コミナタ最古参の編集長&部員が語る、15年間の思い出

コミックナタリーは“マンガ読みの一里塚”でありたい

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そんなコミナタ部員の人生ベストマンガ3選は?

──そんなコミックナタリーを支えてきたおふたりの人物像に迫りたいと思います。コミックナタリーに所属しているというところで、人生ベストマンガ3選を教えてください。

坂本 やっぱり一番好きなのは海野つなみ作品かな。私が中学生くらいのときに、講談社からなかよしのお姉さん雑誌という位置づけでAmie(アミ)という雑誌が刊行されていて愛読していたんですけど、そこに掲載されていた「Telescope Diaries(テレスコープダイアリーズ)」でハマりました。大学生が謎の姉弟と同居する、ちょっとミステリーも入ったお話なんですけど、描かれている生活が今で言う“丁寧な暮らし”という感じで憧れましたね。30代の女性が主人公の「デイジー・ラック」も好きなんですけど、中学生で読んだときは「30代になったらこういう大人になるんだ……」と思って読んでました。

「デイジー・ラック」1巻

淵上 そういう大人になれました?

坂本 な、なれたと思いたい(笑)。自分の原点になった作品という意味では、小学生のときになかよしの妹雑誌・るんるん(講談社)で連載されていた小坂理絵先生の「セキホクジャーナル」。高校の新聞部の話なんですけど、これがきっかけで幼いながらにマスコミ業界に憧れたんだなと思います。あとはただひたすらに望月花梨先生の作品が大好きです。少女マンガばっかりになってしまった。

──淵上さんのベストマンガ3選はどうでしょう。

淵上 まず挙げたいのは坂田靖子先生の作品ですかね。日常に隣接してちょっと不思議なことが起こる話がすごい好きなんですけど、そのきっかけがたぶん坂田先生の作品なんですよね。「バジル氏の優雅な生活」みたいな現実が舞台でミステリー調の作品もいいけど、「星食い」みたいなSFとかおとぎ話的な話は原風景になっている。いま好んで読んでいるマンガも、そういった要素を含んだものが多い気がしますね。

──かなり影響を受けた作家さんなんですね。

淵上 あと那州雪絵先生の「ここはグリーン・ウッド」。自分の世代の作品ではないんですが、親や姉がマンガ好きなこともあって家に少女マンガもたくさんあったので、その影響で読んでいました。グリーン・ウッドと呼ばれている曲者揃いの男子寮が舞台で、そこに入った高校生の男の子が寮の先輩たちにからかわれながら、だんだんその寮になじんでいき、楽しい高校生活を送る話なんですけど……小学生のときに読んだので、高校生になるとそういう楽しいことが待っている!と憧れてたんですよね。まったくそんな高校生にはならなかったんですけど、ナタリーに入ったことである意味、似たような体験できたのかなと(笑)。

「ここはグリーン・ウッド」1巻

──というと……?

淵上 癖の強い人たちに囲まれて、初めての仕事を覚えながら毎日夢中で過ごすっていうのが、さっき言った憧れに近い感じがしていて。失われた青春を取り戻す、みたいな。

──なるほど。

淵上 あと似たようなところで言うとゆうきまさみ先生の「究極超人あ~る」。光画部という写真部みたいな部活が舞台で、その光画部にアンドロイドの生徒が入ってきたことから始まるさわがしい高校生活の話ですね。「グリーン・ウッド」と同じくらい好きなんですけど、現実に憧れたという意味で「グリーン・ウッド」のほうを挙げました。3つ目はちょっと悩んだんだけど、吉野朔実さんの「瞳子」かな。

「瞳子」

坂本 いいマンガばっかりですね。

淵上 「瞳子」は就職もせずぶらぶらしている女の子・瞳子を主人公にした話で、ささいなことでお母さんに反発したり、かと思えばそんな自分が一番愚かであることも理解していたり、益体もない人間の心の機微にすごく感じ入るところがある。特に「好きなものが同じより、嫌いなものが同じ方がいい気がする」ってセリフは印象的で。吉野さんの作品はどれも好きで「瞳子」が一番かはわからないんですが、「好きなものが同じより、嫌いなものが同じ方がいい気がする」のことを折に触れて思い出すから、大事なマンガなんじゃないだろうかと思って選びました。

──ちなみに今日はもう1冊持ってきているみたいですよね……?

淵上 もう1つ迷った作品があったので持ってきちゃいました。小田扉先生の短編集「こさめちゃん」に収録されている「話田家」ですね。お母さんが死んじゃったところから始まる話なんですよ。で、弟がお兄ちゃんに「お母さんが死んでもあんまり悲しそうじゃないよね」って言うんですよね。そしたらお兄ちゃんは「あまり悲しみすぎても良くないし、何事もなかったようにしても母さんに悪い。だから適度に悲しもう。5、6時間に1度悲しむんだ」って。これがすごいわかるというか。人が死んじゃったときとか不幸なことがあったときに、悲しみすぎても悲しまなさすぎても嘘くさくなってしまうというか。そういう普段言葉にできないモヤモヤとしたことをすごい描いてくれている、すごい作品なんです。

坂本 マンガ紹介が止まらない止まらない。さすが、1年間、「今日は何の日?」コラムを続けただけありますね。

淵上 記念日に合わせてマンガを紹介するって企画で、難しかったけどやってて楽しかったですね。興味ない記念日をマンガにこじつけて面白がる……僕の話した「コミックナタリーの仕事に大事なこと」フル稼働(笑)。

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