高畑勲が「戦場ぬ止み」の三上智恵とトーク、狸と沖縄県民の類似性とは

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戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」の緊急特別トークショーが、本日8月21日、東京・ポレポレ東中野にて行われ、同作で監督を務めた三上智恵と、アニメーション監督の高畑勲が登壇した。

「戦場ぬ止み」緊急特別トークショーの様子。左から三上智恵、高畑勲。

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高畑勲

「戦場ぬ止み」は、沖縄・辺野古の海上に建設が進められているアメリカ軍基地を軸に、それに反対する県民と、建設を進める人々との対立を捉えたドキュメンタリー。シンガーソングライターのCoccoがナレーションを務め、両者が衝突する様子だけではなく、歌や踊りなど沖縄の文化や、闘争の中でもユーモアを忘れない県民たちの姿を映し出す。

敬愛する監督を前に緊張した様子の三上智恵(左)と、そんな彼女を優しく見つめる高畑勲(右)。

同作のパンフレットやチラシにコメントを寄せている高畑は「三上さんがこの作品や前作『標的の村』を作ってくれたことで、沖縄のことをやっと具体な形で知ることができた」と振り返る。続けて「東京で暮らしていてはわからないことを教えてくれた三上さんには、感謝の気持でいっぱい」と思いを届けた。

三上智恵

昨年、映画祭の場などで高畑と顔を合わせていたという三上。その場で「『火垂るの墓』では戦争を止められない、あなたの作った『標的の村』のような作品には戦争が止める力があるんだからがんばりなさい」と声をかけられたことを述べ、「その言葉が本作を作る上での支えになりました」と胸の内を明かす。

自身の監督作について話を振られ、言葉を詰まらせる高畑勲。

高畑のことを尊敬する監督と評す三上は、今回の舞台挨拶のために「平成狸合戦ぽんぽこ」を観直したことに触れ「この作品は、今、沖縄で戦っている民衆のことを描いた作品だった」とコメント。「化けることができない狸たちを救う方法や、実力行使という態度によって集団が割れていく様子、自分たちの生活域が人間によって奪われ引き下がれない戦いに臨んでいく彼らを描いた本作はまさしく“運動の映画”だった」と力説し、「小さな勝利でも大きな宴会を開いてしまう狸たちは沖縄の人々の姿とピッタリ重なります」と冗談交じりに言葉を重ねた。

さらに三上は「おもひでぽろぽろ」が高畑の監督作の中でもっとも好きだと告白。「分数の割り算ができない女の子はそこから人生つまずくよ、という映画ですよね」と高畑に話を振ると、先程から自作の話を唐突に振られ、尻込みした様子だった高畑は「困ったな……。三上さんの作品の話に戻しましょうよ」と心の声を漏らした。

「戦場ぬ止み」は、ポレポレ東中野ほか全国にて公開中。また10月8日より開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭2015のインターナショナルコンペティション部門への出品が決定している。

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ポレポレ東中野 @Pole2_theater

5月の緊急先行上映開始から早4ヶ月目突入の『戦場ぬ止み』はまだまだ上映続きます!13:00/18:20の二回上映は9/4までで、9/5からはリクエストも多かったモーニング上映(10:20)で続きます。昨日の高畑勲×三上智恵トークの模様→http://t.co/GMpXboZadA

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