月刊おもしろ映画宣伝2024年3月号

ビニールタッキーの「月刊おもしろ映画宣伝」 2024年3月号 [バックナンバー]

「ゴジラxコング」の最高なポスター、剛柔あわせ持つ「SHOGUN 将軍」

今月のMVPは、天下泰平を感じたあの宣伝

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映画会社は、日々工夫をこらし、作品の魅力をPRしようと努力している。時には評論家や俳優が真面目に作品の魅力を語り、時には他ジャンルとコラボし客層の拡大を図り、時にはダジャレやこじつけでSNSでのバズりを狙い……。そんな施策を日々ウォッチしている“映画宣伝ウォッチャー”ビニールタッキーが、前月気になった映画の記事についてコメントする連載が、「月刊おもしろ映画宣伝」だ。

2024年3月、ビニールタッキーが気になったのは「ライド・オン」「ゴジラxコング 新たなる帝国」「SHOGUN 将軍」などに関する宣伝。記事末ではMVP(モスト・ヴァリュアブル・プロモーション)も発表している。

/ ビニールタッキー

石丸博也の限定復活に思うこと

「月刊おもしろ映画宣伝」3月号をお届けします。「おもしろ映画宣伝」とは、海外の映画を日本で宣伝する際に発生する面白いPRイベントや不思議なコラボなどの案件をまとめて総称するために私が勝手に名付けた名前です。このコラムはその月にあったおもしろ映画宣伝をピックアップする連載コラムです。今月もご紹介していきましょう!

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今月も出ました「タレントナレーション予告編」(タレントさんが映画の予告編やTVCMにナレーションを当てた映像)です。津田健次郎さんは俳優さんとしても大活躍されているので私の独断で「タレントナレーション」とさせていただきました。それにしてもいい声です。

 

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オカルトバトルアニメ「ダンダダン」と「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」のコラボ! 超常現象や怪奇現象と戦うという共通点からコラボが実現したというのも納得です。アニメ制作会社・サイエンスSARUの描き下ろしビジュアルという豪華さもすごいです。

 

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ジャッキー・チェンの映画主演50周年を記念して作られた映画「ライド・オン」の日本語吹替に昨年引退された石丸博也さんが限定復活するという驚きのニュースです。ジャッキーも最近は年相応のご老人になっている……というニュースが最近話題となりましたがこうして映画が作られること(しかも年老いたスタントマンという本人そのものみたいな役!)に驚きました。そして役者本人がいつまでも現役だと専属の吹替声優さんもなかなか引退できないということを感じました。愛にあふれた話ですが無理せずにがんばってください!

 

イベントレポート

堺雅人さんが「家族を皆さんに紹介するような気持ちです」とおっしゃる通り、こちらもまだまだお元気な90歳の羽佐間道夫さんから7歳の池村碧彩さんまで各年齢層がそろい踏みのジャパンプレミアはまさに家族団欒のようです。記事を読むだけでも明るく穏やかな場であったことが感じられます。新たな道に一歩踏み出すことの大切さを描く「FLY!/フライ!」と、ちょうど門出のシーズンであることをかけて新生活を迎える人へエールを送るトークもいいと思いました。

 

「確かに一線を越えてるな……!」と感じたポスター

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映画「Anyone But You」が、「恋するプリテンダー」の邦題で5月10日に全国で公開されることが決定。このたび予告編とポスタービジュアルが到着した。

おもしろ映画宣伝では日本版のポスターや邦題についても取り上げます。原題「Anyone But You」を「恋するプリテンダー」という邦題にするセンスがあまりにも素晴らしすぎて感動すら覚えました。ポスターアートの軽妙な雰囲気やロゴデザイン、「恋プリ旋風日本上陸!」というキャッチコピーも含め、「みんな大好きアメリカンラブコメディが帰ってきたよ!」という送り手の喜びがあふれているようで大好きです。

 

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ポスターやキャッチコピーと言えばこちらも最高でした。

このたび解禁されたビジュアルでは、こちらに向かって爆走するゴジラとコングの姿に「一線を越える。常識が変わる。」というコピーが添えられた。前作から引き続き監督を務めたアダム・ウィンガードは「今まで見たことがない壮大な共闘を日本の皆さんにご覧いただくのが待ちきれません!」とコメントしている。

