氣志團、笑いあり感動ありの14年ぶり武道館「君たちがいないと耐えられない」

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氣志團の単独ライブ「THE GIGS」が、昨日1月3日に東京・日本武道館で開催された。

氣志團(撮影:上山陽介)

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氣志團の日本武道館でのワンマンライブ開催は2009年以来約14年ぶり。このライブを最後に綾小路翔(Vo)の声帯炎治療とリハビリのためライブ活動を無期限で休止することを発表していた氣志團は、パワフルなパフォーマンスで集まったKISSES(氣志團ファンの呼称)を存分に楽しませた。

綾小路翔(Vo)(撮影:上山陽介)

ライブのオープニングではスクリーンに全メンバーの名前が、そして最後に「行こうぜ、ピリオドの向こうへ。」というメッセージが映し出され、KISSESの期待を高める。新年にふさわしいゴージャスな羽織袴姿でステージに現れたメンバー5人、そしてサポートドラマーの叶亜樹良が最初に奏でたナンバーは、1月1日に発売された最新アルバム「THE YⒶNK ROCK HERØES」でも1曲目を飾った「房総魂」。綾小路が「ライブハウス武道館へようこそ!」と呼びかけると、KISSESはペンライトを激しく振って応えた。

氣志團(撮影:上山陽介)

その後は同じく最新アルバム収録曲の「This is YⒶNK ROCK」、さらに「NIGHT THE KNIGHTS」とソリッドなロックチューンを連投。西園寺瞳(G)と星グランマニエ(G)のツインギターが武道館に高らかに鳴り響いた。バイクのエンジン音と叶のドラムソロによるイントロに続いては「俺達には土曜日しかない」へ。KISSESは綾小路や早乙女光(Dance & Scream)と同じ振付を笑顔で踊り、会場の一体感を上昇させた。

左から星グランマニエ(G)、綾小路翔(Vo)、西園寺瞳(G)。(撮影:上山陽介)

綾小路が「正月に日本武道館でお前らに会える、これ以上にうれしいことはないぜ! 今日は出し惜しみしねえぞ、お前らの聴きたい曲全部やるからよ!」と叫んだあとは「黒い太陽」「湾岸夜想曲~ルシファーズ・ハンマー'94~」と、バンド初期からの人気曲を連投。その後、ステージ中央のお立ち台に立った綾小路がおもむろにギターをかき鳴らし始めると、次の曲は何なのかKISSESは固唾を呑んで見守った。ここで披露されたのはインディーズ時代のインスト曲「RUN★BAKURATEN★RUN」。レアな選曲に客席からはどよめきも起こる中、トリプルギターと白鳥松竹梅(B)の骨太なベースラインによるアンサンブルは武道館を大きく揺らしていった。

6人のダンサーによるアクロバティックなパフォーマンスでも魅せた「D×D×D」のあとはバンド最大のヒット曲「One Night Carnival」へ。おなじみの振付でKISSESが盛り上がり、落ちサビのブレイクまで演奏されたところで突如場内が暗転した。ここでスクリーンに流れたのは、YouTubeの某格闘技オーディション番組を彷彿とさせる「Breaking Carnival」と題した映像。画面に登場した綾小路扮する人物“スーパーバイザー・One Night Carnival”は、「お前らの聴きたい曲を全部やる」と言ったものの武道館の使用時間が限られていることから「演奏されたい曲同士でやり合ってもらう」オーディションを実施するという企画の趣旨を説明した。

「The アイシテル」を披露する氣志團。(撮影:上山陽介)

その後は氣志團の楽曲を擬人化した既視感たっぷりのキャラクターが続々と登場し、パイプ椅子に腰掛けて罵り合うという怒涛の展開に。星のソロ曲「サイバーシティ」が「330」を「お前ばかり演奏されるのが納得いかない。15分やるからここから消えろやバイセコー!」と煽るなど、個性豊かな“楽曲”が歌詞を引用して繰り広げるそれぞれの言い合いにKISSESは大爆笑した。カオスなオーディションを経て“さよならソング対決”を「さよならDecember」、“愛のテッペン対決”を「The アイシテル」が制して演奏され、さらにオーディションに参加した人気曲のメドレーも披露された。

氣志團(撮影:上山陽介)

しかし各曲の怒りの矛先は最終的にスーパーバイザーの「One Night Carnival」へと向かう。「そもそも名曲なのかよ」「この曲のせいで変なバンドのイメージが付いた」といった大ブーイングをスーパーバイザーが受けて立ち、大乱闘となったところでステージには綾小路が登場。ピアノアレンジに乗せて綾小路が「25年間、この曲に支えられてきました。俺たちが作った曲に名曲はありません。でもみんなが一緒に歌って踊ってくれたから名曲になりました」と語ったあと、センターステージに立ったメンバー5人はマイクを通さずに生声で落ちサビを歌唱し、感動的な光景を作り上げた。

「今日から俺たちは!!」の熱いアンサンブルを届けたあと、綾小路は「今日が来るのが待ち遠しくて、でも怖くて、複雑な思いで迎えました」と、休止前最後のライブを迎えた心境を赤裸々に語る。そして「さっきの“勝負”に負けちゃったけど、どうしても歌いたい曲です」と、「Breaking Carnival」の“愛のテッペン対決”で敗れた楽曲「愛羅武勇」を歌い上げた。ここではメンバー全員がステージ左右の花道やセンターステージに進み出て、KISSESとアイコンタクトを取りながらパフォーマンスする。本編最後には、綾小路の「ラストはみんなの歌だ!」という言葉に続き、微熱DANJIやメンバー6人の着ぐるみも登場して「ゆかいな仲間たち」が披露された。

