Orangestarが仲間とともに東京ガーデンシアターを彩った夏の夜、“未完成”の新曲も披露

Orangestarのワンマンライブ「UNDEFINED SUMMER-NOISE」が8月5日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。

「Orangestar ONE MAN LIVE『UNDEFINED SUMMER-NOISE』」の様子。(Photo by HARUNA AOI[superbly inc.],SHIMOYAMA HARUKA)

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Orangestarは2013年にニコニコ動画へ楽曲「ノラボク」を投稿し活動を開始したボカロP。2017年から音楽活動を一時休止し、2020年に再開した。彼のワンマンライブは2017年4月に東京・上野音横丁で行われて以来、約5年ぶり。当初は東京・チームスマイル・豊洲PITでの開催が予定されていたが、先行予約受付の段階で申込み数がキャパシティを大幅に上回ったことから、コロナ禍においてより多くの観客に安心して観覧してもらえるようにと、最大収容人数が約8000人の東京ガーデンシアターに会場を移して行われた。ライブではOrangestarがボーカルとアコースティックギター、Orangestarの妻でもある夏背がメインボーカルを担当。サポートメンバーとしてもやし(G)、遼遼(Vo, G)、pino(B)、初穂(Dr)、ナサガシ(Key)、夜のロサンゼルス(Manipulator)も出演した。

「Orangestar ONE MAN LIVE『UNDEFINED SUMMER-NOISE』」の様子。(Photo by HARUNA AOI[superbly inc.],SHIMOYAMA HARUKA)

開演前、場内には水音と鳥のさえずり、蝉の鳴き声と風鈴の音、波音などが流れ、夏を題材にした楽曲を多数発表しているOrangestarの世界観が作り上げられる。薄暗い照明の中でステージに登場したOrangestarとサポートメンバーは、キレのあるインストナンバー「roars」で会場に集まった観客を歓迎。客席ではライブが始まった喜びを表すようにクラップが鳴り響き、多くのペンライトが揺れた。「roars」の終盤に颯爽とステージに現れた夏背を交えて「Henceforth」が始まると、初めてステージの照明が明るくなり、バンドメンバーを背にしたOrangestarと夏背の姿が観客の前にはっきりと現れる。ライブの告知ビジュアルに歌詞が引用されたこの曲を、2人は時折笑顔を浮かべながら歌唱した。

Orangestarは「……人が多いですね(笑)。2回目のワンマンライブなんですけど、1回目はこれの10分の1にも満たない小さいライブで。またできたらいいなと思ってたけど、まさかここまでの規模になるとは」と想像を上回る壮観に驚きを隠せない様子。全力で楽しむという意気込みとともに、緊張していることを素直に明かし、MC対策に用意してきた「わー!!」という大歓声のSEを流して観客を和ませた。ペンライトは本公演のグッズとして販売されたもので、14色に切り替わる。Orangestarは楽曲のイメージに合わせて、自由にペンライトの色を選んで楽しむよう観客に呼びかけた。

続いてギターのフェードインで始まったのは「空奏列車」。疾走感あふれるリズムに乗って、Orangestarと夏背の心地よいかけ合い、美しいハーモニーが場内に響き渡る。「アスノヨゾラ哨戒班」ではステージ背後に空のイラストを用いたミュージックビデオが投影され、楽曲のエモーショナルな世界観を強調。楽曲終盤、空が赤く染まる映像とリンクするように、それまで寒色が多かった観客のペンライトが一斉にオレンジや赤に切り替わり、会場を幻想的に照らしていた。

「Orangestar ONE MAN LIVE『UNDEFINED SUMMER-NOISE』」の様子。(Photo by HARUNA AOI[superbly inc.],SHIMOYAMA HARUKA)

ファンが見せた阿吽の呼吸に対し、Orangestarは「ラストサビ、何が起きたのかと思った」、夏背は「もう、泣きそう(笑)」と興奮気味に語る。2人は感謝の言葉を何度も口にし、「次の曲はペンライトを青系の色で」とリクエスト。そんな要望に観客が応え、客席が涼しげな色に染まる中で浮遊感のある「水星」が奏でられた。その後、ステージに紗幕が下ろされ、軽トラックの荷台に乗る少女のイラストが大写しになると同時に「DAYBREAK FRONTLINE」の演奏がスタート。バンドの生演奏とボーカロイドIAの歌声がコラボしたこの曲を、観客は総立ちで堪能した。続く「Alice in 冷凍庫」にもIAが使用され、紗幕には水底の光のような照明演出とともに、音に身を委ねるOrangestarと夏背のシルエットが浮かび上がる。紗幕が外されると、2人は緊張がほぐれた様子で「Uz」「ノクティルーカ」といったナンバーを歌唱した。

