戸田奈津子が語るトム・クルーズの素顔

通訳を降りた理由、来日時にもらったプレゼント、最近知った新たな一面

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2022年5月、「トップガン マーヴェリック」を引っさげてトム・クルーズが約4年ぶりに来日を果たした。神奈川・横浜港 大さん橋 国際客船ターミナルで行われたジャパンプレミアでは、終了予定時刻を過ぎてもファンサービスを続行。駆け付けたファンの1人ひとりを大切に思っている様子がうかがえた。

常に笑顔を絶やさず、危険なスタントも自らこなすクルーズとは、いったいどんな人物なのか? 30年以上付き合いがあり、同じ7月3日生まれの字幕翻訳者・戸田奈津子に彼の素顔を聞いてみた。また、今回の来日時にクルーズの通訳を担当しなかったことが話題となっていた戸田。その理由についても教えてくれた。

取材・/ 小澤康平

100%の力を出せなかったらトムに申し訳ない

──今年の5月、トム・クルーズが「トップガン マーヴェリック」を携えて約4年ぶりに来日しました。ただ、いつも通訳を担当していた戸田さんの姿が隣にありませんでした。

はい、降りました。

──トム・クルーズほどのプロフェッショナルであれば、通訳も一番信頼している人にやってもらいたいという気持ちがあったと思うのですが。

それはよくわかっています。最初に降りることを伝えたときは彼もびっくりしていました。でも、やっぱり引け時というものがある。トムは本物のプロだから、あれだけ実力があるのに常に努力して200%の力で物事に当たっている。私はこの歳になって、昔のように力を発揮することはできないかもしれないし、もし100%も出せなかったらトムに申し訳ないと思ったんです。だから決意しました。

2016年11月、「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」のレッドカーペットイベントに参加したトム・クルーズ(右)と、通訳を担当した戸田奈津子(左)。

──トム・クルーズはすぐにそれを受け入れたんですか?

来日してからも「君がやるんだからね」とふざけて言ってはいましたね(笑)。でも最終的には理解してくれました。

──5月23日の記者会見、24日のジャパンプレミアに来場されてはいましたが、「来てほしい」と言われていたんですか?

そうですね。でもトムが何を言うのか、私自身が聞きたいという気持ちもありました。

──最初に会ったのは30年以上前、「遥かなる大地へ」での来日時だと思います。そのときからトム・クルーズの印象は変わりましたか?

ぜんっぜん変わってないです。ずっとファンサービスの塊のような人。あなたレッドカーペットの現場に行ったことある?

──今回取材したんですが、決められた時間を過ぎてもファンと交流し続けていました。

いろいろな俳優を見てきましたけど、あそこまでやるのは彼だけ。映画会社は大抵ファンサービスの時間を1時間程度取りますが、トムは自分から「2時間欲しい」と言うんです。しかもそれを日本だけでなく世界中でやってるんですよ。あれは本当にすごい。もちろん彼自身、ファンとの交流が好きというのもあると思いますが。

トムとヒッチコックについて語り合うことになるとは

──ファンを大切にするようなトム・クルーズの人間性は、身近で接していても変わらないですか?

約30年仕事をしていますが、彼が笑顔を絶やしたのは見たことがないです。ファンには愛想よくしても、内輪の人に不機嫌な顔を見せたりわがままを言ったりする俳優もいますが、トムは絶対に違う。寝てるときも笑顔?……と思ってしまいます。

──(笑)。

イベントのとき、トムとスタッフ10人くらいで舞台裏を移動することがよくあります。普通のスターは自分が主役だと思ってるから、エレベーターに真っ先に入って一番奥に行きます。でもトムは自分でドアを押さえておいて、みんなが乗ったのを見届けてから最後に乗る。そんな小さなことからも、真心込めてやってくれていることがわかるので、我々はいつも恐縮しながら乗ってます。

──今回の来日で初めて知った側面はありましたか?

いつもは凝縮された時間の中で付き合っているけど、今回は1日早く来て。「もう着いたんだよ」と電話がかかってきました。3時間ほど一緒にお茶をしたんですが、あそこまでリラックスしておしゃべりをしたのは初めてで、すごく楽しかった。トムの妹さんとその息子さんもいたので、家族についての話もしたし、(アルフレッド・)ヒッチコックの映画の話までね。まさか彼とヒッチコックを語り合うことになるとは思わなかった(笑)。

──戸田さんは、2014年に出版された著書「KEEP ON DREAMING」の中で、トム・クルーズの魅力を「尽きることなき映画への情熱」と表現されていました。今も字幕翻訳家として現役であり続ける戸田さんにも、そういった情熱があるように思います。それは長年にわたって信頼関係を築いている理由の1つだったりしますか?

根本部分ではあるでしょうねえ。気心の合う仲だとは思います。トムがスターであることは関係なくて、同じ情熱を分かち合える人とは心が通じるじゃないですか。そういうお付き合いです。

戸田奈津子

──誕生日には毎年花束が贈られてくるそうですね。

誕生日とクリスマス、年に2回の花束は定例になっていて、そのたびに「なぜこんなにしてくださるの?」と思っています。来日のたびに手土産も持ってきてくださるし。今回の「トップガン マーヴェリック」での来日時も、リボンのかかったプレゼントをいただいたのね。私が(日本の風習で)すぐに開けないで置いておいたらトムが「開けないの?」って。慌ててリボンをほどいたら、彼がそのリボンをきれいに丸め出したんです。そんなに几帳面な人だということは知らなかった(笑)。あまりにもきれいに巻いていたから写真を撮りました(笑)。

──中身はなんだったんですか?

スカーフをいただきました。柄が左右非対称で、折り方によっていろいろな使い方ができるものを。トムがこうしたらいいよと折り方を教えてくれたんだけど、難しくて忘れちゃった(笑)。

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トムはスター、ジョニーはアクター

読者の反応

映画VTuber 夜子・バーバンク @Yoruko_burbank

ジョニーデップとアンソニーホプキンスの裏話も出てて貴重なインタビュー✨

戸田奈津子が語るトム・クルーズの素顔
https://t.co/b6eZSmtx1g

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