市川團十郎白猿、襲名披露興行に向け村上隆が手がけた祝幕に喜び「言葉を失う素晴らしさ」

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「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台『十一月吉例顔見世大歌舞伎』」に向け制作された祝幕のお披露目会見が、昨日11月1日に東京・歌舞伎座で行われた。

左から三池崇史、市川團十郎白猿、村上隆。

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祝幕の全体図。(c)2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

祝幕は、襲名披露興行の際に、定式幕の代わりに使用される特別な引幕。このたびお披露目されたのは、三池崇史が構想し、村上隆が手がけた祝幕だ。この祝幕は「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の上演期間中に披露される。

左から三池崇史、市川團十郎白猿、村上隆。

通常の定式幕が引かれた舞台に、同劇場で行われた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演」への出演を終えたばかりの市川團十郎白猿、そして村上、三池が登場。この祝幕の制作は、三池が團十郎のドキュメンタリー映画を撮影する中で「現代の絵師が描く現代の役者絵を作ってほしい」と村上に依頼したことから実現した。三池は「團十郎の誕生に、こういう形で携われたことを非常にうれしく、光栄に思っております」と思いを述べる。村上は「パンデミックという大変な中ではありましたが、そういうときだからこそ、團十郎さんとは親密なひとときを過ごさせていただきました。團十郎さんからはすごいオーラを感じ、ひたすら感心しておりまして、僕自身も歴史に残るような立派な作品を作らねばという思いで制作いたしました。自分としては、強い自信を持った作品に仕上がりました」と言葉に力を込めた。

市川團十郎白猿

團十郎は、祝幕の原画を見るため、村上の工房に足を運んでいたことを明かし、「原画を拝見したとき、これが祝幕となると想像しただけでワクワクしましたね。その原画は、いつかお金を貯めて購入したいと思ったのですが、とても買えるような金額ではなさそうなので(笑)、諦めているところではございますが、一生懸命働いて、いつか自分のものにしたいですね」と茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。

祝幕を見上げる市川團十郎白猿(左端)。

祝幕の素晴らしさに、思わず三池崇史(左)を振り返る市川團十郎白猿(中央)。

色の鮮やかさに感動する市川團十郎白猿(中央)。

祝幕の素晴らしさを村上隆(右)に伝える市川團十郎白猿(中央)と、2人を温かい眼差しで見つめる三池崇史(左)。

あいさつを終えた3人が花道に移動すると、定式幕が取り払われ、色鮮やかな祝幕が現れる。祝幕は高さ7.1m、幅31.8mあり、歌舞伎十八番のすべての演目がデザインされている。感激した様子で祝幕に見入った團十郎は「言葉を失う素晴らしさと迫力がある」と嘆息しつつ、「遠くから見ても素晴らしいですし、近くで見たときの色彩の細かな違いにも驚かされます。歌舞伎十八番の役どころの目の色がすべて違っているので、ぜひお客様には1つひとつ見ていただきたいですね。そして『外郎売』の部分に、(堀越)勸玄らしき人もいるんです(笑)。そういった細かさもすごい。持って帰りたいですね!」と興奮した様子を見せた。

村上隆「2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番」(c)2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

喜ぶ團十郎と祝幕をうれしそうに眺めていた三池は「『勧進帳』の武蔵坊弁慶と、『暫』の鎌倉権五郎を中心に、ワッと歌舞伎十八番の世界が広がっているところが素晴らしい」とコメント。村上は「専門的なことを言わせていただくと、大きい絵というのは建築と同じで、内部骨格がとても大事。この作品は、原画の時点でこの大きさを想定して制作しているので、内部骨格がしっかりしているんですね。矢と木材を右と左部分にそれぞれまっすぐに配置したことで、絵全体に目が行き届くような構成になっていますし、また團十郎さんには色彩のことに注目していただきましたが、この目の中のぐるぐるも、1つひとつの顔に視線をしっかり誘導できる仕掛けになっています」と解説する。

團十郎は、村上と三池との出会いに「このようなご縁をちょうだいしたことに、深く感謝しております。三池監督が作られる映画もどのようになるか、ものすごく楽しみにしております」と謝辞を述べる。最後に「昨日今日と(『十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演』で)『勧進帳』を、先輩方の胸をお借りして多くのお客様の前で披露できたことは、私にとって光栄で幸せなことでした。襲名披露興行は2年におよびますが、その間も健康でいられるようにがんばっていきたい」と意気込みを語り、会見を締めくくった。

