紫吹淳、主演・中村米吉のオンディーヌに太鼓判「女性が見習うべき点が多々ある」

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中村米吉が主演を務める「オンディーヌ」の東京・東京芸術劇場 シアターウエスト公演が、本日1月6日に開幕。これに先駆け、昨日5日に初日あいさつとゲネプロが行われた。

「オンディーヌ」より。

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「オンディーヌ」より。

「オンディーヌ」は、水の精・オンディーヌと遍歴の騎士ハンスの悲恋を描いた、フランスの劇作家ジャン・ジロドゥの作品。上演台本・演出を星田良子が手がける本上演版では、オンディーヌ役を米吉、ハンス役を宇野結也小澤亮太がWキャストで務める。このほかの出演者には、和久井優、佐藤和哉、白鳥かすが、我善導、宮川安利、加納明、市瀬秀和、そして紫吹淳らが名を連ねた。なお本作は昨年12月に愛知公演が行われた。

「オンディーヌ」より。

「オンディーヌ」より。

本公演では、かつて悲恋で終わったオンディーヌとハンスが、水の精たちによる劇中劇の中で出会い直す、という設定で物語が展開していく。オンディーヌは、“相手の男が心変わりし、お前を裏切ったら男は死ぬ“という水の精の王(市瀬)との契約により、ハンスを失おうとしていた。ハンスを助けてほしいというオンディーヌの願いを聞き入れた水の精の王は、2人の記憶を消し、出会いからやり直させることに。記憶を失ったオンディーヌとハンスは、人間界で再び恋に落ちるが……。

舞台上には扉と大階段で構成された小屋が立ち上がり、物語の進行によって、舞台は水の世界、漁師小屋、王宮へと姿を変えていく。米吉は、持ち前の澄んだ美しい声色と愛らしい佇まいで、ハンスが思わず恋に落ちてしまう、14歳の水の精の少女を説得力をもって演じた。思ったことをすべて口に出してしまうオンディーヌのセリフを屈託ない笑顔で発し、その裏表のない天真らんまんさで客席を笑いで包む。一方で、ハンスへの愛情を身体いっぱいで表す、いたいけな演技で、観客の胸を締め付けた。

「オンディーヌ」より。

「オンディーヌ」より。

ゲネプロでは、初日公演と同様に小澤がハンス役を務めた。小澤は、婚約者のベルタ(和久井)からオンディーヌへ、オンディーヌからベルタへと、心変わりを繰り返すハンスを愛嬌たっぷりに演じ、“人間”らしい憎めない男として表現。和久井は、ベルタをオンディーヌとは対照的に、一見落ち着きのある大人の女性として立ち上げる。王妃イゾルデ役の紫吹は、王宮で孤立するオンディーヌに向ける慈愛の表情、そして低く響く声で、王妃の高貴さや慈悲深さを観客に感じさせた。

左から宇野結也、紫吹淳、中村米吉、小澤亮太。

左から紫吹淳、中村米吉。

初日あいさつには、米吉、小澤、宇野、紫吹が登場。愛知公演を経た米吉は「セリフや動き、感情が、自分の身体に染みてきているような気持ちがしました」と手応えを語る。また見どころを問われると「歌舞伎俳優である私がこんな格好や髪型で出てくる、ということも見どころの1つではありますが(笑)、『オンディーヌ』には、本質を突いたハッとさせられる言葉が散りばめられています。お客様には、そうした美しい言葉を楽しんでいただきたいですし、心に何かお土産を差し上げられるようなお芝居にできれば」と意気込みを述べた。

左から紫吹淳、中村米吉、小澤亮太。

左から宇野結也、紫吹淳。

東京公演からの参加となる小澤は「愛知公演を観に行ったのですが、改めてとても綺麗な作品だなと。そしてこの中に俺が入るのか……とプレッシャーを感じました(笑)」と感想を明かす。さらに「本当にキャストの皆さんが素敵で。稽古では、改めて舞台は1人で作るものじゃないなと実感しました。稽古で積み上げてきたものを初日では出していきたいですね」と話す。宇野は「米吉さん演じるオンディーヌがとてもかわいらしくて、自然と心がほぐれました」と愛知公演を振り返り、「冒頭の米吉さんのシーンは、特に2回目に観たときにグッと来るものがあるんじゃないかなと。繰り返し観ても楽しく、観る回数を重ねるごとに深さを感じられる作品だと思うので、余裕があればぜひ2回、3回と観ていただければ」と語る。

「米吉くんは役作りなく、そのまんまで演じられていて……」と話す紫吹淳(左)と、その発言にツッコミを入れる中村米吉(中央)。

中村米吉演じるオンディーヌのかわいさを語る紫吹淳(左)と、スカートをひらひらさせる中村米吉(中央)。

紫吹が「最初はどのような形になるんだろうなと思っていたのですが、見事なファンタジーの世界観を星田さんが作ってくださって。米吉くんに関しては、まったく役作りなく、そのまんまで演じられていて……」と米吉に視線を送ると、「役作りなしはおかしいですよ!(笑)」と米吉からツッコミが飛ぶ。紫吹は米吉の反応に微笑みながら「米吉くん演じるオンディーヌは本当にかわいらしくて、女性が見習うべき点が多々あるんじゃないかなと。東京公演で米吉くんがどのような変化をしてくれるのか楽しみです」と言葉に期待をにじませた。

途中で司会から“今年こそかなえたい願い”というお題が出され、米吉は「ふかめる」、小澤は「電話」、宇野は「乗馬」、そして紫吹は「携帯電話を家に忘れない様にしたいです!!」とそれぞれボードに書き込んだ。米吉は「お芝居や人とのご縁、最近増えている歌舞伎以外のお仕事など、1つひとつを“深めて”いければと」、小澤は「電話をかけるのが苦手なので、すらすらと電話をかけられるようになりたい」、宇野は「(乗馬は)もともと好き。今回騎士の役ということで、役作りじゃないですけど、乗った状態で武器を使えるくらいまで上達したい」とそれぞれ意図を明かす。紫吹の願いに、米吉が「そんなんでいいんですか、本当に!?」と問いかけると、紫吹は「去年の仕事納め、家に携帯電話を忘れてロケに行ってしまったんです。それで来年は気をつけよう、と思って新年を迎えたんですけど……今日もまた忘れました(笑)」と告白。報道陣の笑いを誘った。

最後に米吉は、来場者に向け「1月はあちこちの劇場でお芝居がやっておりますが、ぜひこの作品も観ていただければ。異次元の『オンディーヌ』を作れるようにがんばりたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします」と述べ、初日あいさつを締めくくった。上演時間は約2時間で、公演は1月11日まで。

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「オンディーヌ」

2022年12月23日(金)~25日(日)※公演終了
愛知県 ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 大ホール

2023年1月6日(金)~11日(水)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト

作:ジャン・ジロドゥ
上演台本・演出:星田良子

キャスト

オンディーヌ:中村米吉

ハンス:小澤亮太宇野結也

水の精キラ(ベルタ):和久井優
水の精の王(奇術師):市瀬秀和

水の精(ベルトラン):佐藤和哉(篠笛)

水の精ユラ:白鳥かすが
水の精ダヤン:加納明

水の精トン(オーギュスト):我善導
水の精セラ(ユージェニー):宮川安利

水の精アリ(王妃イゾルデ):紫吹淳

水の精ジボ:松本城太郎
水の精ピサ:佐々木駿也

(c)2022_2023 ArtistJapan

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