クライマックスは17分の長回し、クリスティアン・ムンジウ監督作「ヨーロッパ新世紀」予告

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社会派群像サスペンス「ヨーロッパ新世紀」の場面写真が到着。あわせて予告編がYouTubeで公開された。

「ヨーロッパ新世紀」新場面写真

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「ヨーロッパ新世紀」ポスタービジュアル

「4ヶ月、3週と2日」で第60回カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞したクリスティアン・ムンジウが監督を務めた本作。ルーマニア中部のトランシルヴァニア地方を舞台に、小さな村で起こったささいな対立が深刻な紛争へと発展していくさまが描かれる。マリン・グリゴーレエディット・スターテマクリーナ・バルラデアヌが出演した。

「ヨーロッパ新世紀」新場面写真

「ヨーロッパ新世紀」新場面写真

予告編には獣と一体化し凶兆を追い払うという、熊の着ぐるみを被り行進するトランシルヴァニア地方の伝統儀式のシーンなどが収められた。住民が一堂に会するクライマックスの場面は、17分間にもおよぶ固定カメラの長回しショットで撮影されている。ムンジウのコメントは以下の通りだ。

「ヨーロッパ新世紀」は10月14日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。

映画「ヨーロッパ新世紀」予告編

クリスティアン・ムンジウ コメント

「ヨーロッパ新世紀」について

本作は連帯対個人主義、寛容対利己主義、ポリティカルコレクトネス(政治的妥当性)対真摯さといった現代社会が抱えるジレンマに疑問を投げかけている。また、自分の民族や部族に帰属し、他の民族、宗教、性別、社会階層を問わず他者を遠慮や疑惑の目で見るという、根源的な欲求にも疑問を投げかける。これは古きよきと思われている昔の時代と、混沌としていると思われている現在の時代の話であり、実行性よりも批判に価値が置かれるヨーロッパの裏側と偽りについての話でもある。不寛容と差別、偏見、固定観念、権威、そして自由についての物語。臆病と勇気、個人と大衆、個人的な運命と集団的な運命についての物語。また生存、貧困、恐怖と険しい未来についての物語でもある。
本作は世俗的な伝統に根ざした小さなコミュニティで、グローバル化がもたらした影響について描いている。情報・モラルが混沌とした現代において、真実と自分の意見を区別することの難しさを背負うことになった。
この物語は、「政治的に正しくない」意見を特定の民族や集団に結び付けている訳ではない。意見や行動は常に個人的なものであるため、集団のアイデンティティに依存するのではなく、もっと複雑な要因に依存するのだ。社会的な意味合いを超えて、もっと根源的な人間そのものに根ざしている。信念がいかに選択を形成するか、本能、不合理な衝動、恐怖について、人間の中に埋もれた動物的な部分について、感情や行動のあいまいさとそれを完全に理解することの不可能性について、この物語は語っている。映画の中でもっとも好きなのは、言葉にはできない何かだ。

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