熊林弘高の初シェイクスピア作品、自由な身体で“性の混乱”を追求

2019年8月2日 23:24 312

「お気に召すまま」が7月30日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕した。ステージナタリーでは初日公演の様子をレポートする。

「お気に召すまま」より。(撮影:引地信彦)

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「お気に召すまま」ビジュアル

「お気に召すまま」は、ウィリアム・シェイクスピアの恋愛喜劇。熊林弘高にとって初のシェイクスピア作品となる本公演には、2016年に同劇場で上演された熊林の演出作「かもめ」にも出演した満島ひかり坂口健太郎らが出演している。

舞台には、前面に大きな額縁が鎮座し、ビロードの幕で仕切られたその奥には小さな額縁が設置されている。ピンと張り詰めた空気が漂う中、突如観客の前に姿を現した坂口と碓井将大が、巧みな話術で観客の緊張をほぐし、劇場に集ったオーディエンスを「お気に召すまま」の作品世界へグッと引き込んでいく。

「お気に召すまま」より。(撮影:引地信彦)

この作品では、旧公爵の娘ロザリンドと青年オーランドをはじめとするさまざまな恋人たちの恋愛模様が描かれるが、今回熊林が着目したのは“エロス”だ。熊林は昨年末から数人のキャストと勉強会を行い、早船歌江子の翻訳をもとにしながら、公演に向けて入念な準備を進めていた。熊林は早船と共にシェイクスピアのテキストへの解釈を深く掘り下げ、俳優たちの自由な身体によって、“性の混乱”を追究していく。

そんな熊林の演出を受けた満島ひかりと坂口は、互いに追放され引き離されながらも、激しく惹かれ合うロザリンドとオーランドの魂を、彼らの自由な身体に宿した。ロザリンドを演じる満島ひかりは、いたずらっぽい笑みを浮かべながら劇場内を軽やかな足取りで駆け回り、人々の心を揺り動かす。一方、オーランドを演じる坂口の衣装から覗く鍛え上げられた肉体には、硬さではなく柔らかさがあった。

「お気に召すまま」より。(撮影:引地信彦)

ロザリンドとオーランドだけではない。ロザリンドが男装した姿であるギャニミードと、彼に恋の相談をするオーランドというペア、オーランドの兄オリバー(満島真之介)とロザリンドの従妹シーリア(中嶋朋子)のペア、田舎娘のオードリー(小林勝也)と彼女に片思いするウィリアム(碓井)のペア、羊飼いのシルビウス(萩原利久)と同じく羊飼いのフィービー(広岡由里子)のペアなど、世代や性別を超えたキャスティングによって、舞台上に広がるアーデンの森は、ジェンダーやセックスの垣根を超えた、自由で奔放な場所へと変貌していった。

本作の上演時間は休憩ありの約2時間40分。東京芸術劇場 プレイハウスでの公演は8月18日まで行われ、その後、8月から9月にかけて愛知、新潟、兵庫、熊本、福岡で上演される。

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「お気に召すまま」

2019年7月30日(火)~8月18日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2019年8月22日(木)~25日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2019年8月31日(土)・9月1日(日)
新潟県 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場

2019年9月4日(水)~8日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2019年9月11日(水)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール

2019年9月14日(土)・15日(日)
福岡県 北九州芸術劇場中劇場

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:早船歌江子
演出:熊林弘高
ドラマターグ:田丸一宏
出演:満島ひかり坂口健太郎満島真之介温水洋一 / 萩原利久碓井将大テイ龍進、Yuqi(UQiYO)、広岡由里子久保酎吉 / 山路和弘小林勝也中村蒼中嶋朋子

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