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本作はある女子高校生の死に端を発する、母と娘をめぐるミステリー。戸田が母親のルミ子、永野が娘の清佳を演じた。
戸田は「私自身、『母性』という映画に対して『この作品ってなんなんだろう』ってすごく不思議に思ったんです。自分が携わってきた作品って、だいたい自分の役を通して感情移入してしまったり、客観的にいち視聴者として観ることができるんですけど、今回はどこの視点でも観られなくて、こんな不思議な感覚になったことはない」と作品に対してコメント。また「取材を受ける中で、世代だったり、性別によっても見方がまったく異なる作品だということがわかったので、これから皆さんが、誰に感情移入して、この作品をどういうふうに受け取るかっていうのがこんなに興味深い作品になるとは思いませんでした」とも語った。
廣木は戸田と永野に対して「僕は現場ではほとんど、2人の芝居を見守ってるだけでした。それが楽しかったです」と、2人の演技への信頼を明かす。湊は「私は（原作を）書いてるときに映像が浮かんでいて、ルミ子や清佳の表情も頭の中にあったはずなんけど、映画を観たら『このセリフって、ルミ子はこういう表情で言ってたんだ』『清佳はこんな顔で聞いていたんだ』とお二人に教えてもらった感じがしました」と映像化への感想を述べた。
コロナ禍ということもあり、湊は撮影現場を訪れることができなかったという。そのため舞台挨拶前に行われた別の取材で湊を質問攻めにしたという戸田は、このイベント中にも、映画のあるシーンについて「湊さんがどういう意図で書かれたかはわからないけど、あのとき大地真央さん演じる母を自分に投影すべきだったと気付いて。本当は笑顔で清佳を抱きしめるべきだったんじゃないかなと思ったんです。いかがですか？」と問う。これに湊は「私もそれを聞いて『そうか』と教えてもらった感じなんですけど（笑）。でも映画での（戸田の）表情も『愛してる』の奥に大地さんが見えました」と原作者としてお墨付きを与えると、戸田は「ありがとうございます」と安堵の表情で頭を下げた。
一方、清佳を演じる永野について湊は「高校生から大人になった清佳まで長い年代を演じる中で、しゃべってるときよりもセリフがないときのほうが、『清佳は今、こういうことを考えてるんだ』っていうのが永野さんの表情で伝わってきて。セリフじゃなく、表情で置かれてる現状を表現できるって素晴らしい」と絶賛し、永野は「恐縮です。自分でも難しいな、これ合ってるのかなと悩みながらやっていたので。湊さんに認めてもらえた気がします」と笑顔を見せた。
最後に戸田は「『面白い！』とか『楽しい』っていう作品ではないと思います。人が普通に過ごす中で、気付かなかったことにハッと気付かされる。いつか自分が母親になるとき、あるいはすでに母として過ごしてらっしゃる方が『今の自分ってどうなんだろう』って思い返すきっかけになると思います。そして娘の自分として、母親がどう見えているんだろうっていうこととか、自分自身を振り返らざるを得ない作品だと思います。この作品が、皆さんが前を向く何かのきっかけになればうれしいと思います」と挨拶。「皆さんの感想を聞けるのを楽しみにしています」と締めくくった。
「母性」は全国で公開中。
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