きのホ。初主催フェス「ホ。フェス'23」、京都で作り上げた“新しい音楽との出会いの場”

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きのホ。初の主催フェス「ホ。フェス'23」が2月25日に京都・KBSホールで開催された。

「ホ。フェス'23」の様子。

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京都・KBSホール

京都で共同生活をしながら活動中のアイドルグループきのホ。。新井ポテトがプロデュース、ハンサムケンヤが楽曲制作を手がけ、クリエイティビティにあふれた活動で徐々に人気を高めている彼女たちは、結成2年にも満たないながら、新たな試みとして活動拠点の京都を舞台にした主催フェスを立ち上げた。

「ホ。フェス'23」会場内の装飾。

「ホ。フェス'23」の展示コーナー。手前は小清水美里(きのホ。)によるダンボール作品。

きのホ。の呼びかけでKBSホールに集まったのは、彼女たちと同様にクオリティの高い楽曲で支持を得ているアイドルのほか、バンドやシンガーソングライターなどジャンルの垣根を超えたアーティスト約20組。会場の外ではピザやカレーといったメンバー考案のフードが販売され、場内に入るときのホ。ファンが飾り付けたという愛のある装飾が来場者の目を引く。さらに会場の一角には、御守ミコが制作した入魂の金属工芸作品、小清水美里による新奇な“ダンボール作品”、片桐仁がデザインしたイベントロゴの原画、きのホ。の衣装を並べた展示コーナーが。個性豊かなグループの特色を感じられる、手作り感にあふれた空間の中でライブが行われた。

会場内に設けられたステージは白味噌ステージ、黒七味ステージ、おばんざいステージの3つ。L字型に隣接した白味噌ステージと黒七味ステージでは交互にライブが展開され、ひっきりなしにアーティストが登場する。フェスのトップバッターを務めたのは、この日のホストであるきのホ。の5人。白味噌ステージに姿を登場した彼女たちは疾走感あふれるナンバー「スタートライン」で「ホ。フェス'23」の幕を開けると、「最高の1日にしていきましょう!」と呼びかけた。このフェスではライブ中の観客の声出し制限が解除され、フロアからはメンバーの煽りに呼応して歓声が沸き起こる。新井ポテトがドラムを担当するハンサムケンヤのライブでも、コール&レスポンスによって場内の空気がひとつに。セットリストの最後に披露された「これくらいで歌う」でその熱量はさらに膨れ上がった。

奇妙礼太郎

凝った構成の楽曲を持ち味とするアイドルグループ・美味しい曖昧は、多彩な音楽性とその世界観を表現した複雑なダンスで観客の視線を釘付けに。ステージ上の椅子に腰かけた奇妙礼太郎は、しっとりとアコースティックギターの弾き語りを披露し、優しい歌声でフロアを包み込む。曲の途中に静かなシンガロングが発生するなど、ステージとフロアの境をなくしたような緩やかな空気が流れた。続いて登場したのは、北海道を拠点に活動する4人組アイドル・タイトル未定。彼女たちは透明感のある歌声に情感をたっぷり込め、エモーショナルなサマーチューン「夏のオレンジ」で会場に高揚感をもたらした。京都を活動拠点の1つにしているYeYeも透き通った柔らかい歌声を響かせ、上質なポップスとコミカルなMCで観客を魅了。青春感あふれる楽曲が特徴のtipToe.はさわやかなアイドルソングで会場を沸かせたあと、力強いアッパーチューン「さくら草の咲く頃に」を歌い上げた。

ONIGAWRARAときのホ。。

ONIGAWARAは持ち前の甘い歌声とキャッチーなダンスとともにポップミュージックを届け、フロアを自在に操るようにしてオーディエンスを踊らせる。「シャッターチャンス」では、曲の途中にきのホ。メンバーがステージに登場し、実際にシャッターチャンスが設けられるという展開が。観客はそれぞれスマートフォンを取り出し、ポーズを決めるきのホ。とONIGAWARAの姿をライブの記念として写真に収めた。静岡からやってきたfishbowlはきのホ。の楽曲「相合傘」をカバーするというサービス精神で双方のファンを喜ばせる。昨年の「アイドル楽曲大賞」で1位に輝いた楽曲「熱波」では、観客が一斉に飛び跳ね、会場に熱狂の渦が生まれた。

