「やっとKing Gnuになれた」King Gnuが初東京ドーム公演で見せたロックバンドとしての貫禄

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King Gnuのとって初のドーム単独公演「King Gnu Live at TOKYO DOME」が、11月19日と20日の2日間にわたり東京・東京ドームにて開催された。

King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」の様子。(撮影:伊藤滉祐)

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東京ドーム公演の開催がアナウンスされた際、「子供の頃に憧れていたドームクラスのロックバンドを作ること」がKing Gnuの結成理由だったと明かしていた常田大希(Vo, G)。有言実行とばかりにメジャーデビューから4年目というスピードで実現した東京ドーム公演のチケットは両日ともに完売し、場内は開演前からすさまじい熱気で満たされた。この記事では20日公演の模様をレポートする。

King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」の様子。(撮影:伊藤滉祐)

廃墟を思わせる舞台セットと巨大なLEDスクリーンからなるステージが観客の目の前に広がり、機械の駆動音のようなSEが静かに流れる中、フッと客電が落ちる。するとスクリーンには行進する軍隊や過去のミュージックビデオのワンシーンをオマージュしたオープニング映像が。そして常田の刻む鋭いギターのカッティングが響き、ライブは「一途」で激しく幕を開けた。のっけからBPMの高いナンバーを叩き込み、ドーム内の熱気を上昇させたメンバーたち。続いて、常田が「King Gnu始めるぜ」と高らかに宣誓したことを合図に「飛行艇」へ。スタジアムで流れることを意識して作られたというこの曲では、総立ちになった観客がメンバーのプレイを後押しするように腕をステージに向かって振り、壮観な景色を描き出した。

常田大希(Vo, G)(撮影:川上智之)

初のドーム公演にふさわしく、前身バンドSrv.Vinci.時代の楽曲も含め、バンドの歴史を総括するようなセットリストを用意したKing Gnu。井口理(Vo, Key)の美しく伸びやかなボーカルが冴える「Sorrows」、新井和輝(B)と勢喜遊(Dr, Sampler)がスリリングなグルーヴを生み出す「千両役者」と、スピード感のあるナンバーを息をもつかせぬ勢いで叩き込む一方、「BOY」では朗らかなサウンドで会場を包むなど起伏のある展開で観客を翻弄する。4人は1曲入魂とばかりに気迫のこもったプレイを繰り広げつつも、序盤から笑みを浮かべ、カメラに目線を送ったりとライブを存分に楽しんでいる模様。井口がMCで「やっぱとんでもない人ですね。全員King Gnuが好きなんですよね」と広い会場をぐるりと見渡すと、常田を筆頭にほかのメンバーも「俺も好き」と口々に告白し、ほのぼのとした雰囲気が漂った。

常田大希(Vo, G)(撮影:川上智之)

井口理(Vo, Key)(撮影:川上智之)

美しい照明が印象的だった「カメレオン」「Hitman」というミディアムナンバー2曲を経て、「The hole」が始まると、場内は張り詰めたムードに。ピアノの前に座った常田は憂いを帯びた旋律を奏で、それに乗せて井口は狂おしい感情を切々と歌い上げる。「It's a small world」でチャーミングな音色を聴かせた4人だったが、「白日」で表情を一変。スクリーンにはスポットライトを浴びる井口を皮切りに、メンバーの姿がモノクロで映し出され、オーディエンスの視線を釘付けにする。ライブやテレビなどで何度となく演奏してきたこの曲を、King Gnuはドームに合う演出を交え、新鮮な形で披露した。

新井和輝(B)(撮影:川上智之)

勢喜遊(Dr, Sampler)(撮影:伊藤滉祐)

King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」の様子。(撮影:伊藤滉祐)

