スパゴー、ユニ、真心ら“倶知安じゃない”新木場で熱狂ライブ

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SPARKS GOGO主催のライブイベント「SHINKIBA JUNCTION 2009 “また倶知安じゃないジャン!”」が9月21日に新木場STUDIO COASTで開催。スパゴーのほかユニコーン真心ブラザーズTRICERATOPS、detroit7、ザ・ビートモーターズが出演し、イベントを大いに盛り上げた。

イベントホストのSPARKS GOGO。最強のロックンロールでトリを堂々と務めあげた。

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今年で5回目となるこのイベント。2005年から2007年はスパゴーの地元・北海道倶知安町で、2008年は横浜BLITZで行われ、今年も“倶知安じゃない”新木場での開催となった。

開演時間の16時になると、フロアの照明が暗転。観客から歓声が沸き起こる中、スクリーンに映し出されたのは歴代のイベントの様子。初回の2005年には盛り上がりすぎて開始2曲目15分で会場の床が抜けてしまったという伝説のシーンも交えつつ、この4年間のイベントを総括する映像にオーディエンスは早くも熱狂する。そして今年のロゴが表示されたところで、所属事務所・Sony Music Artistsの元マネージャー銀ちゃんが姿を見せ、前説を担当。さらにスパゴーの3人が開会の挨拶をするためにステージに呼び込まれた。

まずはたちばな哲也(Dr)がマイクをとり、この日の出演アーティストを紹介。続いてメンバーに一言しゃべるよう促すと、橘あつや(G)が「こんにちは! 感動です! すごい人です! こんなに大勢の人ひさしぶりに見ました(笑)」となごみトークを披露する。続いて八熊慎一(Vo, B)が室内での開催にもかかわらず「いい天気になりました! 雲ひとつない! 羊蹄山も見えるぞ!」とコメントすると、観客から爆笑が巻き起こり、アットホームな雰囲気に包まれた。

ユニコーン

「それでは!『SHINKIBA JUNCTION 2009 “また倶知安じゃないジャン!”』スタートします!」とテッチがオープニングを告げると同時に、まずトップバッター・ユニコーンのステージが開始。今年の夏フェスシーズンで使われてきたオープニングSEも季節にあわせてマイナーバージョンアップしており、蝉の代わりに鈴虫の鳴き声が混ざる音色に。続いて川西幸一(Dr)を筆頭にメンバーが登場すると、歓声とともに超満員のフロアが波打つように右へ左へとうごめく。

そしてまず演奏されたのは、各地の夏フェスでも必ず披露されてきた「ひまわり」。さらに手島いさむ(G)が「服部」のイントロをかき鳴らすと、オーディエンスは諸手を上げて喜ぶ。奥田民生(Vo, G)が後半の歌詞を「男の憧れ 憂いのダーティ・フォーティ」に変えて歌うとフロアからも大合唱が起こるなど、開始10分にして観客は興奮状態に。

「服部」が終わると民生を始めメンバー全員がダブルピースを掲げ、フロアもそれにならう。各地で繰り広げられてきたピースフルな光景がSTUDIO COASTを埋めつくすと、MCで民生が「こんばんはユニコーンです! 今日はたくさんお越しいただき真にありがとうございます。このイベントはすっかり倶知安以外でやることが普通になってしまったのですね。来年こそは?」と話し、EBI(B)に水を向けると「倶知安に行くぞー!」と反応が返る。さらにテッシー、川西にも同様に話を振ったが「だんだん盛り下がってきたな」と苦笑まじりにコメント。「えー、では、最後までちゃんとメイクをキープしてください(笑)」と口にし、オーディエンスの笑いを取っていた。

MC後の演奏はテッシーがボーカルをとる「オッサンマーチ」からスタート。この日もアウトロではライトハンド奏法が冴え渡る。EBIボーカルの「BLACK TIGER」では犬声で「ワン! ワン!」と叫ぶのが少し早かったり、自分の定位置に戻る際にモニタースピーカーにつまづいて「キャッ!」と声を上げたりするなど、ゆるふわキャラクターが全開に。会場に漂うくすくす笑いを収めるために、続くシリアスなナンバー「R&R IS NO DEAD」では阿部義晴(Key)がイントロを少し長めに弾くといった工夫も見られた。