ヒトリエ

眉村ちあき

ヒトリエのライブも、疾走感のあるサウンドにほとばしるような熱気を乗せた迫力満点のステージに。シノダ(Vo, G)が「想像の100倍楽しいわ」と思わず口にするほど、終始大きな盛り上がりを見せた。レトロでありつつ新しさも感じられるロックナンバーが武器のPIGGSも、内側からあふれ出るパッションをそのまま歌とダンスに昇華したような、パワフルなパフォーマンスをオーディエンスにぶつける。次に出番を迎えた眉村ちあきは、会場の中からPIGGSファンの1人を指名すると、それ以外の観客を座らせ、ステージから降りてフロアへ。そのPIGGSファンの前で誘惑のダンスを踊るという相変わらずのフリーダムなライブを繰り広げたかと思えば、伸びやかで力強い歌声を響かせてオーディエンスを虜にした。

忘れらんねえよときのホ。。

個性豊かなライブが絶え間なく続いている間に外はすっかり暗くなり、正午にスタートしたフェスはいよいよ終盤へ。心地よい疲れと興奮とが合わさった独特な空気が漂う中、こちらも熱いライブに定評がある二丁目の魁カミングアウトが登場し、代表曲「青春は何度でもやり直せるなんて嘘だ」などを全力でパフォーマンスした。忘れらんねえよのライブでは突如フロアに姿を現した柴田隆浩(Vo, G)が、バンドが演奏する[Alexandros]「ワタリドリ」に乗って、観客たちに運ばれながら“ワタリドリ“のようにステージへ。「きのホ。が、アイドルが、ロックバンドが好きだって人、好きって叫ぼうぜ!」という熱い言葉で始まった「アイラブ言う」では、きのホ。メンバーもライブに参加。「アイラブ言う」はアイドルファンの“推し”をに対する思いを描いた歌詞、きのホ。ファンが登場するミュージックビデオが話題になった楽曲で、柴田ときのホ。の歌を受けて会場に大きな一体感が生まれた。

くぴぽによるライブの様子。

NaNoMoRaL

なお、会場の入口付近に設けられた小規模なおばんざいステージでは、新井ポテトによるトークやきのホ。の小花衣こはるによるアコギの弾き語り、松浦正樹(ANATAKIKOU)、好き好きロンちゃん、カナタタケヒロ(LEGO BIG MORL)によるライブがまったりとした空気の中で展開され、トリは大阪発のアイドル・くぴぽが務めた。それとほぼ同時刻、白味噌ステージにトリとして登場したのは、ボーカルの雨宮未來とマニピュレーターの梶原パセリちゃんによる男女2人組ユニット・NaNoMoRaL。2人は等身大の歌詞をまっすぐな歌声で響かせ、フロアを朗らかに照らし出した。

きのホ。によるライブの様子。

そして黒七味ステージのトリとして「ホ。フェス'23」を締めくくるのはもちろん、このフェスの主役・きのホ。5人は個性豊かな出演者たちに負けない渾身のライブを繰り広げつつ、「終わりたくない!」とフェスの終幕を惜しむ。MCの途中では5月にフルアルバムをリリースすること、同月から7月にかけて全国ワンマンツアー「いまゾーンB、そっちは?」を開催すること、このツアーの作・演出をヨーロッパ企画が担当することを発表。グループの未来に対する期待感を抱かせ、盛大な拍手と歓声を浴びた彼女たちは「ホ。フェス'23」に「新しい音楽との出会いの場にしてくれたら」という裏テーマがあったことを明かし、フェスの制作に携わったスタッフ、来場したファンに精一杯の感謝の気持ちを伝えた。続いて披露された「爛漫」では、曲中にステージ背後の壁にかかっていた幕が左右に開き、巨大なステンドグラスが出現。観客はその幻想的で壮大な光景に思わず息を呑んだ。さらに5人は「観月京」をラストナンバーとして歌い、KBSホールが満足感であふれる中で初の主催フェスを見事大団円へと導いた。

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きのホ。全国ワンマンツアー「いまゾーンB、そっちは?」

2023年5月14日(日)東京都 新宿BLAZE(※バンドセット)
2023年5月20日(土)京都府 KYOTO MUSE(※バンドセット)
2023年5月21日(日)広島県 Yise
2023年5月28日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
2023年6月3日(土)福岡県 THE Voodoo Lounge
2023年6月4日(日)熊本県 NAVARO
2023年6月9日(金)新潟県 CLUB RIVERST
2023年6月10日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2023年6月11日(日)秋田県 Club SWINDLE
2023年6月24日(土)愛知県 RAD HALL
2023年6月25日(日)大阪府 ESAKA MUSE(※バンドセット)
2023年7月17日(月・祝)東京都 東京キネマ倶楽部 (※バンドセット)

撮影:ニイミココロ、ヤギタツノリ

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