「Shrink~精神科医ヨワイ~」が第5回さいとう・たかを賞を受賞

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七海仁原作による月子「Shrink~精神科医ヨワイ~」が、第5回さいとう・たかを賞を受賞した。

「Shrink ~精神科医ヨワイ~」

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「Shrink~精神科医ヨワイ~」は小さなクリニックの精神科医・弱井を主人公にした医療もの。心に病を抱えながらも、誰にも相談できずに苦しんでいる潜在患者が数多くいると言われる“隠れ精神病大国”の日本で、弱井は1人でも多くの心を救おうと奮闘する。グランドジャンプ(集英社)で連載中だ。

七海は「『チーム』として評価していただけたことが何より嬉しいです。さいとう・たかを先生のお名前を冠した賞に恥じぬようこれからもまっすぐ書き続けていこうと思います」とコメント。月子は「精神の病は自分が知る以上に複雑で奥が深く、毎話勉強させていただきながらの作画です。教えてもらってばかりの連載ですがこのような名誉ある賞を頂戴することができ光栄です」と述べる。編集の山里尚大氏は「今回、賜りましたこの大変な名誉とともに、『Shrink』を世界中の必要とされる場所へ届けていきたいと決意を新たにしました」と語った。

受賞作品のシナリオライター、作画家、担当編集者には、正賞としてさいとう・たかをデザインによる「ゴルゴ13像」を進呈。シナリオライターと作画家には副賞として賞金各50万円が贈られる。2022年1月20日に東京・三笠会館では授賞式を開催予定。同日18時にさいとう・たかを劇画文化財団のWebサイトでは、最終選考会の会議録を公開予定だ。

一般財団法人さいとう・たかを劇画文化財団が創設したさいとう・たかを賞は、シナリオと作画の分業により制作され、2017年9月1日から2021年8月31日の期間中に単行本第1巻が刊行された作品を顕彰するマンガ賞。選考委員には池上遼一、佐藤優、長崎尚志やまさき十三が名を連ねた。

受賞者コメント

七海仁(原作)

このような素晴らしい賞をいただき、また、長年第一線でご活躍されている先生方に作品をお読みいただけたことを心より感謝いたします。
「Shrink」は、日々精神医療の現場でご尽力されている医療従事者の方々、苦しみを抱えながら毎日を精一杯生きている当事者の方たちにお話を伺いながら書かせていただいている作品です。類まれな表現力でキャラクターに命を吹き込んでくださる月子さん、気持ちよく仕事できるようにと心配りしてくださる山里さんや編集部の皆様に加えて、関わってくださったすべての方がチームのメンバーだと思っています。
今回「チーム」として評価していただけたことが何より嬉しいです。さいとう・たかを先生のお名前を冠した賞に恥じぬようこれからもまっすぐ書き続けていこうと思います。

月子(マンガ)

一人目の子を出産した後、ホルモンのせいか自分の描く恋愛漫画のキャラクターにまったく興味が持てなくなる時期がありました。次は恋愛以外のものが描きたいと考え、面白い原作があればくださいと担当編集さんにお願いしていた時に出会ったのが「Shrink」です。ぜひ描かせてほしいと思い一瞬で一話目のネームを切り、とても幸運なことに作画の座をゲットできました。精神の病は自分が知る以上に複雑で奥が深く、毎話勉強させていただきながらの作画です。教えてもらってばかりの連載ですがこのような名誉ある賞を頂戴することができ光栄です。これをきっかけにもっと多くの、この作品を必要としている方々に届いて欲しいと思います。

山里尚大(編集)

「『Shrink』なら受賞できるのではないか」と実は最初から、ひとり密かに思っていました。両先生の才能と作品自体のポテンシャルへの確信もさることながら、本作がまさに今、強く世の中に求められていると感じてきたからです。
七海さんからシナリオを受けとるたびに本当に勉強になり、発見があります。その七海さんがこめた想いを筆に乗せて描かれる、月子さんの美しい原稿を受けとるたびに、溢れる優しさと救いに感動します。
「Shrink」は青年誌連載としては非常にファンレターの多い作品で、SNS上では海外の未翻訳地域からの感想も沢山いただきます。名前のわからない不調に苦しむ人は、国や地域を問わず大勢いるのでしょう。
国内外からのそれらの声をいただくたび、まだまだ多くの人に届けなければ……と感じます。今回、賜りましたこの大変な名誉とともに、「Shrink」を世界中の必要とされる場所へ届けていきたいと決意を新たにしました。

選考委員コメント

池上遼一

人間心理を微細に描いたストーリー。決して他人事とは思えない似た症状を感じる読者も少なからずおられるかもしれない。爽やかな画風で描かれる医師の人柄のように、あたたかい包容力に癒されているような読後感が味わえる。

佐藤優

今まさにコロナ禍で心を苦しめている人が、手を伸ばしたであろう作品。精神病に対して一つの学説に偏らずに、原作家、作画家、編集者が一つひとつのケースについて考え、納得したものを描いている。理屈っぽくない点も良かった。

長崎尚志

非常に現代的なテーマ。よく調べられており、漫画としてだけではなく、救いを求めて読んでいる人も多いのではないか。漫画の可能性を広げた作品。ドラマチックな部分には欠けているが、これで良いと思う。

やまさき十三

絵にしにくい心の闇の世界を、ライターと作画家がコラボして描くことで、精密に、そして簡潔に読み手の心に伝わる作品となっている。苦しみと感動をわかち合うという漫画の新しい地平を拓いた。

この記事の画像(全9件)

第5回さいとう・たかを賞 ノミネート作品(全5作品・作品名50音順、敬称略)

「Shrink ~精神科医ヨワイ~」(集英社 グランドジャンプ連載)
原作:七海仁
マンガ:月子

「前科者」(小学館 ビッグコミックオリジナル連載)
原作:香川まさひと
作画:月島冬二

「ハーラーダービー」(小学館 ビッグコミックスペリオール連載)
作:森高夕次
画:水上あきら

「ボーダー66」(集英社 グランドジャンプ連載)
原作:小森陽一
漫画:藤堂裕

「満洲アヘンスクワッド」(講談社「週刊ヤングマガジン」連載)
原作:門馬司
マンガ:鹿子

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じょんま @jonma

「Shrink~精神科医ヨワイ~」が第5回さいとう・たかを賞を受賞 https://t.co/FNRw0VKdhi

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