目指せ!フィ女子の道 第2回 [バックナンバー]

“腹筋アイドル”虹のコンキスタドール隈本茉莉奈が次に求めるもの

「お腹以外にも筋肉を付けたい」

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本連載「目指せ!フィ女子の道」では筋肉に自信を持っているアイドルや、体作りの悩みを抱えているアイドルなど毎回1人のゲストがパーソナルジムの六本木ボディプラント・ラボを訪問。同ジムの代表であり、ももいろクローバーZ、アップアップガールズ(仮)をはじめとするアイドルや数多くのアスリートの指導実績を持つ肉体改造のスペシャリスト・足立光先生が、フィジカルに関する悩みに応えつつオススメのトレーニングを伝授し、フィットネス女子=“フィ女子”の道へ導きます。

第2回のゲストは、筋トレを趣味としている虹のコンキスタドールの隈本茉莉奈さん。見事に腹筋が割れているその肉体はすでに仕上がっているように見えますが、現在抱えているフィジカルの悩みや課題を足立先生にぶつけたのち、それに合わせたエクササイズを体験してもらいました。なお、音楽ナタリーのTikTok公式アカウントではエクササイズの様子の一部を切り取った動画を公開中です。

取材・/ 近藤隼人 撮影 / はぎひさこ

隈本茉莉奈 フィジカルアンケート

体作りを始めたきっかけ

私は2016年に虹コンの予科生になったんですけど、当時は全然鍛えてなくて。体を動かすことと言えばライブやレッスンだけで、自分の体に対して無頓着というか、そこに関しては何も考えずにアイドル活動をやっていました。でも、虹コンって夏になると毎年必ずミュージックビデオで水着を着るんですよ。撮影中に周りのメンバーと自分を比べたり、映像で自分の体を見る機会が増えていって、「あ、ヤバいかも……」と気にし始めたんです。コロナ禍になり、イベントが少なくなった時期に「この時間を使って、ちょっと体を絞ってみようかな」と思い立ったのが体作りを始めたきっかけですね。衣装や水着を着たときに目立つお腹を鍛えるようって。最初の頃は「腹筋ってなんだ…‥?」くらいの無頓着さだったので(笑)、まずはいろいろと調べるところから始めました。

隈本茉莉奈さん

日々心がけていること

最近は朝起きたあとに腹筋して体を動かして、プロテインを飲んで仕事に行っています。朝の時間にトレーニングができないときは、夜寝る前にやっていて。メニューは少ないながらも筋トレを毎日継続すること、習慣が途切れないようにすることを自分の中で大事にしています。そんな感じで筋トレをやり始めて半年くらい経ったときに、メンバーから「あれ、ちょっと変わった?」と言われるようになりました。前はどちらかと言うとぽっちゃりしていたし、「痩せた?」って。正直、自分でも続かないと思っていたんですけど、意外と筋トレが向いてたんですよね。目に見えて効果が出てくると楽しくて。腹筋に線が出るようになったのは、筋トレを始めて1年くらい経った頃だと思います。自分では気が付かなかったんですけど、ファンの方から「軸が強くなったね。体がずっとまっすぐだよ」と言われたこともありました。「トライアングル・ドリーマー」の片足で踊るところも姿勢がよくなったみたいで、パフォーマンスにも筋トレが影響するんだなと実感しています。

鍛え上げた腹筋を見せる隈本茉莉奈さん。

食事に関しては、最初は炭水化物を減らしたりしていました。とにかくぽっちゃりした体を絞りたくて、ごはんを減らして運動すればいいんだと思ったんです。でも、それって体力も落ちちゃうしダメだなと途中で気付いて。虹コンが全農の“食の応援団”をやらせていただいていることもあり、食事って大事だなと感じて、自分なりにいろいろと調べたんですよ。それでスポーツフードスペシャリストという資格を取得しました。スポーツをやっている方がオフの期間や大会前にどういう食事をしたほうがいいのか、そういった知識を得るための資格なんですけど、アイドルってステージ上でめちゃくちゃ動くし、いわばスポーツみたいなものだなと思ったんです。今はライブやレッスンの前は必ずお米などの炭水化物を摂るようにしているし、ライブの日は必ずコスメポーチの中に羊羹かチョコレートを入れて糖分を摂取しています(笑)。

