黒田育世の“再演譚”「波と暮らして」に柚希礼音&加賀谷香、「ラストパイ」に織山尚大

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黒田育世 再演譚 vol.2「波と暮らして」「ラストパイ」が来年3月14日から17日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、22日から26日まで東京・Bunkamura シアターコクーンで上演される。

左から柚希礼音、加賀谷香、織山尚大。

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黒田育世 再演譚 vol.2「波と暮らして」「ラストパイ」チラシ

これはコンテンポラリーダンス振付家の黒田育世が、過去作の再演に取り組むシリーズの第2弾。今回は2005年初演の「ラストパイ」と、2015年初演の「波と暮らして」の2作品が上演される。出演者には「波と暮らして」に柚希礼音加賀谷香、「ラストパイ」に織山尚大(少年忍者 / ジャニーズJr.)らが名を連ねた。

「波と暮らして」過去公演の様子。(撮影:大洞博靖)

「ラストパイ」過去公演の様子。(Photo by Yulia Skogoreva / 写真提供:Dance New Air 2018)

「波と暮らして」は、ノーベル文学賞作家のオクタビオ・パスによる同名の短編小説に想を得て、画家の“ある男”(柚希)と“波”(加賀谷)との出会いから別れまでを描いた詩情あふれる作品。また「ラストパイ」は、Noism05(現:Noism Company Niigata)から黒田が振付を委嘱された作品だ。

黒田育世(撮影:池谷友秀)

黒田は「波と暮らして」の柚希について「当初は男性の方を探していましたが、今回はよりポエティックにストーリーを紡いでいける方を念頭に、役者でもあり、ダンサーでもある方というのが重要でした。そんな時に柚希さんの踊っている映像を拝見して、雷が落ちたような衝撃を受けました」、加賀谷について「振付家の目を通して振付を体現することができる方です。決して自分の色を出すということをせず、作品の登場人物になろうとする。振付に込められた言葉をすべて読み取れてしまう方なのです」とコメント。

また「ラストパイ」の織山については「織山さんの中に残っている、成人しきれていない中性的な部分が、この作品に神聖さを与え、この作品を祝祭化してくださるのではと思いました。そして彼の爆発力は、この非常に苛酷な40分間を乗りこなしてくれると確信し、オファーに至りました」と出演依頼の経緯を明かした。

チケットの一般販売は12月17日10:00にスタートする。出演者たちのコメントは下記の通り。

黒田育世コメント

これまで演劇の現場でお世話になったBunkamuraシアターコクーンが休館になると聞いたときに、直感的に「ラストパイ」を上演したいと思いました。「ラストパイ」はダンス以外の要素の無い、命という単位しかない、一番シンプルな形のダンス作品です。一度劇場を閉めて、再び幕が上がるとき、劇場に焼き付けておくべきは、命を歌い上げる祝祭的な踊りであるべきだと思ったのです。一方「波と暮らして」はオクタビオ・パスの小説があり、ストーリー性を帯びているものです。状況を克明に説明するものではなく、パスが作品に秘めた本心をダンスで綴っています。物語性を孕んでいる「波と暮らして」と、物語性を排し、生命力を孕んでいる「ラストパイ」という対照的な二作品で、ダンスとは両極に触れることができるものだということをお客様にお見せ出来たらと思います。

「波と暮らして」の柚希さんの役は、当初は男性の方を探していましたが、今回はよりポエティックにストーリーを紡いでいける方を念頭に、役者でもあり、ダンサーでもある方というのが重要でした。そんな時に柚希さんの踊っている映像を拝見して、雷が落ちたような衝撃を受けました。一瞬の映像でしたが柚希さんなら、パスが<ある男>に背負わせたものを無意識に吐き出してくれるのでは、と。そして本作はバレエのテクニックを基に振り付けているので、美しいバレエのラインを持つ方という意味でも、柚希さんしかいないと思いました。加賀谷さんは、どんなに言葉を尽くしても、振付家はその作品のすべてをダンサーに伝えきれるものではない中で、振付家の目を通して振付を体現することができる方です。決して自分の色を出すということをせず、作品の登場人物になろうとする。振付に込められた言葉をすべて読み取れてしまう方なのです。彼女が踊ることで、私が言葉に出来なかった、欠落した部分さえも表現してくださると信じております。そして、織山さんが踊る「ラストパイ」のソロパートは、非常に大きなエネルギーを要する役です。織山さんの中に残っている、成人しきれていない中性的な部分が、この作品に神聖さを与え、この作品を祝祭化してくださるのではと思いました。そして彼の爆発力は、この非常に苛酷な40分間を乗りこなしてくれると確信し、オファーに至りました。

