「海をゆく者」開幕に向け“若手のホープ”高橋克実「観るのとやるのは大違い」

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「海をゆく者」が明日12月7日に東京・PARCO劇場で開幕。これに先駆け本日6日、フォトコールと初日前会見が劇場で行われた。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

「海をゆく者」は、アイルランドの劇作家コナー・マクファーソンが“クリスマスファンタジー”を描くダークコメディ。日本では2009年、2014年に栗山民也の演出で上演された。今回は約9年ぶりの上演となる。劇中ではアイルランドのダブリン北部を舞台に、クリスマスイブに集まる“ダメ男”たちの物語が展開。海沿いの町にある古びた家に、とある兄弟が2人で暮らしていた。大酒飲みの兄リチャード(高橋克実)は最近目が不自由になり、その世話のために戻って来た弟シャーキー(平田満)は酒癖が悪く、今は禁酒中。陽気なリチャードは、クリスマスイブの日も朝から近所の友人アイヴァン(浅野和之)と飲んだくれ、シャーキーが顔を合わせたくないニッキー(大谷亮介)を「クリスマスだから」とカードに誘ってしまう。さらにニッキーが、シャーキーが“忘れたくとも忘れられなかった”男ロックハート(小日向文世)を連れてきて……。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

フォトコールでは第2幕冒頭の約25分が披露された。舞台では5人の男たちがそれぞれ、ボトルやグラスを傾けたり、タバコをくゆらせたりしながらポーカーに興じている。ステージにはクリスマスの祝祭ムードと酒で弛緩した雰囲気が漂いつつも、キャストたちは丁々発止のスリリングなやり取りを繰り広げ、観る者を物語に引き込む。また「1回の賭けで4万ポンドの船1隻を勝ち取った」というアイヴァンに、ロックハートが「アイヴァンは船を賭けた相手に対し、何を賭けたのか」と問うシーンでは、ピリッとした緊張感が走った。

左から大谷亮介、平田満、小日向文世、高橋克実、浅野和之。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

フォトコール後の会見には、過去にも本作に出演した小日向、浅野、大谷、平田、そして今回初参加となる高橋が登壇。日本初演と再演にも出演した小日向は「過去公演との違いは、年を取ったというひと言につきます。もの覚えが悪くなったし、稽古のあとはどっと疲れる(笑)。でもみんな丸くなって、一緒にいるだけで楽しいです」と話す。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

浅野は「みんな演技の円熟味が増し、以前よりもっと良い作品に仕上がっていると思います。“発酵”しすぎないようがんばります!」、大谷は「みんなほぼ70歳。62歳の(高橋)克実さんが若手のホープという感じ」と笑いを誘い、「お客様に『楽しかったな』思ってもらえたら」と意気込みを述べる。また平田は「僕らにとって最後の『海をゆく者』になると思いますので、お見逃しのないようお願いいたします!」と語った。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

高橋は「俺なんか、皆さんの足元にも及ばないなと思う瞬間が何回もあった」と稽古を振り返り、「リチャードがつらつらとしゃべるところでセリフを間違え、こひさん(小日向)に『ここはフォローできないよ、克実』と言われた」というエピソードを披露して記者を笑わせる。また高橋は「『海をゆく者』は初演も再演も観ましたが、観るのとやるのでは大違い。観るだけが良かったな……とも思いますが(笑)、ここまで来たらまな板の鯉になったつもりで臨もうと思います」と意気込みを語った。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」フォトコールより。

会見では本作がクリスマスの物語であることにちなみ、5人が「もし自分がサンタだったら、誰に何をプレゼントしたいか」という質問に答える場面も。小日向は「共演者の4人に、二十代の自分に1日だけ戻れる薬をあげたい」、高橋は「自分自身に、初日でもうろたえない薬を贈りたい」と、それぞれ共演者を笑わせる。また浅野は「妻を温泉に連れて行く」、大谷は「介護の仕事をしている友人にお金をあげたい」、そして平田は「格好をつけますが……世の中の寂しい人に友達をプレゼントしたい」と回答した。

左から大谷亮介、平田満、小日向文世、高橋克実、浅野和之。

最後は5人が改めて観客にメッセージを送る。小日向は「先が長くない俳優たちの演技を記憶に収めていただけたら(笑)」、高橋は「『メリークリスマス!』というセリフを毎日言っていたらクリスマスが楽しみになってきました。12月がより楽しくなるお芝居なので、ぜひご覧ください」とあいさつした。

浅野は「70歳の“生態”を観るのも楽しいかも。期待を裏切らない舞台になっています」、大谷は「ささやかですが、お客様へのクリスマスプレゼントになれば」とコメント。そして平田は「男5人、なんとなくみすぼらしい服装をしていますが(笑)、最後に温かい気持ちが伝わると思いますので、ご覧になって損はない作品だと思います」と、会見を締めくくった。

上演時間は休憩20分を含む約3時間。東京公演は明日12月7日から27日まで行われ、その後1月29日まで新潟・愛知・岡山・福岡・広島・大阪で上演される。

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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「海をゆく者」

2023年12月7日(木)~27日(水)
東京都 PARCO劇場

2024年1月7日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館

2024年1月12日(金)~14日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2024年1月17日(水)
岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場

2024年1月20日(土)・21日(日)
福岡県 キャナルシティ劇場

2024年1月24日(水)
広島県 JMSアステールプラザ 大ホール

2024年1月27日(土)~29日(月)
大阪府 サンケイホールブリーゼ

作:コナー・マクファーソン
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:小日向文世高橋克実浅野和之大谷亮介平田満

※初出時、地名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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穂の国とよはし芸術劇場 PLAT @Plat_Toyohashi

『海をゆく者』東京で開幕~27日まで東京公演。そしてツアーに出ます。豊橋では来年1月12・13・14日。どうぞお見逃しなく。チケットは年内にお求めすることをおススメ致します!https://t.co/FJ4lszYRtL #豊橋 #穂の国とよはし芸術劇場 #海をゆく者

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