WONK主催「EPISTROPH SESSIONS」出演者総勢20人超え、一堂に会してソロ回し

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音楽レーベルEPISTROPHのライブイベント「EPISTROPH SESSIONS」が昨日12月17日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。

長塚健斗(Vo / WONK)(Photo by 木原隆裕)

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「EPISTROPH SESSIONS」は、WONK を中心としたEPISTROPH所属のアーティストたちが、EPISTROPHに縁のあるゲストミュージシャンとともに繰り広げるセッションイベント。同レーベルが主催するセッションとして初めてのホール開催となった。

冷たい雨がちらつくあいにくの天気だが、昭和女子大学人見記念講堂には一夜限りのステージを見逃すまいと多くのファンが来場。オープン時間を迎えると社長(SOIL&"PIMP"SESSIONS)によるDJセットが始まった。会場に入ってくる観客たちをど派手なEDMとまばゆいミラーボールが出迎える。開演時間の直前には社長が「いわゆる“客引きDJ”を担当させていただきました。ここめちゃめちゃいい眺めです。何かの総裁というか教祖というか、そんな香りもしてまいりますが、『EPISTROPH SESSIONS』はあと5分程でスタートいたします。この場所、この瞬間を、しっかりと目に焼き付けてください!」と観客を煽り、場内は大きな拍手に包まれた。

社長(DJ / SOIL&"PIMP"SESSIONS)(Photo by 木原隆裕)

社長がステージ袖に姿を消すとkiki vivi lilyのライブがスタート。「こんばんはー!EPISTROPH SESSIONSへようこそー!最後まで一緒に楽しんでいきましょう!」という彼女の呼びかけで始まったのは「AM0:52」。可憐な歌声と美しいピアノが鳴り響き、そこに甘いサックスの音色が絡み合う。場内を大人の色気が包み込む中、続けて披露された「Blue in Green」では、安藤康平(MELRAW)がフラジオを織り交ぜながらフリージャズのようなサックスソロを響かせた。「Waste no time」のイントロに乗せてkiki vivi lilyは「ブルーノートのワンマンライブでもやったんですけど、今日はライブアレンジバージョンでお届けしたいと思います」と話し、その言葉どおりジャズ要素がふんだんに詰め込まれた演奏が届けられる。曲の中盤「今日はセッションズということで、皆さんも一緒に参加していただきたいんですけど」というkiki vivi lilyの呼びかけで行われた観客との掛け合いは、彼女が指定したカウント数に合わせて手を叩くというもの。「1タイム!」「2タイム!」「3タイム!」「10タイム!」と続き「0タイム!」では無音のブレイクが生まれ、kiki vivi lilyをはじめとしたバンドメンバーたちは、観客の音楽センスの高さに驚愕した。それから間髪入れずに「80デニール」が披露され、冬の夜によく似合う甘い空気で場内を包み、ステージをあとにした。

kiki vivi lily(Photo by 木原隆裕)

続いて登場したのはMELRAW。kiki vivi lilyのクールなステージから一変、歪んだエレキギターが轟き、真っ赤なライトが照らす中で熱いパフォーマンスが始まった。「OBSCURE」で荒々しくも色っぽいサックスの音色を響かせたMELRAWは、立て続けに「With You」を披露。観客の手拍子も演奏の一部となって飲み込まれていき、会場のボルテージはどんどん上昇する。彼は時折のけぞりながら、熱情を込めたサックスを吹き続けた。「The Lights」の冒頭、無伴奏のサックスソロではクラシカルなプレイを届け、音符の細かいフレーズを色気たっぷりに吹き切るMELRAWに観客が釘付けになった。バンドインすると、ピアノソロ、ギターソロ、サックスソロという順にソロ回し。ミドルテンポのビートに乗せて、深いリバーブがかけられたサックスの音が会場中を埋め尽くした。最後にMELRAWは「僕がここに立てているのは、EPISTROPHと、WONKと、皆さんのおかげです!ありがとうございました!」と熱く叫び、観客からは大きな拍手が送られた。

MELRAW(Photo by 木原隆裕)