柚希礼音コメント

オファーをいただき大変嬉しかったです。ダンスだけで表現するということは本来自分が好きなことでしたので、ぜひお受けしたいと思いました。そしてまた新しい挑戦だなと感じました。加賀谷さんは、「マタ・ハリ」、「ファクトリーガールズ」という作品で振付をしてくださいました。加賀谷さんと二人だけでほぼ1時間弱踊り続けるということで、ものすごい世界が見えそうだなと思っています。とても信頼と絆がある方なので楽しみです。子供の頃から踊ることが1番好きなことですので、とてもワクワクしています。やはり芝居・歌も含めて表現することが多いので、自分自身に立ち戻るダンスだけで何を表現できるか。自分磨きをしっかりしなければと思っています。宝塚を退団し、様々なことに挑戦している姿をとても温かく見守ってくださるお客様がいてくださるからこそやってみようと勇気がでました。大好きなシアターコクーンで思いっきり羽を伸ばし、ダンスだけで表現をする柚希礼音を楽しみにしていただけると嬉しいです。

加賀谷香コメント

育世さんは純粋にダンサーとして立つことをとても大切にしてくださるので、現在の自分にとってはありがたき幸せの限りです。

鮮やかな量感にあふれていて対面でも舞台上でも眩しいほどのオーラを放つ柚希さん。これまでは主演女優さんと振付師という関わりでしたが、演者としてご一緒出来るなんて感激です。普段は生き場所の違う二人ですが、共に作品に没入して新たな世界が生まれることを楽しみに目指せたらと思います。多岐にわたる舞台作品の振付、演出をされてきた育世さんの作品性やリクエストは、想像を越えて飛び出してくるので緊張感満載ですが、また一つ未知の自分に出会えることに「期待」を込めて向かいたいと思います。台詞や歌のない長尺のダンス作品をこれまであまり体験されたことのないお客様にも、ダンス表現の底なしの可能性を、私達と共に感じていただけたら!と願っています。

織山尚大コメント

出演が決まったときは久しぶりに硬直しました。足の先からゾワッ!と何かが走った後、ゆっくりと嬉しさや感謝の気持ちが込み上げてきました。自分を見つけてくださった黒田さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。黒田さんが思い描く世界を覗けるということが、とても楽しみです。そして、一から「伝える」という事を勉強し、少年忍者の今後に繋げたいです。精神力を極限まで追い込む振付けということなので、いつものアイドルとは違う織山尚大を皆さまにお見せしたいです。頑張ります!

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黒田育世 再演譚 vol.2「波と暮らして」「ラストパイ」

2023年3月14日(火)~17日(金)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

2023年3月22日(水)~26日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン

「波と暮らして」

原作:オクタビオ・パス著「波と暮らして」
演出・振付:黒田育世
音楽:F.ショパン「ノクターン」

キャスト

ある男:柚希礼音
波:加賀谷香

「ラストパイ」

構成・演出・振付:黒田育世
音楽・演奏:松本じろ「Last Pie」
出演:織山尚大(少年忍者 / ジャニーズJr.) / 大江麻美子、小出顕太郎、原田みのる、牧村直紀、奥山ばらば、北村成美、松尾望、片山夏波、相良知邑、三田真央、政岡由衣子

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黒田育世の“再演譚”「波と暮らして」に柚希礼音&加賀谷香、「ラストパイ」に織山尚大(コメントあり) https://t.co/7hc1bmVHH7

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