「俺にとっての東京は峯田和伸だった」MOROHAが銀杏BOYZと熱演繰り広げた自主企画「怒濤」

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MOROHAが3月26日に東京・WWW Xで自主企画ライブ「怒濤」の第21回を開催した。

MOROHA(Photo by MAYUMI)

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「怒濤」は、MOROHAが2014年から定期的に開催している対バンシリーズ。チケットが即日完売となった第21回は、ゲストに銀杏BOYZを迎えて行われた。

銀杏BOYZ(Photo by MAYUMI)

銀杏BOYZは峯田和伸(Vo, G)、加藤綾太(G / THE 2)、岡山健二(Dr / classicus)の3人編成でステージに登場すると、スローナンバー「二回戦」で静かに熱くライブの口火を切る。峯田が満員のフロアを眺めながら「今日はね、初めて3人編成でやるんです。MOROHAとやるならこういう編成も面白いと思って。なかなかと思うから(みんなは)目撃者だよ。最後まで楽しんで帰ってくださいね」と呼びかけるとキラーチューン「夢で逢えたら」に突入。フロアからはすぐさまシンガロングが沸き起こり、序盤から一体感のあるステージが繰り広げられた。峯田とMOROHAのアフロ(MC)は今回のイベント開催に向け、「SPICE」で対談を実施した。峯田はこの対談に触れて初めて交際した元恋人の話題になったと語り、「その人とは半年くらいしか続かなかったんだけど、特別な半年間になっていて。その曲をひさしぶりに歌おうかな」と続けて「佳代」を披露。高円寺に住んでいた初めての彼女について綴ったこの曲を大切そうに歌い上げた。

峯田和伸(Vo, G / 銀杏BOYZ)(Photo by MAYUMI)

銀杏BOYZ(Photo by MAYUMI)

スポットライトを浴びた峯田が「生きたい」を弾き語りで熱唱すると、その鬼気迫るパフォーマンスに観客は息を呑む。曲の終盤で加藤と岡山が力強い演奏で合流すると、峯田のボーカルも生々しさが増していき、混沌としたムードが場内に充満した。「BABY BABY」では、峯田が演奏を一旦中断して「覚えといてよ。俺今まであんたたちとの約束を1つも守ったことねえけども、1つだけ約束。この曲をいつか必ず満員の国立競技場で歌うから。出会い系だのマッチングアプリだのよ、クラミジアにかかっただのよ、何やってもいいからよ。頼むから生き延びてくださいよ!」と宣言。そして「ベイビー! ベイビー!」と叫ぶと、3人が一斉に轟音を鳴らし始める。そのエモーショナルな演奏を浴びた観客は、ともに歌ったり、拳を突き上げたり、ダイブしたりと、それぞれが楽曲を楽しんだ。銀杏BOYZは最後に加藤がアコースティックギター、岡山がタンバリンに楽器を持ち替えて「ぽあだむ」を演奏。峯田はこの曲を観客とともに熱唱し、やり切った表情でステージをあとにした。

アフロ(MC / MOROHA)(Photo by MAYUMI)

MOROHAのステージは「チャンプロード」で幕開け。アフロはUK(G)が弾くメロディアスなギターに乗せ、前のめりになりながら熱のこもった言葉を畳みかけて1曲目からガッチリと観客の心をつかんだ。「俺にとっての東京は峯田和伸だった。お前が行くって決めたんだろ? お前がやるって決めたんだろ? やるからには東京、ブチ抜けよ」、アフロがそう告げて披露したのは「上京タワー」。生まれ育った故郷を離れて東京で勝負する自分自身を鼓舞するように迫真のラップを届けた。MCではアフロが「ちょっと不満がありまして。銀杏BOYZがステージに上がったらみんな『峯田!』って言ってたのに、俺たちのときは誰一人名前を呼んでくれない」と冗談交じりにつぶやくと、フロアからはMOROHAの2人の名前を叫ぶ声が上がる。ピースフルな雰囲気の中、アフロが「声出しできるようになってよかったですね。今のところが俺たちのライブでの最後の声出しのチャンスでした。なんせ俺たちはあんたらを黙らせに来たんだよ」と告げると、UKのギターを合図に「勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ」を披露。2人は真っ赤なライトの下、緊張感に満ちたステージングを繰り広げた。

UK(G / MOROHA)(Photo by MAYUMI)

ライブ中盤、アフロは銀杏BOYZのステージを振り返り「『佳代』をやるとは思わなかった。ステージ袖で観てたんだよ。『佳代』を演奏するってなったときに前列の男の子と目が合った。初めて会ったのに『うんうん』って頷いちゃって(笑)。たぶん、あいつにも“佳代”がいるんだなと思ったらたまらない気分になった」と話して、別れた彼女からの手紙をテーマにした「拝啓、MCアフロ様」を歌唱。アフロが穏やかに紡ぐ元恋人との日常の風景と、UKの弾く温かなアコースティックギターの音色が相まって場内はセンチメンタルなムードに包まれた。MOROHAはその後、「革命」「三文銭」などの代表曲を全身全霊で披露。アフロが自身の家庭環境について歌った最新曲「ネクター」では、その残酷ながらも温かい家族愛を描いたリアルなリリックに、思わず涙を流す観客の姿も見られた。

アフロ(MC / MOROHA)(Photo by MAYUMI)

UK(G / MOROHA)(Photo by MAYUMI)

最近物販席に立つようになったというアフロは「古きよきロックが好きな人に『バンドマンの神秘性みたいなものが崩れるからやめたほうがいい』とTwitterでお叱りを受けたりするんですよ。それを見たときに『しめた!』と思って。神秘性みたいなものは幻想だから、それを売り物にしているうちは本物になれない。その免罪符を持って物販に立ちたいと思っています」「なんて言いつつ、金がない人は万引きするか、もしくはそのお金を貯めてまたライブに来てやってください。ありがとうございました!」と、ここまでライブを見守ってきた観客に感謝を伝えると「六文銭」を熱唱。最後は「名前も知らない。マスクしてるから顔だってわからない。それでも思うんだよ! あなたがいた、あなたがいてくれたら名曲でした!」と咆哮し、場内が大きな拍手に包まれる中、この日のライブを締めくくった。

MOROHAは6月5日に愛知・名古屋CLUB QUATTRO、6日に大阪・BIGCATで自主企画ライブ「破竹」、20日に東京・LIQUIDROOMでビッケブランカをゲストに招き「怒濤」の第22回を開催する。各公演のチケット情報はオフィシャルサイトにて確認を。

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MOROHA 自主企画「怒濤」第二十一回 2023年3月26日 WWW X セットリスト

銀杏BOYZ

01. 二回戦
02. 夢で逢えたら
03. 佳代
04. 東京
05. 生きたい
06. ボーイズ・オン・ザ・ラン
07. BABY BABY
08. DO YOU LIKE ME
09. ぽあだむ

MOROHA

01. チャンプロード
02. 上京タワー
03. 遠郷タワー
04. 勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ
05. tomorrow
06. 拝啓、MCアフロ様
07. 革命
08. 三文銭
09. ネクター
10. 六文銭

MOROHA 自主企画「破竹」第三十回

2023年6月5日(月)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
<出演者>
MOROHA / and more

MOROHA 自主企画「破竹」第三十一回

2023年6月6日(火)大阪府 BIGCAT
<出演者>
MOROHA / and more

MOROHA 自主企画「怒濤」第二十二回

2023年6月20日(火)東京都 LIQUIDROOM
<出演者>
MOROHA / ビッケブランカ

※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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