アンコールでメンバーは白地に赤い日の丸をあしらった学ラン姿で登場し、「族」「鉄のハート」を演奏。綾小路は結成25周年を迎えた思いを「俺たちにとっては2000年を迎えることが夢だったから、それを超えて2023年まで来たなんて」と明かし、「人類が作ったテクノロジーはとんでもないことになってて、昔は考えられなかった未来が来ている。そんな時代に我々はなんて原始的なことをやってるんだろうと。だってロックバンドってコスパの悪い職業だと思うのよ」と、バンド活動の大変さを語る。「ロックバンドの中でももっともめんどくさいのがこの氣志團で、登場人物は多いし髪の毛のセットは1時間かかるし。『ヤンキーだぜ!』とか言ってるけどすごい早起きなんだぜ(笑)」と内情を明かした綾小路は「なんでこんなことをやってるかと言うと、俺たちを見てみんなが笑顔になってくれるから。俺たちはみんなと会いたくてGIGをやっています」とKISSESへの愛情を全開にし、大きな拍手を浴びた。

「こんなに楽しいのにお前らなしで生きられるのかな? 俺たちを氣志團というものにしてくれたのは君たちです、感謝してます。君たちがいないと耐えられないと気づきました。ちょっ早で、最速で帰ってきます!」とKISSESとの再会を誓った綾小路は、その思いを表現するように「ありがとう ばかやろう」を熱唱。演奏時のスクリーンには氣志團のこれまでの軌跡を追った数々のショットが映し出され、メンバー同士の絆も感じさせるひとときとなった。

ダブルアンコールに入る前、スクリーンには街頭インタビューを届ける某YouTubeチャンネルを思わせる映像が流れた。ここでフィーチャーされたのは“無期限休学”中のメンバー・白鳥雪之丞(Dr)に代わり、2012年からサポートを務めている叶。街中でカメラに向かった叶は自身の幼少期や音楽を始めたきっかけ、氣志團との出会いやサポートメンバーとして加わった経緯などを自身の言葉で語る。めったに肉声を披露することがない叶の貴重な言葉の数々に、KISSESは興味深そうに聞き入った。

マイクを握ってステージに登場した叶は「僕の大好きな“先輩”たちを紹介したいと思います」と話し、メンバーたちを順番に呼び込んだ。西園寺は驚いた表情で「お前、しゃべれたのか!」と叶に話しかけて場内の笑いを誘ったあと、「氣志團の一番のピンチを救ってくれたのは君です」と感謝する。その後、ほかのメンバーたちも長年バンドを支えている叶への思いを順番に述べていった。綾小路は「亜樹良が手伝ってくれるようになってから10年以上経ちました。俺たちも“先輩”の自覚を持たなきゃなと思っています。氣志團のGIGに来たら全員俺たちの2個下です。みんな、困ったことがあったら先輩に任せろよ?」と話し、最新アルバムから「先輩」をまっすぐに届けた。

氣志團(撮影:上山陽介)

「必ずまたみんなで元気に会おうぜ!」という綾小路の呼びかけのあとに披露されたラストナンバーは「涙BOY涙GIRL」。メンバー5人はセンターステージに進み出て歌声を響かせ、叶も呼び込んでのフィナーレを迎えた。大サビではメンバーカラーのテープが武道館中に舞い、エンディングを華々しく彩った。

この日のキャストやスタッフを紹介するエンドロールに続き、スクリーンには6人の人物のシルエットにもう1人が加わる映像が流れた。「氣志團 SEASON3」というテロップでバンドの新たな展開を予感させ、KISSESのざわめきが広がる中で武道館ライブの幕が閉じられた。

今回のライブのアーカイブ映像はStreaming+にて1月7日23:59まで配信中。視聴チケットは7日21:00まで販売している。

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氣志團「THE GIGS」2023年1月3日 日本武道館 セットリスト

01. 房総魂
02. This is YⒶNK ROCK
03. NIGHT THE KNIGHTS
04. Engine Call~俺達には土曜日しかない
05. 黒い太陽
06. 湾岸夜想曲~ルシファーズ・ハンマー'94~
07. RUN★BAKURATEN★RUN
08. D×D×D
09. One Night Carnival
10. さよならDecember
11. The アイシテル
12. メドレー(スウィンギン・ニッポン / Boys Bravo! / 恋人 / 我ら思う、故に我ら在り / 木更津サリー / 喧嘩上等)
13. One Night Carnival
14. 今日から俺たちは!!
15. 愛羅武勇
16. ゆかいな仲間たち
<アンコール>
17. 族
18. 鉄のハート
19. ありがとう ばかやろう
<ダブルアンコール>
20. 先輩
21. 涙BOY涙GIRL

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木更津の今 @kisarazu_ontime

【ライブレポート】 #氣志團 、笑いあり感動ありの14年ぶり武道館「君たちがいないと耐えられない」(写真13枚) https://t.co/TgW8J4aDk9

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