大阪アジアン映画祭グランプリは韓国映画「おひとりさま族」

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第17回大阪アジアン映画祭が3月20日に閉幕。韓国映画「おひとりさま族」がコンペティション部門のグランプリ(最優秀作品賞)に輝いた。

「おひとりさま族」 (c)2020 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

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「第17回大阪アジアン映画祭」ポスタービジュアル

3月10日から開催された映画祭ではワールドプレミアの24本を含む、過去最多の計76作を上映。コンペティションでは日本を含むアジアの映画15本が上映された。「おひとりさま族」は公私ともに孤高の生き方を貫くコールセンター職員の女性・ジナを主人公とした作品だ。同僚との会話もなく、唯一の肉親である父親とも疎遠で、己の領域を守ることを怠らないジナ。しかし、仕事で教育係を任されると指導どころか対話もおぼつかない。さらに、アパートの隣人が人知れず孤独死していたことがわかり、ジナの生活は揺らぎ始める。

主演はテレビドラマを中心に活動し、TWICEのジョンヨンを妹に持つコン・スンヨン。ホン・ソンウンが長編監督デビューを飾った。近年あえて孤独を貫く若者が増えつつあるという韓国。映画祭の作品ページでは「本作はそんな人々の生態を真摯に見つめた一作である。ただ『おひとりさま=変わり者』と断じるのではなく、その内面に思いを馳せよ、という理解への第一歩を促すと同時に、孤独の快適さに付随する苦い代償もまた描かれる」と紹介されている。英題は「Aloners」。YouTubeでは予告編と監督のオンラインインタビューを視聴可能だ。

グランプリに選ばれた理由として映画祭は「韓国のみならず、今、世界の多くの場所で、人が一人で生きるということは現代的な題材である」と発表。さらに題材にとどまらない映画の魅力を「主人公が職場での電話対応をする際の彼女一人をとらえたフレームワークなど、映像によって観客に伝えていく力がすぐれていることに感銘を受けました。また、人間の生と死の関わりのもと照らし出される孤独と他者とのつながりに、静謐でありながら力強さも感じさせ、グランプリに選出しました」とコメントしている。

そのほかの受賞結果は下記の通り。コンペティションの審査員には「東京不穏詩」で主演を務めた飯島珠奈、映画会社ムヴィオラ代表の武井みゆき、香港の映画会社We PicturesのCOOであるエスター・ヤンが名を連ねた。

第17回大阪アジアン映画祭 受賞結果

グランプリ(最優秀作品賞)

「おひとりさま族」ホン・ソンウン(韓国)

来るべき才能賞

飯塚花笑(「世界は僕らに気づかない」日本)

コンペティション部門スペシャル・メンション

「アニタ」リョン・ロクマン(香港)

ABCテレビ賞

はじめて好きになった人」キャンディ・ン、ヨン・チウホイ(香港)

薬師真珠賞

バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル(「セールス・ガール」モンゴル)

JAPAN CUTS Award

山歌笹谷遼平(日本)

芳泉短編賞

「二度と一緒にさまよわない」ユージーン・コシン(トルコ・ロシア・ウクライナ)

芳泉短編賞スペシャル・メンション

阿部純子(「バグマティ リバー」日本・ネパール)

観客賞

「アニタ」リョン・ロクマン(香港)

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読者の反応

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Taro Kamematsu @kamematsu

<近年あえて孤独を貫く若者が増えつつあるという韓国…本作はそんな人々の生態を真摯に見つめた一作である。ただ『おひとりさま=変わり者』と断じるのではなく、その内面に思いを馳せよ、という理解への第一歩を促すと同時に、孤独の快適さに付随する苦い代償もまた描かれる>

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