「ライブが人生で初めてという方?」という夏背の問いかけに、客席から多数の手が挙がる。Orangestarは本公演が実質的に自身の初ライブという感覚であることを明かし、「来る人は何を期待して来るんだろう、Orangestarのライブってどんなだろうって思っていたんですが……楽しんでくれてるようで本当にうれしいです」と表情をゆるませた。夏背は「MCでダダスベりしたらどうしようって心配してたよね(笑)」と振り返りつつ、「声がないのに、皆さんの声が聞こえてくる気がします」と観客に伝えた。

「Orangestar ONE MAN LIVE『UNDEFINED SUMMER-NOISE』」の様子。(Photo by HARUNA AOI[superbly inc.],SHIMOYAMA HARUKA)

ライブ終盤に演奏されたのは、キーボードのシンプルな伴奏に夏背のボーカルが際立つスローナンバー。「雨き声残響」はラストでバンド演奏が加わりダイナミックに届けられ、勢いそのままにロックテイストの「未完成タイムリミッター」が始まると観客がヒートアップする。「最後の曲はペンライトを青にしてもらえますか?」と観客にお願いしたOrangestarは、活動休止前、最後に発表した楽曲「快晴」を披露。長く大きな拍手を浴びながらステージをあとにした。

左から夏背、Orangestar。(Photo by HARUNA AOI[superbly inc.],SHIMOYAMA HARUKA)

アンコールにてOrangestarは「まだ“未完成”なんですけど、短い新曲を作ってきました」と、蜜柑星(みかんせい)=Orangestarという名前の由来になった言葉を交えて話し、バンドメンバーにきこり(G)も迎えて新曲「Aloud」を披露。そのままアッパーチューン「夏色アンサー」になだれ込み、観客を沸かせた。その後、きこりを送り出したOrangestarはゆっくりと話し出す。「作曲を始めてもうすぐ10年経ちますが、普段は1人でポチポチ作っているだけなので、私の曲を聴いてくれている人たちは本当にいるんだろうかって思ってたんですけど……」と話し終わる前に観客は大きな拍手を送った。続けて彼は「このメンバーとライブをやることができてよかったなと思います。今、音楽をやっていられるのは、いろんな形で応援してくださってる人たちのおかげ。本当にありがとうございます」と声を詰まらせながらもまっすぐに語り、「新しい刺激をたくさんもらえました。これからもライブを続けられたらと思います」と観客との再会を誓った。そんなOrangestarのMCを経て披露されたのは、彼が転機になったと語った楽曲「イヤホンと蝉時雨」。客席では示し合わせたかのようにペンライトが緑色に点灯した。最後にOrangestarはエンドロールをバックにこの日2回目の「DAYBREAK FRONTLINE」を演奏。中盤ではIAの歌声のみで披露されたこの曲を、Orangestar、夏背、遼遼、IAの歌唱で届け、大盛況の中でライブを締めくくった。

アンコール後には、この日の映像が後日アーカイブ配信されることも明かされた。詳細は近日中に発表される。

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「Orangestar ONE MAN LIVE『UNDEFINED SUMMER-NOISE』」2022年8月5日 東京ガーデンシアター セットリスト

01. roars
02. Henceforth
03. Surges
04. 空奏列車
05. 霽れを待つ
06. アスノヨゾラ哨戒班
07. 水星
08. DAYBREAK FRONTLINE
09. Alice in 冷凍庫
10. Uz
11. ノクティルーカ
12. サンダルリープ
13. 回る空うさぎ
14. 雨き声残響
15. 未完成タイムリミッター
16. 快晴
<アンコール>
17. Aloud
18. 夏色アンサー
19. イヤホンと蝉時雨
20. DAYBREAK FRONTLINE

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