そして阿部の伸びやかな歌声と民生が奏でるギターのディレイ音の余韻が漂う中、今度は阿部がギターに持ち替えて民生とカウントアップし「すばらしい日々」を披露。長いツアーと夏フェスを経て、より練り上げられた盤石の演奏がフロアを包み込む。さらに立て続けに「WAO!」へとなだれ込み、民生と阿部がもはやお馴染みとなったカウベルを巡る“寸劇”を繰り広げようとすると、そこに背中に「T」の文字が入った青いつなぎの人物が乱入。スペシャルゲストとしてスパゴーのテッチが参戦し、川西とツインドラムでアッパーチューンを盛り上げた。

そして「ヒゲとボイン」「HELLO」と名曲を惜しみなく演奏。ベテランらしい貫禄と熱いパフォーマンスで、トップバッターとしての役割を大いに果たした。

ザ・ビートモーターズ

今回のイベントでは、STUDIO COAST内に設置されたメインステージのほか、入口横のスペースにテントステージを準備。メインと交互に進行する、なんとも豪華なタイムテーブルとなった。そのテントステージにまず登場したのはザ・ビートモーターズ。「愛をさがして」「恋するふたり」など、7月リリースのアルバム「気楽にやろうぜ」収録曲を中心に計5曲を熱演。秋葉正志(Vo, G)のブルージーで勢いのある歌声と、木村哲朗(G)、ジョニー柳川(B)、鹿野隆広(Dr)が紡ぎだすパワフルな演奏に、観客からはあたたかい拍手が沸いていた。

真心ブラザーズ

続いてメインステージでは真心ブラザーズが姿を見せる。YO-KINGが開口一番「昨日から桜井のことはミスターと呼ぶことになりました! 事情を知らない人も『ミスター』と呼んでください!」と言うと、桜井秀俊が「どうも、真心ブラザーズのミスターです!」と受ける。そして「ミスターのくせにラブソングを書くのが大好きで、95年に書いたこの曲を聴いてください」と「サマーヌード」をアコースティックバージョンで演奏。YO-KINGのハスキーな声と桜井のぬくもりあるギターが絡むサウンドに、会場にはゆったりとした空気が流れる。

続いてデビュー曲「うみ」を披露しようとするが、YO-KINGがカウントなしで曲に入ろうとしてタイミングがあわずグダグダに。桜井に「とんだご長寿バンドだ!」と揶揄されると「事務所もレコード会社も持て余してるっていうね(笑)」と自虐コメントを返す。この日も真心はトークを含め絶好調だ。

3曲目として最新ミニアルバム収録の「風を浴びて君想う」を演奏した後、YO-KINGが「それではここでスペシャルゲストを! 倶知安出身のギターの兄貴を!」とスパゴーの“お兄ちゃん”・あつやを招き入れる。そして「これからやるのは5年前の倶知安でやろうとしてた曲なんだけど、諸事情により泣く泣くカットした曲」とエピソードを語り、問題作「STONE」を披露。YO-KINGとあつやが衝撃的なサビを一緒に歌う姿に会場中が一体となって両手を振り上げ応える、なんともシュールな絵が繰り広げられる。さらに途中でYO-KINGが「ドラクエでもやろう」「新木場っていいな! 倶知安もいいな!」と歌詞を替え歌ったかと思えば、「あっ、歌詞忘れちゃった」と言ってのけた。それに対し「歌の途中で『歌詞忘れちゃった』って言ってる人初めて見たよ!(笑)」と突っ込むことを忘れない桜井。