まるで「いつも喧嘩ばかりしてる凸凹刑事2人がバディを組んで戦うポリスアクション映画」のワンシーンのように爆走するゴジラとコングの姿に「一線を越える。常識が変わる。」というコピーが添えられると確かに一線を越えてるな……!と納得せざるを得ません。やはり映画の雰囲気とキャッチコピーはノリを合わせるのが大事という当然のことに今月は改めて気付かされました。

 

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一昨年の2022年に日本公開された「RRR」が今も日本で愛され続けていることを実感するニュースです。華やかでありながら日常生活でさりげなく「RRR」ファンであることをアピールできるようなデザインがいいですね。しかし公開当時に未来人から「2年後にこの映画の公式コラボジュエリーが出るよ」と言われても信じられな……いや、「RRR」ならありうると感じるかもしれません。

 

特集記事

ドラマシリーズの特集なので厳密に言うと映画宣伝ではないかもしれませんが、とても読み応えのある内容なので採用させて頂きました。「SHOGUN 将軍」と「センゴク」という同じ戦国時代を描いた作品としてのシンパシーや視点の違いなどが面白いです。特に女性の描き方の話や、歴史をフィクションとして描く際の楽しさや難しさの話が興味深かったです。こういう的確な組み合わせの特集を読むと作品の多角的な見方ができて楽しいですね。

 

そして最後は私が勝手に決める今月のMVP(モスト・ヴァリュアブル・プロモーション)。今回はこちらです!

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真田広之が主演・プロデュースを担ったドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」の特別映像「信子・信成の末裔の部屋」がYouTubeで公開に。フィギュアスケート男子元五輪代表・織田信成と、徳川家康の末裔でお笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんのメンバー・信子が出演している。
(中略)
特別映像では、信子が互いの先祖のイメージを語るほか、「よく泣く」という織田信成が織田信長と自身を比較して「ギャップがありすぎて困っているんですね」と自虐するさまが捉えられた。収録後に行われたインタビューで織田信成は「自分はアスリートなので勝負になると血が騒ぐ。やはり血筋かも」、信子は「てっぺん取りたい気持ちはある」とコメント。よく知られる“ほととぎす”の句にちなみ、織田信成と信子は「鳴かぬなら、それでいいじゃん ホトトギス」「鳴かぬなら、ないてくんねぇ? ホトトギス」と詠んだ。

なんとも天下泰平を感じる宣伝です。先述した通りドラマシリーズなんですがあまりにもよかったのでMVPに決定です。「SHOGUN 将軍」にちなんで織田信長と徳川家康の末裔とされる者同士の対談、しかも「〇〇の部屋」というどこかで聞いたような音楽とコンセプトを使うセンスがすごい! 記事はもちろんですが、動画のほうもぜひ観ていただきたいです。これがディズニープラス公式のPR動画なのか?と驚くばかりのユルくのんびりとしたトークとなっていて最高です。短い動画ですが衣装も舞台も凝っていて力の入りようを感じます。先ほどの宮下英樹先生の読解も読み応えがありましたが、一方でこのようにのんびりとした動画もあり剛柔あわせ持つことの強みを感じる宣伝でした。

「SHOGUN 将軍」特別映像「信子・信成の末裔の部屋」

以上、月刊おもしろ映画宣伝2024年3月号でした。次回もお楽しみに!

ビニールタッキー

ビニールタッキー

ビニールタッキー

映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」の管理人。海外の映画が日本で公開される際に発生する“おもしろ宣伝”を観察・収集する。トークイベント「この映画宣伝がすごい!」を毎年開催。

ビニールタッキー (@vinyl_tackey) | X
第9惑星ビニル

バックナンバー

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(c) Universal Pictures

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ビニールタッキー @vinyl_tackey

映画ナタリーさんの月一連載コラム「月刊おもしろ映画宣伝」 2024年3月号を書きました。今回も目を見張る宣伝がいっぱいでしたよ。キーワードは「一線を越える」と「剛柔あわせ持つ」。

https://t.co/dQpN8Vao2x

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