死に追い込まれた高校生の悲劇を映画に、「Next Sohee」監督がペ・ドゥナへの信頼語る

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第23回東京フィルメックスのコンペティションに出品されている韓国映画「Next Sohee(英題)」が、本日11月2日に東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のチョン・ジュリが上映後Q&Aに出席した。

チョン・ジュリ

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「Next Sohee(英題)」

本作では、コールセンターで現場実習を行う高校生ソヒが過酷な労働環境によって次第に追い詰められていく過程と、彼女の自殺事件を担当する刑事の粘り強い調査が描かれ、ソヒを死に追い込んだ労働搾取の構造的要因が次第に明かされる。長編デビュー作「私の少女」に次ぐ本作でも、未成年の被害を題材としたチョン・ジュリ。2016年に韓国で実際に起きた事件がもととなっているが、当初彼女はこの事件を知らなかったそう。「当時の韓国では大統領の弾劾に人々の関心が集まっており、そんな中で起きた事件でした。数年後、映画にしないかと提案されたことをきっかけに調べたところ、その出来事が心にずっと残り、いつか必ず映画にしたいと思いました」と製作経緯を語る。

チョン・ジュリ

刑事役のペ・ドゥナは「私の少女」に続いての起用。チョン・ジュリは彼女が演じることを念頭に置いてシナリオを書いたと明かし、その理由を「刑事の役は映画の後半をリードするもう1人の主人公。特に説明なく登場しても、観客を最後まで惹き付けられるのは私の中で唯一ペ・ドゥナさんしかいませんでした」と説明する。シナリオをペ・ドゥナに送ったところ、すぐに「翌日会いましょう」と返事があり、出演を快諾してくれたという。「シナリオを読んだだけなのに、彼女は私の心に入ってきたと思うくらい、やりたいことを把握してくれていました。再び彼女と作業できて幸せでしたし、この映画にとっても素晴らしいことでした」と感謝を示した。

左から東京フィルメックスのプログラムディレクター・神谷直希、チョン・ジュリ。

またソヒ役のキャスティングについては、長期的なオーディションを覚悟していたというチョン・ジュリ。しかし助監督の紹介により、軽い気持ちで会ってみたキム・シウンに即決した。「彼女が言ったのは『この話は必ず映画化したほうがいい』『ソヒという人物を世の中に知らせるべき』ということ。『私ならうまくできます』といった言葉ではなく。自分でも知らないうちに、ソヒはこの子しかいないと思うようになり、気付くと次に会う提案をしていました」と惹かれた理由を振り返る。

劇中、職を得たソヒが自ら命を断つまでの前半パートは、ほぼ事実にもとづいているそう。警察が事件を探る後半パートは脚色によるものだが、チョン・ジュリは「実際に継続して取材していた方々がいて、現場実習という教育制度のもとにこのような悲劇が起きていることを知らせてくれました」と話す。また労務士などの存在への敬意がペ・ドゥナの役につながったと述べ、本作について「未成年者や実業系の高校生など、社会の中で弱い立場にいる人たちが、なぜ1人で死ななければならなかったのかと問いかけています」と改めて伝えた。

第23回東京フィルメックスは11月6日まで開催。

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SARU @saruKmovie

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