晴れやかな空気をもたらした「雨燦々」をもってライブは後半戦へ。幕間には「Slumberland」のMVに登場したかわいらしくもどこかシュールなキャラクターたちが出演する映像が上映され、次の曲への布石を打つ。そこから勢喜のドラムソロを口火になだれ込んだのは、ライブの定番曲「Slumberland」だ。常田はスモークで覆われたステージの上を「Open your eyes, open eyes wide」と拡声器を手にアジテートし、会場の熱狂を加速させた。ダイナミックなバンドサウンドを聴かせる「どろん」、ギターと歌というミニマムな編成で観客を魅せる「破裂」、そこからシームレスにつながる「Prayer X」とジェットコースター的な流れでクライマックスに向けて突き進んだ4人。「まだいける? もっと踊れるかい? 楽しもうよ」という井口の言葉で始まった「Vinyl」では艶やかな世界観を紡ぎ、「Flash!!!」では火花を散らすような、一触即発のパフォーマンスでオーディエンスを魅了する。柔らかく幻想的なライティングが際立った「逆夢」に続き、本編のラストを飾ったのは最新曲であり、NHKサッカーのテーマソングとして作られた「Stardom」。鼓動を思わせる躍動感のあるビートを軸に、ダイナミックなアンサンブルが高らかにドームに響き渡る。激しく立ち上る炎を前に、4人はアスリートたちに捧げた1曲を自らをも鼓舞するようにエネルギッシュにプレイ。そこに観客の拍手と勇壮な歌声が加わり、新たなアンセムが誕生したことを物語っていた。

King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」の様子。(撮影:川上智之)

観客がスマートフォンのライトを灯す中、ステージに戻ってきたメンバーたち。井口は熱烈な歓迎を前に、「ああ、うれしいわ」と噛み締めるように口にすると、前身バンドSrv.VinciからKing Gnuに改名した際のエピソードを語り始めた。彼が「大希がKing Gnuというバンド名を出してきて。ヌーの王様ってことで。この東京ドームでのお客さんを目の前にして、やっとKing Gnuになれたんじゃないかと」と胸を張ると、新井が「(King Gnuは)会社の人に画数が悪いと言われたんだよね」と笑った。この言葉に井口は「占い関係ねえ!」と一蹴し、「仲よく、真面目にやってきてよかったなと、この光景を見て思いました」「ずっとガキのまんまというか、変わらずやっていくと思うので。今後も等身大でやっていくので、よかったらついてきてください」とメンバーを代表してファンに呼びかけた。

King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」の様子。(撮影:伊藤滉祐)

アンコールを飾ったのは、いずれもインディーズ時代から披露されてきたナンバー。「McDonald Romance」では常田の奏でるギターに乗せて、4人は息ぴったりのハーモニーを紡ぎ、「Teenager Forever」では常田、井口、新井が肩を寄せ合い「煌めきを探せよ!」と叫ぶ。しかし一転して、「Tokyo Rendez-Vous」ではノイズ混じりの爆音で5万人を圧倒。ライブハウスを根城にしていた頃から曲の振り幅の広さでリスナーを魅了していたことを証明すると同時に、過去の曲をドームクラスのアレンジにアップデートする度量の大きさを見せていた。ちなみに終盤で常田が「小さいライブハウスでやってた曲を、(東京ドームで)そのまんまできてるのがありがたいよね」とうれしそうにつぶやくと、勢喜が「(スケールの)デカい曲が多いんだよ」と返す場面もあった。2時間におよんだ公演のラストに選ばれたのは「サマーレイン・ダイバー」。これまでのライブでも最後に披露されることの多かったこの曲を、メンバーは1音1音を噛み締めるようにパフォーマンスする。彼らの目の前には観客が作り出した星空のような美しい光景が広がり、バンドの明るい未来を照らしていく。スクリーンにはスタッフロールが流れ出し、映画のエンディングのようにライブをクライマックスへと導いた。

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King Gnu「King Gnu Live at TOKYO DOME」2022年11月20日 東京ドーム公演セットリスト

01. 一途
02. 飛行艇
03. Sorrows
04. 千両役者
05. BOY
06. カメレオン
07. Hitman
08. The hole
09. NIGHT POOL
10. It's a small world
11. 白日
12. 雨燦々
13. Slumberland
14. どろん
15. 破裂
16. Prayer X
17. Vinyl
18. Flash!!!
19. 逆夢
20. Stardom
<アンコール>
21. McDonald Romance
22. Teenager Forever
23. Tokyo Rendez-Vous
24. サマーレイン・ダイバー

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NANTE JAPAN @NanteJapan

Read the live report for the first King Gnu Tokyo Dome performance here, through Natalie!

【ライブレポート】「やっとKing Gnuになれた」King Gnuが初東京ドーム公演で見せたロックバンドとしての貫禄(写真19枚) https://t.co/R44nCd2Y38

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