映画「PLASTIC」が生まれた瞬間とは、監督・宮崎大祐と音楽・井手健介が対談

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「大和(カリフォルニア)」「VIDEOPHOBIA」の宮崎大祐による新作「PLASTIC」が、7月21日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。宮崎と、本作の音楽をPLASTIC KEDY BANDとして担当したミュージシャンの井手健介による対談インタビューが到着した。

左から井手健介、宮崎大祐。

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「PLASTIC」場面写真より、小川あん演じるイブキ(左)と藤江琢磨演じるジュン(右)。

本作は1970年代に世界中の人々を魅了しながら、ある日不意に姿を消したというアーティスト、エクスネ・ケディによるライヴ音源アルバム「Strolling Planet '74」をモチーフにした青春映画。エクスネの熱烈なファンである女子高生イブキと、同じ高校に転校してきたジュンは、運命的な恋に落ちる。小川あんがイブキ、藤江琢磨がジュンを演じたほか、中原ナナ、辻野花、尾野真千子、とよた真帆、鈴木慶一、小泉今日子がキャストに名を連ねた。

7月12日と18日に行われたエクスネ・ケディのライブ「EXNE KEDY LIVE “CONTACT : JULY 2023”」の告知ビジュアル。

井手は井手健介と母船のアルバムとして、2020年に「Contact From Exne Kedy And The Poltergeists(エクスネ・ケディと騒がしい幽霊からのコンタクト)」を発表。翌年には映画のモチーフにもなった、エクスネ・ケディが1974年に開催したとされる日本公演の模様を収めた「Strolling Planet '74」をリリースした。設定は架空でありながら、実際にエクスネ・ケディとしてライブ活動も行っている。映画ではエクスネ・ケディの楽曲が使われたほか、井手は映画のためにPLASTIC KEDY BANDを結成し、新たな楽曲も制作した。

宮崎は「初めは数曲のイメージでお声かけをさせていただいたんですが、どんどん数が増えていき、新たに曲が生まれて」とオファーを述懐。井手も「最初にあがってきたラフ編集版を見て、歌詞がいらないなと思うところが多かった。音そのものはあっても歌詞はないほうがいい、と思うところがあって、もういっそ新しく曲を作ることになったんだと思います」と振り返る。宮崎は映画のどこにどんな楽曲を入れたいか簡単な言葉と一緒にまとめたリストを準備。それをもとに井手が楽曲を作る形がとられた。

「PLASTIC」場面写真

宮崎は「リストにする前の段階では、既成曲を試しに仮置きしていましたよね。このシーンはこういう曲のイメージみたいな。僕はその提案に加えて『ここにも音楽があるとうれしい』という思いを伝えていきました」と説明。井手はイブキとジュンが親密になるダイナーのシーンを挙げ「ここにカーティス・メイフィールドの『Sweet Exorcist』を合わせてみたらすごくよくて。ベックの『Debra』も。映画『ベイビー・ドライバー』のコインランドリーのシーンに似たスウィートな感覚がいいなと思ってました」と具体的なイメージの源泉を明かした。

楽曲制作に大きな影響を与えたというのが、映像の色彩補正を行うカラリストとして参加しているゴンサロ・フェレイラの存在だ。「ホースマネー」「ヴィタリナ」などポルトガルの巨匠ペドロ・コスタと頻繁に組んでいるカラリストで、宮崎とは2018年の「TOURISM」から作品をともにしている。

「PLASTIC」メインビジュアル

井手は「映像のビビッドな仕上がりを観て、最初のイメージと雰囲気がガラッと変わっていたのがすごかった。あの映像の彩度の高さに導かれるように(音楽ジャンルの)エキゾチカを意識して作った曲もあります。カラーグレーディングがかなり影響を与えてくれた。何をやるにせよ思い切ってやっていいんだと思わせてくれました」と明かし、宮崎も「ゴンサロが色を仕上げてくれたものを観て『これは行ける!』と思ったのを覚えています。あのときに映画が生まれた、という感じがありました」とフェレイラの貢献に触れる。

左から井手健介、宮崎大祐。

井手のほか、音楽プロデューサーの石原洋やPLASTIC KEDY BANDのメンバーも作曲に参加。井手は「僕はそれぞれの曲が画にハマっているか、またはあえてハズすのかなど、全体を俯瞰しながら進めていきました。そうして曲が集まっていくと、ある時に急に『PLASTIC』のサントラができる瞬間があって、個人的にはその瞬間がグッときました」と振り返る。最後に、宮崎は「キャストもスタッフも1人ひとりが『これがかっこいい』というような自分のこだわりや思いを出してくださって『PLASITC』ができあがりました。誰か1人が指揮をしていたというよりも、皆さんのポジティブな、いいところがそのまま塊になって映画になっています」と語った。

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(c)2023 Nagoya University of Arts and Sciences

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映画『PLASTIC』公式 @plastic_movie

˖°『PLASTIC』
映画ナタリーに宮崎大祐監督&PLASTIC KEDY BANDとして担当したミュージシャン、井手健介さんの対談インタビューが掲載🎶

どのように制作が進められていったのか、カラリスト、ゴンサロ・フェレイラさんの存在など、話をうかがっています。ぜひご一読下さい!
https://t.co/IKd15Cy7Zp

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