理想のボディと現在の悩み

ただ、資格を取って知識を持っていても、それを自分自身に生かすところまではまだできていないなと感じていて。体を鍛え始めてから自分で調べたことしか実践していないし、人に教わる機会がほとんどないまま今に至るんです。自分に足りないものがなんなのか、次は何を気にしたらいいのかわからないのが今の悩みですね。衣装の関係でどうしてもお腹ばっかり気にしちゃうんですけど、ほかの場所はどうしたらいいのかなって。腹筋以外にも筋肉を付けていきたいんです。あと、今24歳なんですけど、年下のメンバーと一緒にライブをやっているうちに、だんだんと自分の体力も気になるようになりました。外側の筋肉を付けるだけじゃなく、体力をちゃんと維持できるような体作りをしていきたいと考えています。

隈本茉莉奈さん

足立光先生によるお悩み相談

親からの遺伝が一番表れるのは

隈本  (足立先生を前に)緊張しちゃう……!

足立 隈本さんは腹筋を鍛えているアイドルとしてすでに有名ですよね。 ネットで調べると腹筋がすごいアイドルとして写真が出てくるし、隈本さんの名前もよくお聞きします。

隈本 えっ、本当ですか? うれしい!

足立 腹筋を中心に鍛えてるということですが、まっすぐ立ったときに足のかかと側と指先側、重心がどっちにあるか自分でわかります?

隈本 えー、どっちだろう……。(実際に直立しながら)かかと側ですかね。

足立 人間って立っているときも座っているときも、常に地球の重力に逆らいながら重心を取っているんですよ。重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉を抗重力筋と言うんですけど、それは下半身だけでなく、首や胸筋、お尻や背筋、腹筋のことも指すんです。今見た感じだと、腹筋が鍛えられているのに対して、背筋が少し弱いようですね。

隈本 確かに……! 背中は全然トレーニングしてないです。

足立 もうちょっと背筋を強化したほうが、体のバランスがよくなると思います。虹コンさんは振付がかなり激しいタイプですか?

隈本 けっこう激しく動くほうだと思います。

足立 それなら、脚力ももう少し付けたほうがいいかもしれません。パフォーマンスを上げるための脚力は必要だと思います。それと、体脂肪率が一桁台の9%とお聞きしたんですけど、見た目において女性の理想的な体脂肪率って18~23%くらいだと言われています。トップモデルの人も12~15%くらいはある。体脂肪率が低いのはもともとなんですか?

隈本 いや、体を気にし始めて、鍛えるようになってからですね。それまではぽっちゃりめで、体脂肪率については気にしてなくて計ってさえいなかったです。体を引き締めようとし始めた時期は、毎日体重や体脂肪率を測っていたんですけど、それを気にしすぎるのもよくないと思って、最近は気になるとき、2週間ぐらいに1回測る程度です。

足立 そのほうがいいですね。数字を気にしすぎるのはよくないので。

足立光先生(右)の話に真剣に耳を傾ける隈本茉莉奈さん(左)。

隈本 体を引き締めたり、痩せることが楽しくなっていたときは、めっちゃ気にしていて。朝起きたらすぐ測る感じで、それを続けてると本当にどんどん痩せちゃうんですよ。

足立 たぶん、太りにくい家系なんだと思いますよ。ご自身のふくらはぎ、お父さんとお母さんのどっちのふくらはぎと似ています?

隈本 ふくらはぎ!? ふくらはぎはちょっとわかんないですけど、よくパパ似って言われます。

足立 お父さんの体型は?

隈本 普通の体型ですけど、お父さんも痩せようとしたらめちゃめちゃ痩せます。

足立 なるほど。実はふくらはぎって、親からの遺伝が一番表れやすいんです。

隈本 へー!

足立 筋肉も顔と同じように「あの人と同じようになりたい」と願っても、なれるものではないんです。なので、ふくらはぎに付いてる筋肉を長くしたり、短くしたりすることもできない。足首まで筋肉が付いている人が、足首を細くしようと思っても難しいんです。隈本さんのふくらはぎは筋肉と腱のバランスがいいですね。中距離走に向いてるかもしれません。

隈本 筋肉の形によって向いている運動があって、しかもそれはもともと遺伝で決まっているんですね。

足立 ほぼそうなりますね。

隈本 知らなかったです! 今度、お父さんのふくらはぎ確認してみます(笑)。

血糖のコントロールこそが勝利への近道

足立 隈本さんはもともと体重が軽いほうだと思うんです。骨が細いので。手首とか特に細いですよね。この連載の第1回でもお話ししたんですけど、体重にはとらわれないほうがいい。でも、隈本さんの場合はもうちょっとバランスよく脂肪を付けてもいいかもしれないですね。太るという意味ではなく、もう少し脂肪を付ける。そうするとライブで体力が持つようになると思います。

隈本 今よりももっと痩せていたときがあって、そのときはちょっと大変でした。運動や筋トレ、食事制限を実践するとすぐに効果が出るから楽しくなってきちゃって、今以上に激しめにやってたんです。

足立 そのときはどんなものを食べてました?

