中村佳穂が祈りと祝福を込めた“スペシャル演奏会”、10人編成の演奏にKID FRESINOのラップが乗った夜

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中村佳穂のワンマンライブ「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」の東京公演が3月8日に東京・Bunkamuraオーチャードホールにて開催された。

「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」東京公演の様子。(Photo by Asami Nobuoka)

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「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」は、“2022秋ツアーのメンバーを引き連れ、また一つ新しいアプローチを加えたスペシャル演奏会”と位置付けられた公演。この公演で中村は、伊吹文裕(Dr)、深谷雄一(Dr)、越智俊介(B / CRCK/LCKS、Shunské G & The Peas)、高橋あず美(Cho)、植松陽介(Cho, G)、林田順平(Cello)、須原杏(Violin)、白澤美佳(Violin)、河村泉(Viola)という大所帯の楽器隊とともに2部制のライブを行った。また東京公演には、KID FRESINOがゲストとして参加した。

「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」東京公演の様子。(撮影:井上嘉和)

楽器隊が横一列に並ぶ中、全身黒の衣装を身に纏った中村が登場。荘厳なストリングスの音色でライブの幕が開け、ステージ中央に位置取った中村は「ブラ~~~~~」を披露する。続く「アイアム主人公」では中村がピアノの前に移動。みるみるうちに会場全体にハンドクラップが広がっていき、演奏後には大きな歓声と割れんばかりの拍手が沸き起こった。その後中村はピアノを演奏しながら、「今日は私が感謝の気持ちを持てた10年の節目を自分で祝おうと思います。あなたのためにも祝おうと思います。どうぞ今日という1日を一緒に祝い、楽しんでもらえるとうれしいです。私をずっと褒めてくれて支えてくれてありがとう。今日はよろしくお願いします! 中村佳穂です!」と言葉を紡ぎ、観客の拍手を一身で浴びた。

「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」東京公演の様子。(Photo by Asami Nobuoka)

その後披露された「さよならクレール」「きっとね!」ではアグレッシブなパフォーマンスが展開され、会場が熱狂の渦に包まれる。ここでストリングス隊が一旦退場し、ステージに残ったメンバーは「Q日」「get back」でグルーヴィな演奏を聴かせる。「get back」ではコーラスの高橋と植松がしなやかさと力強さが共存した歌声を響かせ、観客を魅了した。1部ラストとなる「You may they」では、伊吹と深谷によるドラムセッションが炸裂。中村たちはドラムに近付くや否や地面にひれ伏し、大迫力のサウンドを全身で堪能した。

左から中村佳穂、KID FRESINO。(Photo by Asami Nobuoka)

中村佳穂(Photo by Asami Nobuoka)

15分ほどの休憩を経て「Hey日」で2部がスタート。中村が小上がりになったステージの中央に腰かけながらアンニュイな歌声を聴かせていると、舞台の上手からKID FRESINOがフラっと姿を現す。彼は矢継ぎ早なラップで観客を釘付けにしたかと思うと、そのまま忽然と姿を消してしまった。続けて「ÿuni」の演奏が始まると、天高く吊るされた球体状の照明が温かくも寂しげな光を放ち、会場のムードが一変。中村が切なげな歌声を響かせる中、バンドメンバーたちはステージに設置されたスロープの上をさまよい歩き、そのまま吸い込まれるように舞台袖へと消えていく。得も言われぬ寂寥感が会場全体に漂う中、残されたストリングス隊と中村は「忘れっぽい天使」で、儚いムードに拍車をかける。 ダンサー・演出家の下司尚実がスロープ上で踊りを披露し、ステージの背後には躍動感のある影が大きく写し出された。中村と林の2人きりで披露された「ÿuni」では、ミニマムな音像がしっとりした空気を作り上げ、観客は穏やかな演奏に聴き入った。

ライブ終盤、再びフルメンバーがそろうと、中村たちは「MIU」で壮大な音の世界を作り出す。そして民族音楽的なアプローチが印象的な「LINDY」が披露されると、会場のボルテージは一気に上昇。めくるめくパフォーマンスが繰り広げられ、客席は途端に高揚感で満ちていく。そして本編ラストの「アイミル」がスタートすると、無数の観客が自然と立ち上がり、力強いハンドクラップを鳴らす。会場全体をひとつにした中村たちは、オーディエンスの熱い視線を浴びながら、舞台を去って行った。

「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」東京公演の様子。(Photo by Asami Nobuoka)

「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」東京公演の様子。(Photo by Asami Nobuoka)

しばらく続いたアンコールの拍手を受けて中村たちが再び舞台に登場。いつになくラフな格好の中村は「物販で売ってるグッズをアンコールで着るやつ、初めてやりました」と笑顔をこぼした。「アルバム『NIA』で一番難しい曲やります」という言葉に続けて披露されたのは「祝辞」。アコースティック楽器のみで作られた温かみのあるサウンドと、中村の朗らかな歌声が重なり合うと、ステージには牧歌的な空気が流れ出す。そして中村は「皆さんが好きなときに好きなように聴き、好きなときに出会ってくれればいいと言い続けてきましたが、こうしてそれが形になったように感じて本当に幸せです。あなたたちのために歌がどうぞ、ありますように」と祈りを込めるように思いを語り、ラストに「NIA」をパフォーマンス。すると再びKID FRESINOが姿を現し、彼はスタンドマイクの前でオリジナルのラップを披露する。熱のこもったラップと中村の力強い歌声、複雑に絡み合った楽器隊の演奏がひとつになり、会場の盛り上がりは最高潮に。演奏後、客席から惜しみない拍手が送られ、大団円でライブの幕が下りた。

なお中村は本日3月15日に、昨年開催された全国ホールツアー「TOUR ✌ NIA・near ✌」の東京・昭和女子大学人見記念講堂公演の模様を収録したBlu-rayをリリースした。

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「うたのげんざいち ✌ NIA・near Special ✌」2023年3月8日 Bunkamuraオーチャードホール セットリスト

01. ブラ~~~~~
02. アイアム主人公
03. さよならクレール
04. きっとね!
05. Q日
06. get back
07. You may they
08. Hey日
09. Hank
10. 忘れっぽい天使
11. ÿuni
12. MIU
13. LINDY
14. アイミル
<アンコール>
15. 祝辞
16. NIA

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スペースシャワーTV @spaceshowertv

先日開催された中村佳穂さんの
素晴らしかったライブのレポートが
公開されてます💁🏻
佳穂さんがこのライブで初めてやった
「グッズをアンコールで着る」やつ

グッズにデザインされていたのは
この映像作品の中の佳穂さんでした🌕

観測:中村佳穂
https://t.co/J8oVCjh2Ji https://t.co/5ibq3KUkDz https://t.co/Tf8ZolifEs

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