続いて鳴らされた「どか~ん」では、桜井がずっとライトハンドでギターを弾き倒す。「今年再結成したユニコーンの、もっとも目を離せないテッシー兄さんにあやかって、1曲通してライトハンドで弾いてみました!」とその意図を説明すると、観客から爆笑が起きていた。そして「Son of the Sun」「空にまいあがれ」「拝啓、ジョン・レノン」とライブの定番曲を連発。フロアを大いに沸かせ、ステージをあとにした。

倶知安乃風

次にテントステージに登場したのは、スペシャルユニット・倶知安乃風。頭にタオルを巻きパーカーを羽織ったイモ旦那、きび旦那、水旦那、ニュー旦那の4人がパフォーマンスする、どこかで聴いたことのあるトラックの数々に、人が押し掛けぎゅうぎゅうの会場からは何度も大笑いが巻き起こった。

TRICERATOPS

続いてメインステージではTRICERATOPSの演奏が開始。ギターのフィードバック音が鳴る中、和田唱(Vo, G)が叫ぶ「こんばんはー! 新木場ー! Are You Ready!!」の声と共に、挨拶代わりの1曲「Two Chairs」を披露。さらに「FEVER」をかき鳴らし、あっという間に会場の空気を自分たちのものにする。

そしてMCでは「割と最近デビューしたTRICERATOPSです」「この素晴らしいイベントに誘ってくれたスパゴー兄さんに感謝させてください! あ、でも、このイベントに出てるバンドで僕らだけ事務所がSMAじゃないんだよね。さっき裏のプールのところで記念写真を撮ったんだけど、1枚撮ったら『次SMAだけで撮るんで、トライセラさんどいてくださいー』って言われちゃって! なんだよー、いいなーSMA!」と笑いを取ることも忘れない。

MC後にはニューシングルのタイトルチューン「I GO WILD」、林幸治(B)&吉田佳史(Dr)のコーラスも冴える珠玉のバラード「GOTHIC RING」を演奏。さらに「次はちょっとスペシャルな曲をやりたいと思います。この曲はあるバンドの存在なしには生まれなかったの。だからある人と一緒にやりたいと思います。倶知安が生んだスーパーヒーロー、八熊さん!」とスパゴーのヤックを呼び込む。ヤックはそれに対し「スーパーヒーローじゃないけどね(笑)」と照れ笑い。そして和田がSPARKS GOGOのアルバム「Good Fellas」に提供した「ハートのショップ」を4人編成で披露した。このとき「八熊さんとかぶっちゃうので」という理由で、林は急遽楽器をギターに持ち替え。このイベントならではのコラボレーションに、ファンから歓声が上がった。

再びメンバー3人に戻ったステージ終盤では、「まだまだ行くぜ!」という雄叫びに続き、「Raspberry」「FUTURE FOLDER」と踊れるナンバーを叩き付けるように披露。計7曲を演奏しおえ、3人で仲良く肩を組んで深々とお辞儀する姿に、フロアからは惜しみないコールが注がれていた。

detroit7

テントステージ最後のラインアップとなったのはdetroit7。この日は「COLD HEAT」など、最新アルバム「BLACK & WHITE」収録曲を中心に計5曲を演奏。菜花知美(Vo, G)、古田島伸明(B)、山口美代子(Dr)の3ピースが奏でるグラマラスなギターロックに誰もが衝撃を受け、拳を振り上げ応えていた。

SPARKS GOGO

いよいよイベントの大トリ・SPARKS GOGOがメインステージに登場する時間となった。ざわつく超満員のフロアに、ヤックの口笛が印象的な「南極料理人のテーマ」が流されると、観客が一斉に前に押し掛ける。そしてまず観客にプレゼントされたのは「SAD JUNGLE」。続けてサポートメンバーの神本宗幸(Key)が鳴らすキーボードのフレーズが心地良い「Roll Over The Mountain」、サビで合唱が起きる「Sookie Sookie」とライブの定番曲をたたみかけるように披露し、観客の熱を一気に上昇させる。