隈本 プロテインがいっぱい入っているヨーグルトとか、冷凍のフルーツですね。お腹が空いたときに食べてました。

隈本茉莉奈さん

足立 冷たいものを食べたいときって胃腸が疲れてることが多いんですよ。朝起きて急に冷たいものを食べたりすると血行が悪くなるし、胃腸の働きも悪くなるので、本当は常温のほうがいいです。トレーニングの前後や寝る前にタンパク質を摂るのがオススメです。それと、隈本さんはフードスペシャリストの資格を持っていて、ライブ前に糖質を摂るようにしているとのことですが、それはすごくいいことなんですよ。

隈本 よかった!

足立 糖質で消化しやすいものなら食べて10分くらいで血液に浸透するので、アップアップガールズ(仮)のライブに帯同するときはチョコレートや飴玉をメンバーに食べさせていました。ライブの1部と2部の間とか、着替えのために一度ステージからはけてくるときなど。その時間がないときは、MC中にジュースで糖質を摂ってもらっています。なぜ糖質を摂るかと言うと、体を動かすために最初に使われるエネルギーは血液中の糖質で、車のガソリンと同じようなもの。それが不足すると脂肪だけでなく、筋肉やカルシウムも犠牲になるからです。ただ、タイミングを間違えるとインスリンが分泌されて眠くなるし、太りやすくなってしまうので、ライブの直前に摂取したほうがいいですね。

隈本 へー! 学校の昼休みにお弁当を食べると、そのあとの授業で眠くなる現象と同じですね(笑)。逆に直前には食べていいんですね。

足立 血糖値が上がりたてのときに体を動かすと、エネルギーとして使われるのでインスリンが分泌されにくくなります。血糖と運動はすごく密接な関係にあって、競技ではアスリートの血糖のコントロールこそが勝利への近道なんですよ。もっと詳しく言うと、内蔵や血管を動かしている自律神経には交感神経と副交感神経があるんですけど、副交感神経が優位になっているときは眠くなってくる。逆に交感神経が優位になると血圧や心拍数、体温が上がって活発になり、運動に適してくる。ライブに関しても、交感神経を優位にさせたほうがいいパフォーマンスができるんです。

隈本 ライブが長時間になると、たまにふらっとすることがあって。

足立 それは体力が足りなくてふらつくのか、それとも意識が抜けるような感覚なのか、どっちですか?

隈本 意識がふわっとする感じです。

足立 それは糖エネルギーが足りてない状態か、酸欠かもしれないですね。

隈本 アンコールでステージに出る前は、楽屋に置いてあるチョコレートを食べるようにはしています。

足立 一番適しているのはゼリー飲料のような半流動食です。ライブの途中にゼリー飲料をひと絞り飲むだけでもかなり違うと思いますよ。

知らなかった筋肉の種類

隈本 私は今24歳なんですけど、「体力がだんだん落ち始めてきたかも……?」と感じることが最近あるんですよ。体の内側の筋肉を付けるというか、体力を維持しやすくするには、先ほどおっしゃっていたように今よりももっと食事を取って脂肪を付けたほうがいいってことですよね。

足立 でも、無理して太ったほうがいいということではないので、そこは間違えないでください。脂肪って非常時のエネルギーなんですよ。

隈本 ライブ中に「今日ごはん足りなかったかも」と思うことがたまにあって……(笑)。さっきお話しした通り、ちゃんとごはんを食べるように意識したり、ライブの合間に糖分を摂ったりはしてるんですけど……。

足立 それはライブが後半になるにつれて、パフォーマンスが落ちるのが自分でわかる感じですか?

隈本 そうですね。

足立 筋肉が小さいとグリコーゲンを蓄えられないんですよ。瞬発的に動くのは筋肉中のグリコーゲン、糖の力。そして筋肉って大まかに分けると、2種類あるんです。赤い筋肉と白い筋肉(※筋持久力で使う中間の桃色筋肉を入れると3種類)。

隈本 赤と白……!

足立 例えば、マグロの刺身って何色ですか。

隈本 赤です。

足立 色が赤いのはミオグロビンやヘモグロビンが含まれているのが理由で、それらがあることによって血液から酸素を運んでエネルギーを作り出すことができます。つまり、酸素でエネルギーを作り出せる筋肉が、赤い筋肉なんです。逆にカレイの刺し身や、鶏筋の肉は何色ですか?

