「LOVE LIFE」木村文乃らヴェネツィア映画祭出席、深田晃司「届けるべき映画」

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LOVE LIFE」のワールドプレミアが第79回ヴェネツィア国際映画祭にて現地時間の9月5日に行われ、キャストの木村文乃砂田アトム、監督の深田晃司が出席した。

第79回ヴェネツィア国際映画祭レッドカーペットの様子。左から砂田アトム、深田晃司、木村文乃。(c)Kazuko Wakayama

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同映画祭のコンペティション部門に出品されている本作。矢野顕子の同名楽曲をモチーフに、愛と人生に向き合う夫婦の物語がつづられる。木村が主人公・妙子、永山絢斗が妙子の夫・二郎、砂田が妙子の元夫パクを演じた。

「LOVE LIFE」ワールドプレミア上映後の様子。(c)Kazuko Wakayama

木村はGUCCIのドレス、砂田は黒柳徹子からプレゼントされた特注の袴でレッドカーペットに登場。作品上映後には満席の会場から大きな拍手が起こった。

第79回ヴェネツィア国際映画祭公式記者会見に参加した深田晃司。(c)Kazuko Wakayama

第79回ヴェネツィア国際映画祭公式記者会見に参加した木村文乃。(c)Kazuko Wakayama

記者会見に参加した深田は、本作に込めた思いを問われると「よく『家族を描いている』と指摘を受けるんですが、私にとって『家族』はメインのモチーフではないと思っています。私は映画を作るときに自分にとって普遍的だと思うことを描きたいと思っております。それは毎回変わるものではありません。言葉に出すと陳腐に聞こえるかもしれませんが、それは『人はいつか必ず死ぬ』ということ。そして『人は誰しも孤独を抱えながら生きている』ということ。ただ、その『孤独』を描こうとしたときに、1人でぽつんといる人を描けば『孤独』を描けるかと言われれば、そうではないと思っています」と述懐。続けて「私たちは親しい家族や友人、恋人といても、ふと自分は1人であると思い出してしまう瞬間があります。そういう瞬間を撮りたいと思っているからこそ、その前提である家族や夫婦といったコミュニティを描いています」と言い、「『LOVE LIFE』という矢野顕子さんの楽曲を聴いて、映画にしたいという思いを抱き、ずっと脚本を書いていました。ですがコロナの時代が来て『ソーシャルディスタンス』ということが言われるようになり、人と人が簡単に会えない時代になってしまった。国と国の行き来もできにくくなりました。そんな中で楽曲の『離れていても 愛することはできる』という歌詞がまた新たな意味を持ったと思います。そしてこの映画は、気が付けば、今作られるべき映画になったと思いますし、皆さまに届けるべき映画になったと思っております」と述べる。

第79回ヴェネツィア国際映画祭公式記者会見に参加した砂田アトム。(c)Kazuko Wakayama

木村は「脚本を読んだとき、小説を読んでいるかのような気持ちになりました。登場人物たちは決して奇をてらったような人物ではなく、ごく当たり前に人間としての生活を送っている人たちです。自分が当たり前に見ている世界、友達が見ている世界。自分の隣にある世界がこの脚本では描かれていると思いました」と語った。砂田は「脚本を読んだときに、まずうれしかったのは、ろう者の文化、ろう者の生活様式が取り入れられていたことです。これまでろう者が出る映画やテレビは、どうしても『ろう者がかわいそう』と見られてしまうことが多かったです。このことについて、自分自身としては抵抗がありました。でも、この作品には“お涙頂戴”といった部分がなかった。ろう者は耳が聞こえないから『不便だ』『かわいそうだ』という描き方がされていなかったので、うれしかったです」と伝える。

第79回ヴェネツィア国際映画祭公式記者会見に参加した木村文乃。(c)Kazuko Wakayama

木村は「私自身、手話を学んだのは初めてでした。その中で、手話と向き合えば向き合うほど、手話というのは、ただの手の動作やしぐさではなくて、イタリア語や英語と同じように、1つの言語であるということを学ぶことができました」と回想し、「妙子と二郎は目を合わせずに会話をしますが、妙子とパクは目を合わせて会話をします。それは、パクさんがろう者で、目を見て話さなくてはいけない。手話というのは、目と目を合わせて体現して、伝える言語です。だからこそ、ありのままに、自分の気持ちを隠さずにパクさんに届けられるという意味で、閉ざされてしまった妙子の心が、二郎さんではなく、パクさんによって開かれていったんだと思います」とコメントした。

「LOVE LIFE」は、9月9日より東京・TOHO シネマズシャンテほか全国でロードショー。

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(c)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS

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Chiaki @ Dorama World ドラマワールド @doramaworld

World premiere of new movie "LOVE LIFE" at the 79th Venice International Film Festival on 5 Sep 2022 - Kimura Fumino & Sunada Atomu; showing in Japan from 9 Sep 2022
https://t.co/fHo0projFY https://t.co/ELG5ubr6D2

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