「十一月吉例顔見世大歌舞伎」は11月7日から28日まで、歌舞伎座にて。襲名披露公演は同劇場で12月にも行われ、その後、2024年10月まで京都・南座や大阪・大阪松竹座ほか全国で実施される。

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「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台 『十一月吉例顔見世大歌舞伎』」

2022年11月7日(月)~28日(月)
東京都 歌舞伎座

昼の部

一、「祝成田櫓賑」

出演
鳶頭梅吉:中村梅玉
鳶頭智吉:中村鴈治郎
鳶頭信吉:中村錦之助
芸者松葉:片岡孝太郎
芸者梅香:中村梅枝
鳶の者萬吉:中村萬太郎
同曉吉:中村種之助
同鷹吉:中村鷹之資
手古舞おたき:市川男寅
同おたか:中村莟玉
同おふじ:中村玉太郎
若い者虎造:市川青虎
頭取松蔵:片岡松之助
町役人寿兵衛:市川寿猿
頭取錦兵衛:松本錦吾
女伊達沢潟おえみ:市川笑三郎
男伊達久住の良蔵:市川猿弥
女伊達明石のお廣:大谷廣松
男伊達滝野屋男女蔵:市川男女蔵
男伊達高嶋右團次:市川右團次
女伊達四ツ紅葉のお門:市川門之助
女伊達四ツ花菱のお高:市川高麗蔵
男伊達山崎屋権十郎:河原崎権十郎
芝居茶屋女房お栄:中村福助
芝居茶屋亭主輝右衛門:坂東楽善
芸者時乃:中村時蔵

二、「歌舞伎十八番の内『外郎売』八代目市川新之助初舞台相勤め申し候」

改訂:野口達二

出演
外郎売実は曽我五郎:市川新之助
大磯の虎:中村魁春
小林妹舞鶴:中村雀右衛門
化粧坂少将:片岡孝太郎
遊君喜瀬川:中村児太郎
遊君亀菊:大谷廣松
梶原平次景高:中村鷹之資
茶道珍斎:片岡市蔵
梶原平三景時:市村家橘
小林朝比奈:市川左團次
工藤祐経:尾上菊五郎

三、「歌舞伎十八番の内『勧進帳』」

出演
武蔵坊弁慶:市川團十郎白猿
源義経:市川猿之助
亀井六郎:坂東巳之助
片岡八郎:市川染五郎
駿河次郎:尾上左近
常陸坊海尊:片岡市蔵
富樫左衛門:松本幸四郎

後見:市川齊入

夜の部

一、「歌舞伎十八番の内『矢の根』」

出演
曽我五郎:松本幸四郎
曽我十郎:坂東巳之助
馬士畑右衛門:中村吉之丞
大薩摩文太夫:大谷友右衛門

二、「十三代目市川團十郎白猿 八代目市川新之助 襲名披露『口上』」

出演:市川團十郎白猿、市川新之助、松本白鸚 / 片岡仁左衛門、坂東玉三郎(22日から28日まで)、市川左團次、中村梅玉、尾上菊五郎

三、「歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜』河東節十寸見会御連中」

出演
花川戸助六:市川團十郎白猿
三浦屋揚巻:尾上菊之助
髭の意休:尾上松緑
三浦屋白玉:中村梅枝(7日から20日まで)、坂東玉三郎(22日から28日まで)
朝顔仙平:中村又五郎
福山かつぎ:市川新之助
男伊達山谷弥吉:坂東彦三郎
同田甫富松:坂東亀蔵
同竹門虎蔵:中村萬太郎
同砂利場石造:大谷廣太郎
同石浜浪七:市川青虎
傾城八重衣:中村児太郎
同浮橋:大谷廣松
同胡蝶:中村莟玉
同愛染:市川團子
同誰ヶ袖:市川笑三郎
茶屋廻り:市川男寅
同:中村玉太郎
奴奈良平:市川九團次
国侍利金太:市川男女蔵
遣手お辰:市川齊入
通人里暁:中村鴈治郎
三浦屋女房:中村東蔵
曽我満江:中村魁春
白酒売新兵衛:中村梅玉
くわんぺら門兵衛:片岡仁左衛門

口上:松本幸四郎
後見:市川右團次

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松竹演劇部 @shochiku_stage

【#歌舞伎座】
「#十一月吉例顔見世大歌舞伎」
[WEB掲載情報📱]

【会見レポート】#市川團十郎白猿、襲名披露興行に向け #村上隆 が手がけた祝幕に喜び「言葉を失う素晴らしさ」 https://t.co/GPL0qRORId

#十三代目市川團十郎白猿襲名披露
#八代目市川新之助初舞台

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