「秘密の森の、その向こう」セリーヌ・シアマが宮崎駿や細田守の影響語る

12

53

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 13 36
  • 4 シェア

秘密の森の、その向こう」より、監督を務めたセリーヌ・シアマのインタビューコメントが到着した。

「秘密の森の、その向こう」

大きなサイズで見る(全13件)

「秘密の森の、その向こう」ポスタービジュアル

8歳の少女ネリーを主人公とする本作。祖母が他界し、悲しみに耐えかねた母が姿を消した日、ネリーはかつて母が遊んだ森を探索するうちに自分と同じ歳の少女と出会う。母の名前“マリオン”を名乗る少女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった。双子の姉妹であるジョセフィーヌ・サンスガブリエル・サンスがネリーとマリオンを演じた。

シアマは新型コロナウイルスによるフランスのロックダウンが終わった頃、本作の脚本を本格的に書き始めたそうで「今こそ、この映画を作る意味がある。早急に進めなければならないと感じました」と言い、「近年、子供たちは大きな危機とたくさんの苦難に直面しています。彼らは世の中に広がる不満を聞き続けているのです。だから私たち大人は、子供たちを輪に入れ、彼らに物語を聞かせ、子供たちと協力することが重要だと思ったのです」と振り返った。

「秘密の森の、その向こう」

「秘密の森の、その向こう」

10代の頃から宮崎駿の監督作を映画館で鑑賞してきたというシアマは「撮影中、いつも自分自身に“宮崎駿監督ならどうする?”と問いかけていました」と明かし、「自分が描きたいと思ったものや制作過程において迷いが生まれた際、導いてくれたり背中を押してくれるような存在として宮崎監督に助けてもらいました」と述懐。さらに影響を受けた作品に細田守の監督作「おおかみこどもの雨と雪」を挙げ「子供が解放されていくところ、家族に対する感謝などを丁寧に描いていて、強烈な印象が残りました。大好きな作品です」と述べる。そして「どちらに進むか迷ったとき、私たちはいつも子供たちが好きだと思うほうを選びました。でも、それはもっとも過激で詩的な近道を選ぶということだから、簡単なことではありませんでした」と思い返した。

「秘密の森の、その向こう」

「秘密の森の、その向こう」

本作を鑑賞した細田は「彼女の映画から、僕も新しい映画へのインスピレーションを受けたいと思います。映画同士も互いに影響し合い、作品から作品へ、大事なことをリレーのように伝えていくものなのかもしれません」などとコメントしている。それを受けたシアマは「私は映画から映画、監督から監督へと継承されていくのは、手法やストーリーではなく、“精神”の部分だと思っています。インスピレーションという息吹を受けて、そこから新しいものが芽生えてくるんです。例えば、映画同士の友情が生まれるような感覚もその1つです。映画監督同士でそういうものが生まれるのは本当に素晴らしいことで、今、細田監督と手をついだような心強い気持ちでいられ、感動しています」と思いを口にする。

「秘密の森の、その向こう」

またシアマは「子供も大人も自分の両親について考えるきっかけになるはずです。異なる世代の間に新しい流れをもたらし、あらゆる世代に共通の感動を与えることによって、人々を結びつける作品になるように作りました」と語り、「劇場を出るとき、人々の互いを見る目が変わればいいなと願っています」と期待を込めた。

「秘密の森の、その向こう」は9月23日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマほか全国で順次公開。

この記事の画像・動画(全13件)

もっと見る 閉じる
(c)2021 Lilies Films / France 3 Cinéma

読者の反応

ビニールタッキー @vinyl_tackey

セリーヌ・シアマ監督が『秘密の森の、その向こう』について「『おおかみこどもの雨と雪』から影響を受けた」と言っているけど、あの映画を女性視点から(特に母と娘の関係について)捉えたらどうなるかという映画になっていたと思う。そういう点でとても良かった。https://t.co/Khmb6iRBkG

コメントを読む(12件)

おすすめの特集・インタビュー

リンク

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 秘密の森の、その向こう / セリーヌ・シアマ / 宮崎駿 / 細田守 / ジョセフィーヌ・サンス / ガブリエル・サンス の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。