初めのMCではヤックが「イエーイ! ようこそいらっしゃいました、SPARKS GOGOです! 5回目なんです! 恒例となりました。なぜか今年は新木場ですが、素晴らしい出演者! 優秀なスタッフ! そして何より、オレ!(笑) いやいやこうやって集まってくれるお客様!」と一気にまくしたてる。「こんなにステージ上でイモだアスパラだ倶知安だって叫ぶイベント、ほかにないよ! しかも来年倶知安に行くこと決まってるからね勝手に!」とうれしそうにゲストバンドのステージで語られたことを振り返る。話がゲストに及んだところで、彼らのステージにも豪華ゲストを呼び込んだ。

1人目として姿を見せたのは、detroit7の菜花。ステージ上では素足で通す彼女に対し、ヤックが「よく素足でエフェクター踏めるよね!」と絡むとオーディエンスから笑いが起きる。そして、あつやの弾くうねるギターが耳に残る情熱的な曲「恋をしましょう」をツインボーカルで熱唱。菜花のハスキーな歌声とヤックの渋い歌声のコントラストが楽しめるうれしいコラボレーションとなった。

2人目にはユニコーンの阿部がMacBook Proを小脇に抱えて登場。「それでは次の挑戦者です! アベドンです! ご近所です! 忙しいんですこの人! 遊んでくれないんです!」と妙な紹介を口にするヤックを尻目に、阿部は持ち込んだMacBook Proを淡々とセットし、特徴的なエフェクト音を鳴らす。そう、ABEX GO GOの「おせわになりました」だ。皮肉交じりのアッパーチューンに会場は大盛り上がり。

さらに3人目として同じくユニコーンの民生がひょっこり登場。頭に白いタオルを巻き、足にはビーチサンダルを履いた格好でタオルをぐるぐるまわしてみせる姿に、ヤックから「まだ引きずっています! 倶知安乃風を引きずっています!」と笑われる。おまけに演奏曲「マルホランド・ドライブマーケット」の歌詞が足元に用意されておらず、「『恋をしましょう』しかないよ! 俺これ歌うよ!」と文句を言う民生。ヤックも「俺だってなくなっちゃうとわかんなくなっちゃうもん」とグダグダなやりとりを繰り広げる。そこに舞台監督のJメンがささっと歌詞を持って現れ、会場から喝采を浴びたが、受け取った歌詞を見て「小っさ!」と反射的に言うヤック。それに民生が「小さくてもだいじょうぶ、遠いのは見えるんです(笑)」と返して笑いが起きると、やっと4人でTHE BAND HAS NO NAMEの名曲を演奏した。

軽妙な掛け合いが行われたゲストコーナーの終わりを「オーディション終了!(笑)」とヤックが表現し、ここからはSPARKS GOGOに戻ってプレイを再開。「これからは僕たちだけなので、ひさびさな曲を」と言って鳴らし始めたのは1992年リリースのシングル「ルーシーはムーンフェイス」。続けてスウィングするベースラインの「夜が笑ってる」、投げやりにも聞こえる歌詞が楽しい「ざまーない!」、重いギターリフの「SLOW DOWN」とキラーチューンを連発し、フロアを熱狂の渦に巻き込む。最後にヤックが「行くぞー! 新木場! 最後だぞ!」とシャウトして「鉛の朝」を演奏。観客が熱心にステージをみつめながら合唱する声とともに、本編の幕が閉じた。

ところがファンはまだまだ聴き足りないとばかりに、すぐさまアンコールを要求。途切れることなく続く拍手に応えるべく短いインターバルでスパゴーの面々が登場すると、わぁっと歓声が上がる。メンバーを代表してヤックが「ありがとうございます! 5回目でしたが無事に終われそうですね。来てくださった方、ありがとうございました」とお礼を述べ、12月に開催するツアーについて言及した。さらに「首が折れるまで首振って帰ってください!」と煽り、ラストの曲「Something Wild」を力強く演奏。SPARKS GOGOとその仲間たち、そして参加したオーディエンスが目一杯楽しんだ約5時間半のお祭りは、幸福な空気に包まれて終わりを迎えた。

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