隈本 白っぽいです。

足立 白い筋肉は血液が通ってないので、酸素からエネルギーを摂るのではなく、筋肉の中に糖質、つまりグリコーゲンを蓄えます。筋肉はグリコーゲンを使って動かすものだから、白い筋肉があると強い力を発揮できるんです。ただ、爆発的に力を出せるものの、貯蔵能力に限界があるので、すぐエネルギーが固渇してしまう。逆に赤い筋肉は力が小さいながらも、酸素を吸っている限りは半継続的に活動できる。人間はその両方の筋肉を持っているんですね。マラソンでは赤い筋肉が必要になるのに対し、瞬発的に力を出すとき、例えば走り幅跳びなどでは白い筋肉を使う。そして筋肉中に蓄えているグリコーゲンが消費されると体が疲れてきちゃうんです。それはライブでも同じです。

隈本 なるほど。蓄える糖の量を増やしたほうがいいってことですね。

足立 はい。もうちょっと蓄えたほうがいいと思います。マラソンなどで使う赤い筋肉は、どちらかと言うと動作が小さい、エネルギーが少ない動きを継続するのに向いてるんです。つまり有酸素運動では、赤い筋肉を使うということですね。一方、酸素を使わない無酸素運動、例えば短い時間に体を瞬発的に動かしたりするのは白い筋肉です。ちなみにお菓子のメーカーのグリコは、グリコーゲンが名前の由来なんですよ。

隈本 え、そうなんだ!

足立 体力がなくなってきたと感じるのは、筋肉中のグリコーゲンが少ないからかもしれません。普段からジョギングとかはあまりやってないですか?

隈本 やってないですねー。コロナ禍の中で体力を維持しようと思って、一時期走ってたことはありますけど。

足立 走りを持続する力も重要で。心肺機能、呼吸で二酸化炭素と酸素を交換するガス交換機能ですね。つまり、効率よく酸素を肺に送る機能。筋トレばっかりだとスタミナがなくなっちゃうので、走ることも重要だと思います。ジョギング、もしくはウォーキング程度でもいいのでやったほうがいいですね。

隈本 走るのやめちゃってたので、再開します!

足立 あとは先ほども言った通り、隈本さんは下半身や背筋をもう少し鍛えたほうがいいですね。のちほどヒップリフトなどのトレーニングをお教えします。普段、ジムには行ってないんですか?

隈本 24時間やってるジムに登録はしているんですけど、誰かに教わりながらトレーニングしたことはないです。衣装でお腹が見えるからという理由で腹筋ばかり鍛えてたんですけど、脚のどこに筋肉を付けたらいいかわからなくて。

足立 今見る限り足りないのは、太ももの前面の筋肉、四頭筋ですね。

隈本 へー! 前なんですね。

足立 ここの筋力が不足すると、動作を止める力がなくなっちゃうんですよ。例えば、走っていてストップするときに使うのも大腿四頭筋。地面を蹴るための筋肉はその裏側の大腿二頭筋で、隈本さんはこうして見るとその二頭筋はまあまああるみたいですが、四頭筋、膝周りの筋肉はなさそうなので、付けたほうがいいかもしれないですね。そのほうがダンスにキレが出てくると思います。ジャンプするときは二頭筋やふくらはぎ、お尻の筋肉を使うんですけど、そのあとスパッと止まるのにも四頭筋が必要なので。女性は脚の太さを気にする方が多くて、細ければ細いほどいいと考えている人もいますが、ライブで激しく踊るアイドルの方は少し筋肉を付けていいんです。細すぎると体力もなくなってしまうし、ジャンプする振付が多い場合は筋肉で衝撃を吸収できず、膝や足首を痛めてしまいます。

隈本 なるほど……今日は知らなかったことをいっぱい聞けました!

左から隈本茉莉奈さん、足立光先生。

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隈本 茉莉奈@虹のコンキスタドール / MARINA@結音 @kumamoto_marina

【お知らせ】
ナタリーさんの連載に!
"腹筋アイドル"として呼んでいただきました💪🏻嬉しすぎる~~~~~💪🏻!
楽しくて本当にあっという間だった、、

とても勉強になることばかり&お写真も記事もたくさん載せていただいてます!是非読んでください🏋🏻‍♀️!!
#フィ女子の道 #筋トレ #腹筋 https://t.co/okptO50jaE

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