アイドルのセカンドキャリアを考える 第3回 [バックナンバー]

よきゅーんは愛を持って所属タレントと向き合う(聞き手:レナ)

「ガラスの靴は自分で作ろう」えなこ、伊織もえら擁するPPエンタープライズの快進撃から学ぶこと

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仕事とプライベート、どちらも幸せになってほしい

レナ よきゅーんさんは、えなこさんや伊織さんの熱愛が報じられた際にお二人に対して前向きなメッセージを送っていたじゃないですか。アイドルの熱愛報道に対してファンから厳しい意見が飛び交うことも多いですけど、こういった風潮に対して何か思うところがあったのでしょうか?

よきゅーん うーん、まずコスプレイヤーはアイドルではないのでは?というのが大前提。コスプレイヤーって彼氏と一緒にイベントに来る子もいるし、彼氏がカメラマンということも少なくないんです。だからコスプレ界って熱愛云々についてあまり騒がない。これが接触ありきでファンからお金をもらっているとなると、さっき言ったように「金を払ってやってるのに」という気持ちが潜在的にでも出てきちゃう方もいるのだと思います。

レナ アイドルとコスプレイヤーでは、ファンの方々の見方も違うんですね。

よきゅーん そうそう。見せている夢が違うのかなと思います。あとは最初から恋愛商法をしてるかどうかも別で、私の中ではファンに向けて「クリスマスに1人はさみしい」みたいなことを発信するのはもうアウトなんですよ。えなこももえちゃんもそういうことは言ってきてないし嘘をついてない。だから本人も堂々と「私は嘘はついてない」と言えるというか。

よきゅーん

レナ なるほど。

よきゅーん 結局そこで好きにさせてるのは恋愛商法なんですよね。ファンが自然に「彼氏はいないだろう」と思うのと、いないそぶりでそう思わせるのは別じゃないですか。だから恋愛商法をするのであれば最後までやり切るべきだと思います。彼氏と一緒に外を歩かないとか誕生日は我慢するとかね。それで対価をもらってるわけですから。もちろん、すべてのアイドルが恋愛商法をしているというわけじゃないですよ。

レナ ちなみにえなこさんと伊織さんの報道が出た際に、ファンの人たちからはどういう声が上がったんですか?

よきゅーん もちろんガチ恋のファンが一切いないとは思っていないので、どうなるかわからなかったんですけど、2人ともフォロワーが増えたんですよ。潔く発表する姿がカッコいいと言っていただくこともありました。まあ、えなこの報道の前に「週刊文春」さんから電話が来たときはさすがにびっくりしましたけどね(笑)。私も初めての経験だったので「どうにかできないかな?」とも思ったけど、普通に手をつないで歩いているところとか撮られているみたいだったけど、写真も見せてもらえないんですよ。だったら年齢も年齢だし、そういう売り方をしていないという自負もあったから堂々と発表しようと。私たちが何も言わなくても文春には載るわけですから。

レナ そういう連絡はギリギリに来るんですよね。

よきゅーん そうそう、だから少ない時間で何ができるかを考えました。ちょうどその電話が来たのがラジオの収録日だったから「もう数時間後に収録で4日後に放送されるラジオで言うぞ!」みたいな(笑)。この日ばかりは私も一緒に出演したんですけど、えなこ本人は「私、嘘はついてないもん!」みたいなことを言っていて。えなこはもともとそういう気質なんですけど、ファンに媚びを売ることがなかったので成立したのかもしれないし、コスプレイヤーだから許された部分もあるかもしれない。とは言え文春さんから連絡が来たときは足が震えました(笑)。私がその先の舵取りを失敗した場合、大変なことになるのはえなこじゃないですか。だからもう何度も何度も最適解をシミュレーションして、文春さんと同じ時間に発表させてもらうことにしたんです。えなこの人気はその報道でグラつくものじゃないと思っていたので、もう堂々と発表しようって。

レナ 社長が足を震わせながらでも、どっしり構えてくれていたというのはえなこさんも心強かったと思います。

よきゅーん 既婚者である茉夏を入れたこともそうですけど、彼氏がいることを公表して恋愛OKですよと発信するのも会社のブランディングとしてプラスだと思ったんです。私はうちの子たちに仕事とプライベート、どちらも幸せになってほしい。あと世間の人たちに対して思うのは、彼女たちのプライベートの人生や年齢も考えてあげてほしいということですかね。

過信はしない、毎日の積み重ねが大事

レナ よきゅーんさんはコスプレをいつまで続けようみたいなことは考えているんですか?

