赤堀雅秋がコロナ禍の“鬱積した空気感”描く、大森南朋ら出演「ケダモノ」開幕

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赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」が、本日4月21日に東京・本多劇場で開幕。これに先駆け、同日に初日前会見と公開ゲネプロが行われた。

赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」より。(撮影:引地信彦)

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赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」より。(撮影:引地信彦)

赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」より。(撮影:引地信彦)

赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」より。(撮影:引地信彦)

「ケダモノ」は、赤堀雅秋大森南朋田中哲司による演劇ユニットによる、約2年半ぶりとなる新作公演。赤堀が作・演出を手がけ、出演者には大森、門脇麦荒川良々あめくみちこ清水優新井郁、赤堀、田中が名を連ねた。

劇中では、新型コロナウイルスが蔓延した現代の、とある田舎町を舞台にした物語が展開。手島清(大森)は、長年の付き合いである自称・映画プロデューサーのマルセル小林(田中)とつるみながら、リサイクルショップを経営していた。彼らの楽しみは、キャバクラ嬢であるマイカ(門脇)と山口美由紀(新井)のいる店に行くことぐらい。ある日、手島は「不用品を引き取って欲しい」と依頼してきた青木節子(あめく)の家に、店員の出口友宏(荒川)、木村正彦(清水)と向かう。そこで木村は、ある意外な物を見つけ……。

幕が上がると、舞台上には、中古家電やガラクタ、古着が所狭しと並んだ、寂れたリサイクルショップが現れる。登場人物たちは、マスクやフェイスシールドを面倒くさそうに時折外しつつ、新型コロナウイルスの影響で潰れた飲食店や、遠のいた客足の話をし、物語の舞台がコロナ禍の現在であることを観客に強く感じさせた。

大森は、手島の横柄さや鬱屈とした内面を、出口や木村への高圧的な態度で表現。また、気だるげにタバコを吸う姿で、手島が抱える現状への閉塞感を表した。田中は、キャバクラでは酔っぱらいとしてマイカや美由紀に鬱陶しがられる一方で、手島に迷いが生じたときに強い口調で助言するマルセルを、怪しげだが包容力のある人間として立ち上げる。門脇は、フィリピン人と日本人のハーフで、とある事情から国籍を持たないマイカを切実さをたたえて演じた。

左から赤堀雅秋、荒川良々、門脇麦、大森南朋、田中哲司、あめくみちこ。

赤堀雅秋

初日前会見には、赤堀、大森、田中、門脇、荒川、そしてあめくが登壇した。まず赤堀は、本作について「コロナ禍の田舎町の日常を描いた作品。といっても、そんな牧歌的なものではないのですが、この2年間の鬱積した空気感を描ければと思い、作劇しました」とコメント。初日を迎えることについては「とにかく一生懸命積み上げてきたものをお客様に提示したい」と述べた。

大森南朋

田中哲司

大森は「そこはかとなく緊張しますが、楽しめれば」と現在の心境を語る。田中は「(初日に向けた気持ちは)沖縄の方言で言うと、“ちむどんどん(胸がドキドキする)”な感じですかね?(笑)」と大森が出演しているNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」にかけて発言し、周囲の笑いを誘う。ユニットとして3度目となる本公演について、大森は「しばらく赤堀くんとしか芝居をしていないので、習慣化しつつある」と述べ、「毎回、赤堀くんは自分を追い詰めて、作品を書いてくれている。回を重ねるごとに、(赤堀の作品の)“怖さ”が増していっています」と話す。田中もうなずきながら「彼の作品は毎回素晴らしいですが、今回は『ああ、そっちで来たか』と、彼の新しい一面を見ることができました。自信をもってオススメできます」と太鼓判を押した。

左から大森南朋、田中哲司。

さらにユニット公演について、田中が「(ユニット内で)僕が最年長で、今56歳なのですが、できれば70歳までやりたい」と野望を口にすると、隣の大森も「哲さんが70ってことは、僕も60になってますね(笑)」と話しつつ賛同。2人の言葉を受け、赤堀は「いいですね。先まで飯が食える目星がつきました(笑)」と冗談交じりに語った。

門脇麦

ユニット初参加となる門脇は「学生時代から赤堀さんの作品を観ていて、ずっとご一緒したかった」と目を輝かせ、「南朋さんや哲さんとも、舞台でガッツリご一緒するのは初めてで、稽古場から『なんてぜいたくな時間なんだろうな』と感じていました」と笑顔を見せる。続いて、赤堀作品への出演経験がある荒川とあめくがコメント。荒川は「赤堀さんには、いつも僕がこれまでやったことのない役を書いていただけて。また、今回はあめくさん(演じる節子)とのロマンスもあるのですが、そういう役も今までなかった。ありがとうございます」、あめくは「今回、赤堀さんの演出を受けるのは10年ぶりなのですが、演出家としての厚みが増しているように感じました。今回は荒川さん(演じる木村)とロマンスがあり、ますますうれしい」と互いの役の関係性に触れ、会場を笑いで包んだ。

最後に大森が「本日やっと初日を迎えます。芝居は変わっていくものなので、2回目、3回目と繰り返し観に来ても、お楽しみいただけるかと」と述べ、さらに「本作は映画化……の話もあったりなかったりします(笑)」と明かした。上演時間は約1時間55分。東京公演は5月8日までで、その後、5月14・15日に北海道・かでるホール、20日から22日まで大阪・サンケイホールブリーゼで行われる。

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赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」

2022年4月21日(木)~5月8日(日)
東京都 本多劇場

2022年5月14日(土)・15日(日)
北海道 かでるホール

2022年5月20日(金)~22日(日)
大阪府 サンケイホールブリーゼ

作・演出:赤堀雅秋
出演:大森南朋門脇麦荒川良々あめくみちこ清水優新井郁、赤堀雅秋、田中哲司

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仝 / 赤堀雅秋プロデュース「ケダモノ」が、本日4月21日に東京・本多劇場で開幕。これに先駆け、同日に初日前会見と公開ゲネプロが行われた。 https://t.co/OVA3XGHveA 赤堀雅秋がコロナ禍の“鬱積した空気感”描く、大森南朋ら出演「ケダモノ」開幕 - ナタリー https://t.co/gjf3cNNTS8

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