、会場は急速にヒートアップし、力強いコールに包まれる。マオは客席との間にある柵に足をかけ、会場の熱気を直に浴びながらパワフルに歌を届けた。その勢いをさらに加速させていくように、シドは代表曲の1つ「隣人」をパフォーマンス。曲中にマオが耳に手を当てると、割れんばかりの歓声が横浜アリーナに響き渡った。そして舞台に炎が吹き上がったラストナンバー「眩暈」で、飛空艇は燃え上がる炎の中を突き進む。観客のジャンプで横浜アリーナは大きく揺れ、興奮収まらぬ中ライブの幕が下ろされた。

シド「SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~」の様子。

アンコールではマオがファー付きのゴージャスな衣装、明希がTシャツ、Shinjiがスーツ、ゆうやが半袖のカジュアルなスタイルという統一感のない衣装でそれぞれ登場し、オーディエンスの笑いを誘った。ここまで15年間で生まれたさまざまな楽曲を披露してきたシドだが、マオはライブタイトルの「その未来へ」というワードに触れ、「みんなにシドの未来を見せたくて、急いで新曲を持ってきました!」とファンを喜ばせる。そして「流した汗に裏切られたことも、信じた道に疲れ果てたこともありました。そんな中でみんなと一緒に歩いて来れて本当によかったし、みんなのおかげでここまで来れたと思っています。ありがとう」と真摯に述べ、そんなシドの道のりが詰まったような新曲「君色の朝」を真っすぐに歌い上げた。

マオ(Vo)

その後はスクリーン上でメンバーズクラブツアー「ID-S限定ツアー 2019」や対バンツアー「SID collaboration TOUR 2019」、全国ホールツアーの開催、2年ぶりのフルアルバム(タイトル未定)のリリースが発表され、会場は大盛り上がりとなった。そんな華やかな未来に向かって進んでいくように、シドは最後に「その未来へ」をオーディエンスと共に歌い上げる。天井からハート型のカードが降り注ぎ、場内に祝祭感あふれる光景が広がった。歌い終えたマオは涙をこぼしながら、広い会場をじっくりと見渡す。ステージには客席に身を乗り出してファンとハイタッチするShinji、晴々とした笑顔でオーディエンスに手を振る明希、涙が止まらないマオの肩を優しく抱き寄せるゆうやの姿が見られた。1人ずつステージをはけていき、最後に残ったマオは「今日ずっと飛空艇が飛んでたと思うんだけど、あの飛空艇みたいに俺たちシドは、そしてボーカルマオはすごく不安定だし、浮いたり沈んだり……」と声を詰まらせながら、「なんでずっと飛べないんだろうって思ったことも何度もあったけど、浮いたり沈んだりするのが俺だしシドだって15年かけて思いました。だから、これからはその浮いたり沈んだりも込みで、みんなよかったら応援してください! その代わり、みんなが沈んでるときは俺たちが音楽で精一杯励ますから、任せとけよ!」と胸を張る。そして最後にマオは彼の名を呼ぶ大歓声に包まれながら「愛してます!」とマイクを通さずに力いっぱいファンに伝え、ゆっくりとステージを歩いてはけていった。

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シド「SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~」2019年3月10日 横浜アリーナ セットリスト

01. NO LDK
02. ANNIVERSARY
03. V.I.P
04. cosmetic
05. KILL TIME
06. 罠
07. モノクロのキス
08. 嘘
09. ホソイコエ
10. 2℃目の彼女
11. スノウ
12. ハナビラ
13. dummy
14. 隣人
15. プロポーズ
16. 眩暈
<アンコール>
17. 空の便箋、空への手紙
18. 君色の朝
19. 循環
20. Dear Tokyo
21. one way
22. その未来へ

ID-S限定ツアー 2019

2019年4月19日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
2019年4月26日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
2019年5月2日(木・振休)愛知県 Zepp Nagoya
2019年5月9日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside

SID collaboration TOUR 2019

2019年6月17日(月)東京都 Zepp Tokyo
<出演者>
シド / みやかわくん

2019年6月20日(木)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
シド / GRANRODEO

2019年6月27日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
<出演者>
シド / BiSH

(撮影:緒車 寿一、今元秀明)

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たくまる @kumapoo_sid77

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