よきゅーん いえ、考えてないです。面白いと思ったらやるだけ(笑)。オファーがあっても「別に私がやらなくてもいい」と感じたらお断りすることもあるんです。あとはPPエンタープライズのタレント全員一緒に出るからこそ価値があるというのもありますね。完成した雑誌なりを読者の方が見て「この中に事務所の社長がいるんだよ」という1つのフックになるじゃないですか。それに私が前に出ることで安心するファンもいると思うので。

PPエンタープライズの所属タレント全員で撮影した1枚。よきゅーんも参加している。

レナ 今年の4月1日にはエイプリルフール企画として、PPエンタープライズのタレントが集結した限定グループ・PPE41がデビュー曲「LIE! LIE? PANIC!!」を発表するというトピックもありました。よきゅーんさんはこのグループにも参加されていて、コスプレイヤーの方からすると、そうやって40代でも活躍する姿が見れるのはすごく夢があるんじゃないかなと思いました。

よきゅーん この企画、本当に大変だったんですよ(笑)。でも、同年代の方々にそう思ってもらえたらうれしいですよね。

レナ これだけ経験豊富だと現役アイドルの子たちから相談を受けることもあるんじゃないですか?

よきゅーん たまにありますね。この先どうしたらいいのか、みたいな相談を受けたり。

レナ そういう相談にはどうアドバイスをするんですか?

よきゅーん 「辞めたら?」って(笑)。若いときは見極めが大変だし、卒業するという決断がどう転ぶかは誰にもわからないけど、努力したうえで現状に満足していないならどうにかしたほうがいいんじゃないかなと思うんです。

レナ 私も現状に満足できないまま「とりあえず3年やろう、とりあえず5年やろう」みたいになっていたかもしれません。ターニングポイントはあったはずなんだけど、なかなか自分から辞めますとは言い出せなくて。

レナ

よきゅーん わかるわかる。辞めたあとに何をすればいいかとか若いうちはわからないですからね。それってうちの子たちもそうだと思うんですよ。仕事がない日に何かやることを考えられる子と、考えられない子というのがいて。だからセルフプロデュースができる子は、どんどん自分で自分を売り出す写真が撮れたりする。けど言われないとできない子もいるから、事務所があるわけじゃないですか。

レナ そういう子にアドバイスを送るとしたら?

よきゅーん まずはできる人の真似をすることですね。私は毎日写真を撮ってSNSに上げたほうがいいと思っているんですけど、それに対して「今日はお化粧してないから」と言う子がいたとすると、その時点で努力する人とは1年間で365歩の差があるわけですよね。もちろん何もしなくてもチャンスをつかめる人もいるけど、そんなの本当にごくわずかじゃないですか。えなこだってすごく努力してるんです。うまくいっているように見えるだろうけど、彼女は本当に休みがなくても文句を言わないし、スケジュールを全部私に任せてくれるし、誕生日は彼氏と過ごしたいとかも言わない。えなこ本人は「仕事に対しての覚悟があるかどうか」だと言ってましたけど、仕事をするからには事務所に迷惑をかけたくないとか、その覚悟ができてるかどうかで仕事に対しての向き合い方も、ファンの方の評価も絶対に変わると思うんです。だって背水の陣だったら死なないように努力するけど、その状況がわかってない人は死んじゃうわけじゃないですか。自分の立ち位置を客観的に見られるか、「〇〇は売れていていいな」とうらやむだけだったらずっとそこ止まりなんです。うちはめちゃくちゃ体育会系なので、やらないんだったら売れたくないんだなと思っちゃう。努力ができない子って、チャンスが来ても努力しない。どこに出しても恥ずかしくない子に育ってくれないと、私としても自信を持って売り込めないんですよね。うるせえババアって思われるかもしれないけど(笑)。

レナ いやいや、愛があるから絶対に伝わってますよ。

よきゅーん やっぱり過信しちゃいけないし、表紙に出続けるためにはどうしたらいいかを考えなきゃいけないんですよ。

レナ 厳しい世界なんですね……。

よきゅーん えなこにもずっと「世の中は数字だからね」と言ってきましたから。私が腐男塾で一番の売り上げを叩き出していたら、辞めさせられることはなかったわけじゃないですか。上の人間は数字しか見ないから、どれだけ現場で数字に関係ない部分などでがんばっていても重要視されるのは売り上げなんですよね。

レナ アイドル時代の経験はPPエンタープライズの運営に生かされているんですね。

よきゅーん そうですね。結局、世の中は数字でしか評価してくれない。逆に自分たちもよそのタレントさんを見るときに、まずフォロワー数をチェックするわけですから。

レナ 毎日のSNS投稿のお話だったり、すごく説得力があります。

よきゅーん もちろん私も昔はプレイヤーだったから、そういった積み重ねが難しいのは理解しているんです。私は腐男塾のときに毎日自分と別人格のブログを更新していたんですよ。それはファンの方が評価してくれていたし、10年経った今でも私の推しじゃないファンの方がイベントに来てくれたりする。結局、信頼度みたいなものはそういうところで少しずつ積み上げていくしかないんです。

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チャンスに対して常に準備しておく

読者の反応

レナ(多摩川のおんな) @VB_Rena

よきゅーんさんの言葉の重みを感じたインタビューでした!
是非読んでいただけたら嬉しいです☺️ https://t.co/JSybw7xKLS

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