コロナ禍の中で始めたnoteへの投稿と2020年9月にスタートした「ダ・ヴィンチWeb」での連載をまとめた同書。ルームシェア時代のエピソードや「M-1グランプリ」の裏話、元相方との秘話も収める。さらに相方・畠中、大学時代の思い出、家族をテーマにした3本の書き下ろしと、作家・山田ナビスコとの“酒飲み対談”が収録されている。
自身初となる著書の出版に、伊藤は「本を出させてもらうことなんてなかったですし、こんなに大変なんだと。書き上げるのが大変で、KADOKAWAさん、ダ・ヴィンチさんに協力してもらって、あんな（大変な）思いして出したんですけど、いざ出た今は、印税のことで頭がいっぱい（笑）」と率直な心境を吐露。しかし印税の使い道を聞かれると、「稼ぐことは大好きなんですが、もらった時点で満足してしまう。自分のした仕事がこれくらいのお金になったんだ、というのを喜びにしているので、使い道はしょうもない。飲み代とかに消えると思います」と予想する。
noteで書き始めた背景には、帯コメントを寄せているメイプル超合金・カズレーザーの後押しがあった。「今何かを始めた芸人はコロナが収まったときにきっと仕事につながる」との言葉に励まされたという。そんなカズレーザーは4種類の帯コメントを候補として送ってくれたが、伊藤は「そのうちの3つは世に出せるようなものじゃかった。ここでも言えない」と消去法で現在のコメントを掲載しているのだと明かす。
書くのは大変だったが、楽しみも見出した。「エピソードトークってちんたらしゃべれない。文章だと時間を気にしないで書けますし、表現の仕方もだいぶ変わる。文字でしか表せられない仕様にはなっている」と話す伊藤は、「本も読んでこなかったし、漫才の台本以外は書いてきたわけでもない。だからなるべく自分の言葉で書こうと思った。自分で言うのもなんですが、めっちゃ読みやすいと思います。僕がしゃべってるみたいな文章」と自身の文章の特徴を解説した。
相方には「読んでほしくない」ときっぱり。「日記みたいなもんなんで、相方に読まれるなんて絶対嫌です。あいつ（畠中）の話も書いてますし」といい、身内である芸人仲間にもなるべく読まれたくないのだとか。伊藤によれば、畠中は「人に対して興味がない」。伊藤は「コンビでトークライブをしたことがあって、ボックスからテーマを引くんですが、『無人島に何か1つ持っていくなら？』というお題が出たときに、まずは畠中から話してひとしきり盛り上がったんです。そしたらあいつ、俺には聞かないまま次のテーマを引いた。そういう男なんです」と畠中を象徴するエピソードを紹介してみせた。
初著書の点数は「100点」。「承認欲求の化け物なので。僕が（100点と）言わなかったらみなさんも読みづらいじゃないですか。100点のものを仕上げました！」とアピールする。連載中にはポジティブな意見をもらえるとわかっているうえで、蛙亭イワクラに読んでもらっていたことも。また、書き下ろしの1編を執筆し終えたときには立ち飲みバーで隣にいた女子大生に「読んでみてもらえませんか？」とお願いし、その様子をじーっと見つめ、「面白いです」としか言わせないような空気を醸し出していたと振り返った。
今年やりたいことを聞かれると、「休みをたまには作って、旅行とかもしてみたい。あまりにも漫才やって、テレビ出させてもらって、夜飲みに行って、のみの毎日なので。それでもいいけど、いろんなことしてみたい」。また「M-1グランプリ2022」を回想し、「（次は）あんまり気を張りすぎないようにやる。見たでしょ？ バキバキだったでしょ？ 笑わないでしょ、あの顔。（自分が出場している）『M-1』はどうせ負けているので今まで見たことがなかったんですが、去年は気になって見てみたら、なんて苦しそうに漫才してるんだと思った」と気づきがあったと話した。
さと @ozigo712
ずっとネコみたいな顔してる🐱
ナタリーさんに載せてもらえたやったね https://t.co/hSi30zHw9L