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本作は柳内大樹のマンガを原作に、長崎・軍艦島の見える街で暮らす父子の喪失と再生を描く物語。佐藤が最愛の母を亡くし喧嘩に明け暮れる坂本海星、加藤が酒浸りの父・玄海を演じたほか、海星の同級生・結に山口、海星の友人・純に濱田、玄海の幼なじみ・野母崎巌に赤井、海星の母で玄海の妻の小百合に大塚が扮している。
主演のオファーが来る前から柳内のマンガ「ギャングキング」「セブン☆スター」を読んでいたという佐藤。「柳内さんは男同士や仲間の友情を大事にした作品を描かれています。『軍艦少年』の原作を読むと家族の物語も入っていて、この作品の主人公を演じられると思って本当にうれしかったです」と振り返る。クランクアップを迎えた際の心境を「終わった感じがあまりしなかったんです。でも龍臣が泣いていて（笑）。それを見て、ああ終わったんだなと思いましたね」と明かすと、濱田も「号泣でした」と述懐。最終日は佐藤、山口、濱田の同世代3人でクランクアップを迎えたという。
海星と玄海が喧嘩をするシーンでは、その激しさから舞台となったラーメン屋の壁が凹んでしまったそう。加藤の背中の形で凹んだその場所にはサインが書かれており、Yuki Saitoは「ちょっと聖地化されてるらしいので、ぜひ映画を観に行ってから訪れてほしいです」と呼びかけた。雨降りのシーンの撮影の際、佐藤が靴を水で濡らす姿を見かけた大塚は「カメラに映ってないところでも本当に一生懸命。なんて純粋で素敵な方なんだろうと思いました。何に対しても一生懸命なのが海星そのもの」と称賛の言葉を向ける。
「軍艦少年」ではユネスコの世界文化遺産に登録されている軍艦島での撮影も行われた。建物の老朽化などからロケのハードルは非常に高かったが、Yuki Saitoは「軍艦島の内部を別の場所で撮影したら、この映画をやる意味があるのか？と思って。そこは映画に残す意義があると思ってお願いしました」と現地での撮影にこだわったことを回想。プロデュースチームや長崎県の関係者が尽力した結果、2年ほどかけて許可を得られたという。Yuki Saitoが「事前はワクワクドキドキしていたんですが、上陸した途端に場所が持つ力に圧倒されて。はかなさもあれば、生い茂る草木の生命力も感じる。ここをフィルムに焼き付けなければという使命感がありました」と明かすと、佐藤も「上陸してから一言もしゃべらなかった。ランドセルや冷蔵庫が落ちていて、人が生活していた痕跡があるのに、圧倒的な静けさ。空を見たらトンビも飛んでいて。この感動はスクリーンで映画を観たら絶対に伝わると思います。この映像も経験も大事にしていきたい」と続ける。
最後に「軍艦少年」の台本を玄関に飾っていることを明かした佐藤。撮影が終わってからも現場のキャストやスタッフの写真を見返し、台本と照らし合わせながら、名前や顔を反芻する機会があったそう。「そんな作品は今までに一度もなくて」と述べながら、俳優を職業として生きていくうえで重要な作品になっていることを明かす。そして「素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんがワンカット、ワンシーンをどれだけいいものにするか考えて、もの作りを一緒にしている高揚感や集中を感じました。この職業をやっていて幸せだなと思う瞬間が何度も何度もありました」と充実の表情を見せる。さらに「すげえパワーがある映画。受け取るものを受け取って劇場をあとにしていただけたらうれしいです」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
「軍艦少年」は12月10日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。
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