講談「荒川十太夫」が尾上松緑主演の歌舞伎に、神田松鯉&神田伯山の講談会も歌舞伎座で開催

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10月に東京・歌舞伎座で上演される「十月大歌舞伎」で、尾上松緑主演「荒川十太夫」が上演される。

歌舞伎座「十月大歌舞伎」より、「荒川十太夫」ビジュアル。(c)松竹

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これは、講談「荒川十太夫」をもとにした新作歌舞伎。講談師・神田松鯉が得意とする人気講談「荒川十太夫」では、赤穂浪士・堀部安兵衛の切腹で介錯をつとめた下級武士・荒川十太夫の苦悩と覚悟が描かれる。今回の新作歌舞伎では荒川十太夫役を松緑が勤め、脚本を歌舞伎の狂言作者である竹柴潤一、演出をInnocentSphereの西森英行が担当。チケットの一般販売は9月14日10:00に開始される。

左から神田伯山、神田松鯉。(c)松竹

また歌舞伎「荒川十太夫」上演を記念し、歌舞伎座では9月28日に「神田松鯉・神田伯山 歌舞伎座特撰講談会 ~神田松鯉傘寿を祝って」を開催。松鯉の80歳の誕生日当日に行われるこの講談会では、弟子の神田伯山が「赤穂義士伝より 安兵衛駆け付け~婿入り」、松鯉が「赤穂義士外伝より 荒川十太夫」を披露する。また松鯉、伯山、ゲストの松緑による特別鼎談も行われる予定だ。チケットの前売は8月21日10:00にスタート。

尾上松緑(c)松竹

講談好きの松緑は「私の気持ちの中では講談と歌舞伎も親戚関係に近いと考えております 今回に限らず、今後も講談の名作を歌舞伎に移植して上演出来ればとも願っています 先ずは十月の『赤穂義士外伝・荒川十太夫』、我々も一丸となってお客様の心に残り、再演を希望される作品になる様に全力を尽くしますので、応援を宜しくお願い致します」とコメント。

左から神田松鯉、神田伯山。(c)松竹

また松鯉は「親子会は九月二十八日で昼夜公演。なんと、その日は私の満八十才の誕生日。関係者の粋な計らいに胸が熱くなった」と思いを述べ、「荒川十太夫」の歌舞伎化を「自分が古い速記本の中から発掘して持ちネタにした読み物だけに嬉しい」と喜ぶ。さらに歌舞伎座で講談の公演を希望していたという伯山は「昔はあらゆる日本文化のジャンルが切磋琢磨して影響し、各々の伝統を繋いできました。このコロナ禍において、各々の伝統芸能はさらに連帯を強めているような気がします」と語り、「色々な方が繋いできたお陰で、今日がある大事な歌舞伎座。1日だけ松鯉・伯山親子会でお付き合い頂ければ幸いです」とメッセージを送った。

尾上松緑コメント

十月の歌舞伎座、十月大歌舞伎に於いて講談の名作「赤穂義士外伝・荒川十太夫」を上演させて頂ける運びと相成りました

普段より公私共に御世話になっている神田松鯉先生、神田伯山先生も「講談は宝の山だ」と仰っしゃっている通り、講談には歌舞伎として上演してもお客様の心に響く作品が沢山御座居ます

講談を好む私は以前から、そう云った作品を是非、上演したいと願っておりましたが、今回、松鯉、伯山両先生の御快諾と、松竹株式会社の御賛同を頂き「荒川十太夫」を歌舞伎座で掛ける機会を得られました事、心から嬉しく思っています

また、演出には私の長年の盟友でもある西森英行さんが初めて歌舞伎の演出に力を貸して下さる事も感謝しています

私の気持ちの中では講談と歌舞伎も親戚関係に近いと考えております

今回に限らず、今後も講談の名作を歌舞伎に移植して上演出来ればとも願っています

先ずは十月の「赤穂義士外伝・荒川十太夫」、我々も一丸となってお客様の心に残り、再演を希望される作品になる様に全力を尽くしますので、応援を宜しくお願い致します

神田松鯉コメント

現伯山の発案で歌舞伎座での親子会が実現する事になった。昭和四十二年から四十三年にかけて、ごく短期間だが二代目中村歌門先生の弟子だった私にとっては懐かしい場所である。親子会は九月二十八日で昼夜公演。なんと、その日は私の満八十才の誕生日。関係者の粋な計らいに胸が熱くなった。当日の私の読み物は、相手を思い遣る優しさが胸を打つ赤穂義士外伝「荒川十太夫」。更に嬉しいのは、その「荒川十太夫」が当代尾上松緑丈の主役で歌舞伎化され、十月の歌舞伎座で公演される事になった。自分が古い速記本の中から発掘して持ちネタにした読み物だけに嬉しい。松緑丈は九月二十八日の親子会にもゲスト出演して下さる。

感謝するのみである。

神田伯山 コメント

「講談の公演を歌舞伎座でしたい」というのは、二ツ目時代から願っていたことなので光栄で嬉しいです。

しかも師匠松鯉との親子会。さらには公演日の9月28日は、師匠の誕生日で80歳の傘寿です。師匠にとっても私にとっても、記念すべき講談会になりそうです。

また、私が敬愛する松緑さんを交えての鼎談まであります。10月には講談の台本をもとにした「荒川十太夫」を松緑さんが歌舞伎化されます。歌舞伎の方も非常に楽しみです。昔はあらゆる日本文化のジャンルが切磋琢磨して影響し、各々の伝統を繋いできました。このコロナ禍において、各々の伝統芸能はさらに連帯を強めているような気がします。「こちらのジャンルは大変ですが、そちらはどうですか」というような。「辛い時期にあるからこそ、お客様により喜んで頂きたい」多くのエンターテイメントの願いです。

私は学生時代、そしてこの2年ほど集中的に歌舞伎座に行き、改めて芝居の面白さを噛み締めています。松緑さんはじめ、多くの役者さんやスタッフの方々の奮闘に、胸をうたれます。色々な方が繋いできたお陰で、今日がある大事な歌舞伎座。

1日だけ松鯉・伯山親子会でお付き合い頂ければ幸いです。

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歌舞伎座「十月大歌舞伎」

2022年10月
東京都 歌舞伎座

「荒川十太夫」

脚本:竹柴潤一
演出:西森英行
出演:尾上松緑 ほか

「十月大歌舞伎 荒川十太夫上演記念『神田松鯉・神田伯山 歌舞伎座特撰講談会 ~神田松鯉傘寿を祝って』」

2022年9月28日(水)
東京都 歌舞伎座

演題

  • 開口一番
  • 「赤穂義士伝より 安兵衛駆け付け~婿入り」(神田伯山
  • 特別鼎談(神田松鯉、神田伯山 / ゲスト:尾上松緑)
  • 「赤穂義士外伝より 荒川十太夫」(神田松鯉)

読者の反応

ryugo hayano @hayano

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