Phennel Koliander、dhrma、Ballheadの3人による「Table Beats Session」と名付けられたDJセットののちステージに現れたのは、このイベントの主役・WONK。荒田洸(Dr)がビートを刻み、江崎文武(Key)がクールなコードを奏でる中、ステージに登場した長塚健斗(Vo)は「楽しんでいこう、どうぞよろしく!」と観客に呼びかける。1曲目に演奏されたのは「Feelin' You (Y.N.K)」。長塚の太く甘い声で、この日初となる英語詞が客席に届けられた。16ビートが観客の身体を揺らす「ido」では、パトリック・ムーディーがトランペットソロを披露。トランペットのベルにミュートを装着し、マイルス・デイヴィスを彷彿とさせる鋭い音色を遠くまで飛ばす。続く「RdNet」はピアノによるジャジーなイントロからスタート。そこに疾走感のあるドラムのビートが重なり、長塚はハンドマイクで伸びやかな歌声を乗せていく。曲が終盤に向かうにつれてBPMはどんどん上がっていき、高揚感に満たされる中でWONKのステージは終了した。

井上幹(B / WONK)(Photo by 木原隆裕)

荒田洸(Dr / WONK)(Photo by 木原隆裕)

江崎文武(Key / WONK)(Photo by 木原隆裕)

WONKのライブ終了後、イベントはノンストップでセッションタイムに突入。長塚によって呼び込まれたのは、この日最初のゲストミュージシャン・Rei。彼女は「My Name is Rei」と「BLACK BANANA」を続けざまに演奏し、力強いボーカルとアメリカンなギターソロを披露した。大盛り上がりの中、次なるゲストである石川紅奈(soraya)が登場。コントラバスを弾きながら「ひとり」を歌い、曲中でMELRAWが吹くフルートとユニゾンするという貴重な場面も見られた。石川に続いて現れたのは新井和輝(King Gnu)。新井はWONKのメンバーと学生時代から切磋琢磨してきたセッション仲間であり、荒田とは「新年会トリオ」として現在もセッションイベントを開催している。新井は石川のボーカルとともにThe Beatles「Blackbird」を、黒田卓也のトランペットとともにマイルス・デイヴィス「Blue In Green」をカバー。ロック史に残る名曲とジャズ史に残る名曲を、一夜限りのアレンジで披露した。

Rei(Photo by 木原隆裕)

石川紅奈(B / soraya)(Photo by 木原隆裕)

新井和輝(B / King Gnu)(Photo by 木原隆裕)

ホセ・ジェイムズ「Promise In Love」のカバーでは、サングラスをかけた長塚が「ニセ・ジェイムズ」を名乗って会場の笑いを誘い、黒田の華々しいトランペットの音色に乗せて伸びやかに歌った。続いてステージに呼び込まれたマハラージャンは、カラフルで賑やかなライトが場内を照らす中で「貞☆子」をパフォーマンス。「セーラ☆ムン太郎」では切れのあるカッティングと、エリック・クラプトン「Layla」のリフを織り交ぜたギターソロを披露した。演奏が終わるとマハラージャンの「WONK好きですか!」という問いかけに対し、観客は大きな拍手で応える。客席に投げキッスをしながらステージを去ったマハラージャンに替わり登場したのはKIRINJI。大物アーティストの出演に会場から歓声が上がった。KIRINJIは「『あの娘は誰?』とか言わせたい」と「Rainy Runway」というダンサブルな2曲を続けざまに演奏し、観客は手拍子をしながら身体を左右に揺らした。

マハラージャン(Photo by 木原隆裕)

KIRINJI(Photo by 木原隆裕)

全ゲストが出番を終えたタイミングで、長塚が観客に向けて改めて挨拶。「音楽仲間がこんなにたくさんいて、イベントにたくさんのお客さんが来てくれて、ものすごく特別なことだと思うし、ものすごく幸せです。また来年の年末も、その次の年もね、こうして迎えられるように僕らがんばっていこうぜっていう、そんな締め括りの意味で企画しています。EPISTROPHはグッドミュージックを作り続けていると自信を持って言えますので、皆さんどうぞ引き続き、EPISTROPHをよろしくお願いします」と長塚が話すと、場内は温かい拍手に包まれた。この日のフィナーレとして披露されたのはWONKの楽曲「Cyberspace Love」。全出演者がステージ上に再登場し、長尺かつ大迫力の演奏を繰り広げた。長塚が最後に「よいお年を!」と叫ぶと、会場には万雷の拍手が響き渡った。

※江崎文武の「崎」は立つさきが正式表記。
※記事初出時より画像を4枚追加しました。

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