「死ぬまで音楽を続けよう」DUSTCELL全国ツアー「ROUND TRIP」完走、EMAが伝えた切実な思い

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DUSTCELLの2度目となる全国ツアー「ROUND TRIP」が5月25日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でファイナルを迎えた。

「DUSTCELL TOUR 2023『ROUND TRIP』」の様子。(Photo by Takashi Konuma)

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3月にリリースされたミニアルバム「ROUND TRIP」のタイトルを冠したこのツアー。DUSTCELLは4月の北海道・Zepp Sapporo公演を皮切りに宮城、大阪、福岡、愛知を巡ってきた。このツアーでは、コロナ禍でライブ活動を本格的にスタートしたDUSTCELLにとって、初めて観客による声出しが可能に。最終公演の模様はStreaming+でライブ配信も行われた。

「DUSTCELL TOUR 2023『ROUND TRIP』」の様子。(Photo by Takashi Konuma)

透過LEDにオープニング映像が映されると、会場はさっそく大歓声に包まれる。EMAが「ツアーファイナルいくぞ!」と叫び、最新ミニアルバム収録曲「ANTIHERO」で勢いよくライブはスタートした。昨年のワンマンライブ「PREPARATION」と同様のバンドメンバーによる生演奏が重なることで、DUSTCELLらしいダークな世界観に迫力が加わる。Misumiがドスの効いた声で観客を煽った「オルターエゴ」、代表曲「足りない」、アッパーチューン「TULPA」などの畳みかけに、フロアには熱気が充満。透過LEDに投影された映像の隙間からは、全身で音に乗るEMAとMisumiのシルエットが浮かび上がった。

「DUSTCELL TOUR 2023『ROUND TRIP』」の様子。(Photo by Takashi Konuma)

続いてバンドメンバーが退場し、DUSTCELLの2人編成に。このブロックでは「みんなの声を借りていいかな?」というEMAの言葉から始まったことも手伝って、「DERO」のタイトルをコールするパートや、「堕落生活」の「あーそっかそっか!」の部分などで合唱が巻き起こった。原点回帰という意味が込められたミニアルバムおよびツアーのタイトル「ROUND TRIP」を回収するように、MisumiがDUSTCELL始動前に発表したボーカロイド曲「FAKE」のカバーが演奏されると、レアな選曲にフロアがどよめく。EMAはときにクールに、ときに攻撃的に歌声を響かせ、終盤ではMisumiと声を合わせてシャウトした。

「DUSTCELL TOUR 2023『ROUND TRIP』」の様子。(Photo by Takashi Konuma)

約1カ月にわたるツアーを振り返るEMA。彼女は移動中、ほとんど眠っていたと明かし「Misumiさんはわんぱくだから。飛行機で私が寝てる間、楽しそうにずっとキョロキョロしてた」とMisumiのかわいげのある一面を暴露した。さらにEMAは今回のツアーを通してバンドメンバーとの絆が深まったと、楽しげなエピソードを交えてトーク。そんなバンドメンバーがステージに戻り、ライブ後半は先日リリースされた最新曲「Caffeine」でスタートした。多くの観客はサイリウムを手にしており、楽曲に合わせて自由に色を変更。タイトル通りクリアなサウンドの「透明度」ではフロアが一斉に青に染まり、楽曲終盤で「青と橙のグラデーション」という歌詞とリンクするようにオレンジも混ざって幻想的な景色が作り出された。その後、DUSTCELLは初期曲「LAZY」と、その対になる「SAVEPOINT」をシームレスに演奏したのを機に、ラストスパートをかけるようにアッパーチューンを連発。「独白」で広がった感動的なムードの中、EMAとMisumiはスタッフや関係者、そしてファンへの感謝の気持ちを述べ、最後に「過去の蜃気楼」をエモーショナルにプレイした。

EMA(Photo by Takashi Konuma)

アンコール1曲目に披露されたのはDUSTCELLが初めて発表した「CULT」。会場を再び熱気で包んだのち、「言いたいことがある」とEMAは語り出す。他人からの心ない言葉に傷付けられた経験、理想と現実のギャップや音楽活動に苦悩しながらもMisumiの歌詞やメロディを歌うことで救われてきたことを明かし、「なんで自分だけが、と思う瞬間って必ずあると思うんですよね。でもどんなに理不尽な攻撃を他人からされたとしても、絶対にやり返さないでほしい。弱くてもいいから優しい人間であってほしい。私は今、そうやって必死に生きて音楽をやってます」と自身の願いとスタンスを示す。続けて「そういう生き方をするのは本当につらいけど、自分が思う優しさを人に与えていれば、いつか必ず自分に返ってくるから。本当に苦しくて死にたくなったときに、絶対に誰かがそばにいてくれると思ってる」と言葉を紡いだ彼女は、「私もMisumiさんも潰れそうになるくらい、つらい思いをしても、死ぬまで音楽を続けようと約束した仲なので。私たちが音楽を続ける限りは、絶対に最後まで聴き続けてほしいなって思います」と力強く宣言した。

「自分がこのツアーで伝えたかったことは全部、形に、声に、音にできたんじゃないかな。本当に寂しいけど、みんなに向けて僕らから精一杯の応援の気持ちを込めて最後の曲を歌います」というEMAの言葉ののち、ラストナンバーとして演奏されたのは「STIGMA」。透過LEDに映された、直前のEMAのMCにも通じる歌詞が、聴衆の心に強いメッセージを刻み付け、深い余韻の中でツアーは幕を閉じた。

終演後、DUSTCELLが12月に東阪ワンマンライブ「DUSTCELL LIVE 2023『DAWN』」を開催することが発表された。詳細は後日アナウンスされる。

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「DUSTCELL TOUR 2023『ROUND TRIP』」2023年5月25日 Zepp Haneda(TOKYO) セットリスト

01. ANTIHERO
02. オルターエゴ
03. 蜜蜂
04. 足りない
05. TULPA
06. アネモネ
07. DERO
08. SOIREE
09. 堕落生活
10. Kick It Down
11. FAKE
12. Caffeine
13. Void
14. ONE
15. 透明度
16. LAZY
17. SAVEPOINT
18. ORIGINAL
19. 命の行方
20. 独白
21. 過去の蜃気楼
<アンコール>
22. CULT
23. STIGMA

DUSTCELL LIVE 2023「DAWN」

2023年12月7日(木)東京都 豊洲PIT
2023年12月9日(土)大阪府 なんばHatch

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うさ子 Music&gamechannel @usako_company

泣いた(TT) https://t.co/d4gt5pG5HO

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