入江悠「未体験の領域」と称賛、小島秀夫ら計25名が「TITANE/チタン」推薦

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第74回カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)受賞作「TITANE/チタン」を鑑賞した著名人25名より、感想コメントが到着した。

「TITANE/チタン」

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「TITANE/チタン」ポスタービジュアル

「RAW~少女のめざめ~」のジュリア・デュクルノーが監督を務めた本作。幼少期の交通事故により頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシアが、車に対し異常な執着心を抱き、危険な衝動に駆られるさまが描かれる。アレクシアをアガト・ルセル、彼女と出会う消防士のヴィンセントをヴァンサン・ランドンが演じた。

「TITANE/チタン」

映画監督の入江悠は「おそろしい新世紀の扉を、この映画が開けた感がある。あるいは、パンドラの箱か。どちらにしてもスリリング極まりない未体験の領域だ」と吐露。ゲームクリエイターの小島秀夫は「塚本晋也の『鉄男(1989)』もクローネンバーグの『クラッシュ(1996)』も、産業革命時代の子宮から産まれ墜ちた鬼子による肉体の破壊衝動を描いた。鬼才ジュリア・デュクルノーが取り扱うのは、前世紀の象徴である“鉄屑(Fe)”ではなく、“チタン(Ti)”。本作は、デジタル時代で形骸化した“鋼鉄”の頭蓋から摘出される金属化した愛の“融点”を描く」と語っている。

「TITANE/チタン」は4月1日より東京・新宿バルト9ほか全国ロードショー。映画監督の枝優花大森立嗣行定勲、美術家の会田誠、マンガ家のえすとえむ小林エリカ森泉岳土、小説家の金原ひとみ、綿矢りさ、声優の津田健次郎らによるコメントも下記に掲載した。

※「TITANE/チタン」はR15+指定作品
※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記

会田誠(美術家)コメント

とんでもないストーリー展開に唖然としっぱなしで……見終わって思ったことは「やっぱりフランスという国はある意味で世界一進んでいるなあ……痛々しいほどに」ということでした。

荒木夏実(キュレーター/東京藝術大学准教授)コメント

どうしようもない欠落を埋めてくれる愛を、人は一生求め続けるんだろう。
たとえそれが妄想の中にしか存在しなくても。

入江悠(映画監督)コメント

おそろしい新世紀の扉を、この映画が開けた感がある。あるいは、パンドラの箱か。
どちらにしてもスリリング極まりない未体験の領域だ。

えすとえむ(マンガ家)コメント

数秒先に何が起こるかわからないスリルに翻弄される。
金属、肌、火。凶暴な寓話に散りばめられた異なる質感がやけにリアルでゾワリとした。

宇野維正(映画ジャーナリスト)コメント

「一体、何を見せられているんだ???」という前半から、やがてこの作品が純愛についての物語であることに気づくまで。
こんな心をかき乱される映画体験は久しくなかった。体調を整えてからご鑑賞を。

枝優花(映画監督・写真家)コメント

とにかく内容に関しては「観て! 感じてくれ!」なので、これ以上こちらからは何も言いたくない!
リアルタイムでデュクルノー監督の脳内を追いかけられる喜び! 一緒にスクリーンを駆け巡れるなんて! 同じ時代に生きててよかった! ありがとう!!

大森立嗣(映画監督)コメント

五感がぶっ飛ばされた! 映画が好きだと一度でも思ったことがある人は、みんな観た方がいい。これが映画だよ。でもガチですごいから、少し気合がいるかも。うう、まだ、頭とお腹がウズウズする。

金原ひとみ(小説家)コメント

このとち狂った世界では、狂気だけが救いとなり、狂気だけが希望となる

駕籠真太朗(奇想マンガ家)コメント

漫画「うる星やつら」のサブキャラである竜之介と父のエピソードを生々しく痛々しくすると本作になるのだな。

Q-TA(コラージュアーティスト)コメント

痛くて冷たい、静かで暖かい
痛覚と心に同時に襲い掛かる
過激な奇跡の恋愛映画。

こがけん(お笑い芸人)コメント

共感の枠外から荒々しく魂を揺さぶってくる怪作。これをカルトだと割り切れたなら、どれだけ楽になれただろうか…。
疾走する狂気にかき回され、ねじ伏せられて鑑賞後の感情を未だに整理できない。
もはや、僕の手には負えません!

小島秀夫(ゲームクリエイター)コメント

塚本晋也の「鉄男(1989)」もクローネンバーグの「クラッシュ(1996)」も、産業革命時代の子宮から産まれ墜ちた鬼子による肉体の破壊衝動を描いた。鬼才ジュリア・デュクルノーが取り扱うのは、前世紀の象徴である“鉄屑(Fe)”ではなく、“チタン(Ti)”。本作は、デジタル時代で形骸化した“鋼鉄”の頭蓋から摘出される金属化した愛の“融点”を描く。

小林エリカ(作家、マンガ家)コメント

圧倒的な触感と徹底的な混乱をもって欲望と愛に忠実な作品でした。

五所純子(文筆家)コメント

火に焼かれ、金属に侵され、改造される規範という肉体、誕生する異種交配の慈愛、疼きはじめる異物混入の夢。

小見山峻(写真家)コメント

圧倒的なクレイジーを明媚なカメラワークで流し込み、酔っ払う。この痛快な喉越しは、ここにしかない。

志茂田景樹(作家)コメント

まるで大蛇に呑み込まれたような怪引力で画面に引きずり込まれた。
ラストの稀有な衛勢力に近未来の人間社会の罪深い亀裂を想い、束の間、放心した。

スプツニ子!(アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授)コメント

生物学的機能や家族関係への違和感が、メタフォリカルな表現を通して痛みとして刺さってきた。

武田砂鉄(ライター)コメント

これまで把握していなかった感情を探し当てられた気がして怖い。どうしよう。

津田健次郎(声優)コメント

エンジンの胎動、やがて鋭利な金属が常識や既成ジャンルを突き破る。産声は映画の新たな潮流か。

野村由芽(編集者)コメント

瞬きするたび、価値観が揺れた。性、身体、善悪、家族……想像もしなかった方法で現代の規範が破壊される戸惑いと解放感。

松田青子(作家)コメント

私たちの身体の延長線上にどんな未知の世界が広がっていて、
どんな“変身”の可能性を孕んでいるのか、この監督はいつも見せてくれる。

森泉岳土(マンガ家)コメント

「共感したい」というわたしの思惑は無残に切り裂かれた──計算され尽くした血まみれのヴィジョンによって、神々しく。

山崎まどか(コラムニスト)コメント

ヒロインを蝕む金属が燃える炎に触れて溶解し、変容し、こんなに不可思議で感動的な物語に
昇華していくとは! あまりに思いがけなかった。

行定勲(映画監督)コメント

ジェンダーの境界線をとんでもない発想で凌駕してくる演出と芸術的変質性にやられた。
女性にしか耐えられないような痛みを可視化し、限界まで俳優の肉体と精神を追いつめ美しく昇華させる。
究極に「変」な映画でありながらラブストーリーとしても秀逸である。

綿矢りさ(小説家)コメント

殺人無双中、最強の“良心”に出会うチタン。痛みの続く荒れ模様のなか、暖かみが芽生える。

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(c)KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

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tAk @mifu75

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